土曜日のコラムを書き上げた後、心にポッカリ穴が空いている気がする。
いつもは、翌日の「スタジオ便り」の準備があるので、頭はフル回転していて、目まぐるしくいろんなものを吟味している。
しかし、今日はいつもの緊張感がない。
むしろ、明日の本番の舞台に気持ちがいっていて
ワクワクしている気分。
久しぶりの舞台。
それがこんな気分にさせていると同時にリラックスしている。
緊張感がなくなっている。
心の中では、全ては舞台を見てから・・・・。
勝手にそう段取りをしているような感じ。
踊る訳でもないのに、この高揚感は何なのだろう?
パリで大好きな画家の絵を前にして、身動きできなかった
あの衝動、突き抜けるほどの衝撃とも違う。
不思議な感覚。
今までだったら、手を伸ばせばいつでも触れることができ、
見ようと思えば、いつでも見ることができる。
そんな、当たり前のものだったものが、
当たり前ではなくなってしまった。
何かとても貴重なものに触る瞬間の、ワクワク感に似ている。
それは一回限りのもの。
二度と味わうことのできない舞台。
ちょうど私たちの人生のように、二度と起こらない。
同じ経験をすることは二度とない。
何かとても大切な時間。
この大切な時間を味わうことのできる幸福感と言ったら
大袈裟になるのだろうか。
私は久しぶりに酩酊した気分。
そして、その気分を味わう自分に別の自分がその様子を
微笑みながら見ている。
そんな光景が見えている。
私だけが見ているイメージ。
このイメージは誰も見ることができない。
それは私自身のもの。
私だけの世界。
この世界のイメージをしっかり心に留めよう。
そうすれば、このイメージは私以外の人間に伝えられる
「言葉」となって、私の心に現れてくるのだ。
この「言葉」こそが、私の捉えたイメージ。
「幸福感」に満ちた不思議な空間。
このイメージをしっかりと心に刻み込まなければ
もう、永遠に失われるのだ。
言葉という形にしてこの世に留めるのだ
そうすれば、多くの人が
このバレエを自分が見ていたかのような
美しい光景となって再現できるのだ
そうなれば
一回限りの瞬間も永遠となる。
だから、踊りを失敗しないようにと祈るような気持ちとも違う。
バレエの舞台が、そこに存在し、いろんな教室の生徒たちが
舞台でバレエを披露し、その踊りを多くの市民の方が
観覧する、その姿が私の心の中に映し出されている
このイメージが、なんとも言えない幸福感で包まれている。
その幸福に満ちたバレエの舞台。
今日、本番を迎える。
相模原のバレエ教室なら