絵本で、安心して気持ちが話せる「場づくり」の担い手を育む -141ページ目

絵本で、安心して気持ちが話せる「場づくり」の担い手を育む

~絵本で、安心して気持ちが話せる場づくりの担い手を育む~
NSプロジェクト代表
絵本道®マイスター
更家 なおこ

3.11から一か月後

東北で絵本ワークをしはじめて

すぐに思いました

 

この場は、そこに居る人全ての

「こころの奥に触れる」場に

なっている

 

参加される方はもちろん

一緒に東北入りするメンバーすべてが

絵本を楽しみながらも、安心安全な場になるよう

守り続けたい

 

講師としてビジネス心理は学んできたけれど

セラピーを軸にした心理手法をしっかり

身に着けよう

 

そこで、東京に通い始めました

里美さんと出会ったのはその教室で

同じグループになったことが

きっかけでした

 

福島出身の彼女は

あの日、東京にいたことで

家族・親戚全てと、全く連絡が取れない

苦しみを味わったと聞きました

何もわからなかった一週間は

報道の残酷さをただ見続けるだけ・・・

 

想像を絶する苦しみの日々だったと思います

家族や身内だけでなく

自分を知る人

育ってきた土地

自分が生きてきた全てを

一瞬にして失ったかもしれない恐怖・・・

 

その後、家族の無事が確認されましたが

あの時受けた衝撃や傷はけっして癒える

ことはないでしょう

 

その後、彼女は故郷南相馬で

図書館の先生をはじめました

 

私が会いにいって

南相馬のすばらしさを知り

仮設集会所で一緒に絵本ワークを企画しはじめ

いつしか定期的に通うようになりました

控えめで凛としていて

静かな佇まいの中に

ぶれない力強さを秘めている

里美さんは、そんな人です

 

お話するときは、

いつもゆっくりと

まるで一言ひとことを

かみしめるように、

丁寧に言葉を選んで伝えてくれます

 

どんな人も

里美さんの近くにいるだけで

なぜかほっと安心したようなやすらいだ

気持ちになり

居心地の良さを感じます

 

絵本ワークを企画するたびに、

地域を走り回って告知をしてくれたり

当日は

仮設住宅を一軒ずつ訪ねて

みなさんに声をかけてくれました

 

こうして仮設の玄関先に何度もお伺い

出来たことで

より良いワークイメージにつながったと思います

 

里美さんが見守ってくれる中での

絵本ワークやお茶っこは素晴らしく安全でした

 

講師として東北に10年通っていましたが

それでも福島の方言で分からない瞬間があり

里美さんには随分助けてもらいました

 

ある日、ふと気付きました

ここには、わたしが求めていた場づくりの基本

全てが入っている、と

 

その活動の中で生まれたのが

「天使プロジェクト」

プロジェクトが生れたのは

絵本ワークに通い出して

みなさんの様子を見たときでした

 

毎日のように集会所に集まる方々は

ボランティアの方にせめてものお礼を、と

針刺しを手縫いでこしらえていらっしゃいました

 

楽しそうにお茶っこしながら

針仕事をされているのを見て

ふと、全国から手縫いの天使を集めたらどうだろう

と思いました

 

その考えを、藤沢に住む整体師さんに伝えたら

北海道の知人に伝えてくれて・・・

ある日、素敵な天使が届きました

この天使をプロジェクトのシンボルにして、

私が創作した童話作品

「天使がボクを見るとき」

の人形劇チームが東京で生れました

 

企画はますます進んで

南相馬 原町にある中央図書館の

一階フロアをお借りすることになりました

 

そこで、人形劇を見ていただいたあと

全国から届いた天使と

地元のみなさんが作ってくれた天使を

交換する会を開こう

図書館では「絵本道しるべ」の原画展も併設し

絵本ワークも開催

 

盛りだくさんの企画でしたが

全てを実践できたことは

忘れられないひとときになりました

里美さんは今、東京で図書館司書をしています

少し落ち着いたら、彼女と再会するのが

とても楽しみです

 

一緒に活動してきた中、里美さんから聴かせてもらった

とても大切なお話を、残していきたいと思いました

※「くまにつなぐお話」

震災後10年でわたしが見聞きし、くまに伝えるお話

 

※「くまに聞いたお話」

くまが旅で出会った人についてわたしに語るお話。

(絵本教室の生徒さんが絵本を創作する前と後の変化)