7月6日のカウンセラー養成集中講座は、午前中は応用行動分析についてのレクチャーやワーク、そして午後も「見立て」に役立つツールを使ってのワークと、システムズ・アプローチについてお話しました。
応用行動分析(ABA)は子育てにとって凄く大事な理論です。
また、発達障碍の対応がどんどん進化しているのも、この理論あってこそです。
そしてネット・スマホ・ゲーム依存もこのABAと、システムズ・アプローチや解決志向アプローチとの組み合わせによって、カウンセリングが上手くいく率はかなり高くなります(親御さんがこの考え方ややり方に納得されて、そしてカウンセリングに来られるのを続けた場合はほぼ上手くいくと言ってもいいでしょう)。
しかし、意外とこれがまだまだ世に知られていないんですよね。
これはひょっとしたら、難しい用語が多い(三項随伴性とかオペラント条件付けとか)のと、もう一つはおもしろく書いてある本が少ないからかもしれません。
ということで、先日僕は掛川の花鳥園に行って、鳥のショーを見た時に思ったことがあったので、その説明も少し工夫してお話しました。
まず、イルカとか動物のショーというのは、このABAによって動物が活躍できるようにしています。
ABAというのは、
先行刺激(弁別刺激)⇒ 行動 ⇒ 後続刺激
という流れで物事を考えます。
これを簡単に言うと、
「ある環境で」⇒「こんなことをしたら」⇒「こんな結果があった」
ということです。
例えばイルカにとって
「笛が鳴ったという環境で」⇒「ジャンプをしたら」⇒「餌をもらえた」
となるわけですね。
掛川花鳥園でも鳥をそうやって訓練したはずです。
ところが僕が言った時は、ショーに出てきたフクロウが、芸をやる場面でなんと床に落ちていた肉片を見つけちゃったんですね。
飼育員の用意した餌よりもっと大きな肉片を…。
こうなると、もうフクロウは飼育員の指示に耳を貸しません。
飼育員は何度も餌を見せてチャレンジするけど、フクロウは逃げ回るばかり。
ショーを見に来た客は、ずっと待たされるワケですね。
フクロウを主とすると
「飼育員の用意している餌よりもっと美味しそうなものを見つけた」⇒「それを掴んで飼育員から逃げ回る」⇒「飼育員に何度も用意した餌を見せられる」
この場合は、「飼育員の用意した餌」という後続刺激より「今掴んでいる肉片」の方が魅力的なので、後続刺激は何の役にも立っていないということです。
「こんなことになる可能性って当然あるワケだから、そんな時はとりあえず次の鳥の出番に変更できるようにしておいたらどうなんだ?」
とイラッとして思ったのは僕だけかな?
とにかく散々待たされた挙句、そのフクロウの持ち時間は使い切ったみたいで、何もやらずにステージからフクロウは退出でした。
さてちょっとここで、行動分析に対してよくある反論です。
「動物と人間を一緒にするなよ」
では今の話を、フクロウではなく客を主として考えてみましょうか。
「ショーが始まりワクワクする」⇒「フクロウが飼育員の指示に従わず逃げ回るのを延々と見せられ、それでフクロウの持ち時間が終わり待たされただけでイライラする」⇒「もうここのショーには見にいかなくなる」
次に、飼育員を主として考えましょうか。
「ショーが始まる」⇒「フクロウが指示に従わず逃げ回り失敗し、客をイライラさせる」⇒「客はもうここのショーには見に来なくなる」
この「客は来なくなる」というのを弱化刺激と言います(簡単に言うと「叱られる」とか「罰」がそうですね)。
そして本来なら、それによって「客をイライラさせる」という行動が減るはずなんです。
反省して、次の鳥の出番に変更できるようにするとか、工夫する(行動の変容)はずなんですね。
ところがここでABAの理論が出てきます。
「即時強化・即時弱化」の法則です。
つまり、後続刺激はすぐに行わないと、効き目がなくなるんです。
「もう次は行かない」という客の後続刺激は、時間が空いてしまうし、具体的に飼育員に伝わりにくいから効果があまりないんですね。
じゃあ、すぐに罰を与えたらどうか。
例えば、待たされたらすぐに空き缶を投げるとかいう嫌悪刺激を、後続刺激で与えたとしたら、これは飼育員も気づくはずです。
ところが、今度は客を主として考えましょうか。
「待たされる」という環境で、「空き缶を投げる」という行動を取ると、大抵は「周囲から大顰蹙(ひんしゅく)」という後続刺激がやってきます。ひょっとしたら警察が飛んでくるという、かなり強烈な嫌悪刺激が来るかもしれません。
我々はそういうのを学習しているから、それをやらないんですね。
如何ですか?
もちろん動物と人間では違うケースだっていくらでもあると思いますが、人間だって生き物なので当てはまるケースもいくらでもあります。
要はいろいろな理論を上手く生かして、対象となる人がHAPPYに近づいていけばいいのではないのでしょうか。
少しは面白く説明できたかな?
ところで、ABAの本は1つの対象においての三項随伴性のことばかり書いてある本が多いのですが、やはりシステムズ・アプローチが重視する「Interaction」、つまり「相互交流」という観点でこのように主役を固定せずに柔軟に多角的に考えるということが大事だと思います。
ということでこんな感じで、しっかりと(たぶんここに書いた量の50倍くらい)を午前中にお話しました。
この内容は第2日曜と第3日曜、そして第3土曜にも行います。
よろしければぜひご参加ください。
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