干しあんぱんひとつ | 前立腺を取ってみた

前立腺を取ってみた

なんとなく前立腺がんだったのでダビンチで全摘出した。で、どうなった。ためになるわけでもないけどこんな感じ

昔のことを思い出したことを前々回に書いたことがあります。

ついでにどうにも思い出してしまうことがあります。

 

自営業をしていて時間が無くてぎりぎりの納品時間になっていました。

もう夕方、6時過ぎてます。

25キロほど離れた場所に納品するものを乗せて車を走らせていましたが

「ハラ減った・・・」

そりゃそうです。間に合わせるために食事もなしで川沿いを走っているのですから・・・

「時間がない」

でも・・・

橋のたもとにお店があることを思い出しました。

寄ったことはありません。

クルマの止めやすいところはここぐらいしかないんです。

 

「すいませ~ん」

誰もいません、なぜか品物もほとんどありません。帰ろうとすると

奥から相当なおばあさんが出てきました。

「・・・」

目の前にはガラスのケースに入ったパンがいくらかはあります。

でも何か買ってはいけない気がする感じでした。

でもおばあさんが出てきたし目の前にはパンがあるにはあるし

「コ・レ・ひとつください」

「100円」

「あっハイ」お金を渡すと受け取った”あんパン”を手に持ち

クルマに戻るとまた走らせ始めました。

 

「まあパンはパンだから・・・」

そしてその”あんパンを見て念のために賞味期限を見ると・・・

「え~と、え~~!え~~~!賞味期限が1年前!」

「なんだこれ?」

助手席の方へポイと置きました。

 

「でも、見たところ普通の感じなんだよなぁ」

ちょっと興味をもって触ってみると、腹が減っているし見たところ普通だし・・・

袋を開けるとかすかにパンのようなにおいがします。

持ったところやや乾燥はしているようですが、割ってみるとアンらしきものがあり、

それもやや乾燥はしているものの原形はとどめているようだし、ちょっと暗いし・・・

防腐剤のせいかな?

 

飢餓状態の人間は思いもかけないことをするようで・・・

「ちょっとかじってみるか」

「うん?粘りがあるとか苦いとかそんな感じはないなぁ」

「もうすこし・・・」

「ゲッ、無くなっちゃった」

ついに食べ切りました。

1年前の”干しあんぱん”を・・・食べちゃいました。

 

その店の前を1週間ほど後に通りましたが・・・

どうやらお店としてはやってなくて幕が引かれていました。

 

私は今も生きてます。