東京都はスクールカウンセラーの大量の雇い止めを撤回してください! | 市民自治ノート - NPOまちぽっとから

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 このブログは、NPO法人まちぽっとスタッフの伊藤久雄が書いています。このブログでは、「市民自治」の推進に必要なさまざまな情報や、NPO法人まちぽっとの活動などを発信していきます。

東京都はスクールカウンセラーの大量の雇い止めを撤回してください!

 

 長年働いてきた東京都公立学校のスクールカウンセラーが、2024年3月で大量に雇い止めされます。心理職ユニオンの調査では、東京都公立学校で働いていたスクールカウンセラーのうち、25.5%(179人)が雇い止めとなることが明らかになりました。4人に1人以上が雇い止めとなっているのであり、心理職ユニオンにも相談が殺到しています。

 今回雇い止めされるスクールカウンセラーのほとんどは、5年以上働いているベテランであり、中には勤続10年以上、15年以上という人もいます。スクールカウンセラーの収入を柱に生活してきた人たちばかりで、大きな生活不安をもたらすものです。また、学校現場の混乱も大きく、相談につながっている子どもたちにとっても大きな不利益となります。勤務校の教職員や管理職から「辞めないでほしい」と言われたというスクールカウンセラーも多数います。東京都は、経験豊かなスクールカウンセラーを突然学校から排除することで、学校現場に大きな混乱をもたらしているのです。

 

◆児童・生徒やその保護者、学校のためにもスクールカウンセラーを守ってください!

 今回の東京都による大量雇い止めは、学校現場の意志に反して、児童・生徒・保護者・教職員から経験豊かなスクールカウンセラーを一方的に奪うものです。心理職ユニオンの調査では、雇い止めとなったスクールカウンセラーの約65%が、「勤務する学校の管理職や教職員も、自分が雇止めになったことに困惑している」と回答していますし、以下のような声が寄せられています。

・スクールカウンセラー業務の特性から考えても、現任者を切っていくやり方は、学校現場や相談につながっている子どもたち、保護者のことを何も考えておらず、かえって児童・生徒に不利益を与えています。現任校の管理職、教職員もショックを受けています。

・私たちが日々向き合っているのは、子どもや保護者、関係者の生死です。不採用だったことよりも、自分たちがしている仕事を軽く見られていることに憤りを感じています。昨年度勤めていた学校では児童の深刻な問題が発生し、そこにスクールカウンセラーとして支援をしてきており、今回の雇い止めで勤務校も困惑しています。

・安定した支援のニーズが現場にあるにもかかわらず、駒のように人を変えられるのは納得がいきません。

 当然ながら児童・生徒や保護者の支援は1年間で区切り良く終わるわけではありません。支援を展開するには対象の子どもや保護者との信頼関係を築くことが必要ですが、その信頼関係を作るためには一定の期間が必要です。またスクールカウンセラーは常にアセスメントに基づき支援の見通しを立て、それを時に支援対象者と共有しながら学校生活を支えます。そして、こうしたスクールカウンセラー業務の専門性を高める上では、一定の経験が不可欠です。経験豊富なスクールカウンセラーを雇い止めするということは、そうした信頼関係や支援の見通しを突然途切れさせ、その専門性を現場から排除することでもあるのです。学校現場の声を無視した一方的な雇い止めは、児童・生徒、保護者、教職員の不安を増幅し、大きな損失を与えるものです。

 

◆民間の非正規労働者より不安定な、公務非正規労働者=会計年度任用職員

 東京都の公立学校で働くスクールカウンセラーは「会計年度職員」として働いています。これは1年間の有期雇用で働く非正規公務員ですが、実はその立場は民間の非正規労働者よりも不安定です。民間の非正規労働者であれば「労働契約法」によって、雇い止め理由の開示義務、不合理な雇い止めの禁止、5年以上働いた労働者への無期雇用への転換権の付与といった保護が与えられています。

 しかし公務員扱いの会計年度任用職員には、この労働契約法が一切適用されません。そのためどのような理由でも雇い止めすることができますし、5年以上働いても無期雇用に転換する事ができず、毎年理不尽な雇い止めの危険にさらされることになるのです。実際、今回雇い止めにされたスクールカウンセラーのほとんどが5年以上働いていた人ですし、また雇い止めの理由は一切明かされず、「なぜ雇止めになったのかわからない」という人がほとんどです。

 長期の経験がその専門性の育成にとって重要であり、非常に公共性の高い仕事に従事するスクールカウンセラーを、このような不安定な立場に置くことは許されません。

 

◆東京都は直ちに雇止めを撤回してください

 経験豊富なスクールカウンセラーの大量の雇い止めは、その生存権や働く権利を脅かすものであり、また児童・生徒の教育を受ける権利や、時には生存権さえ脅かすものです。スクールカウンセラーや児童・生徒の人権を侵害する東京都の行為は到底認められるものではありません。

 東京都は直ちに雇い止めを撤回してください!経験豊富なスクールカウンセラーを、支援を必要とする子どもたちや保護者から、学校から、奪わないでください!

〈東京都・国への要求事項〉

・スクールカウンセラーの雇止めを直ちに撤回し、雇用を継続してください。

・長期的に必要とされるスクールカウンセラーを単年度の雇用とするのは不合理です。雇用期限を撤廃し、無期雇用としてください。

 

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