佐渡裕&新日フィル 「系図」の継承とマーラー4番 | 今夜、ホールの片隅で

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東京在住クラシックファンのコンサート備忘録です。

🔳新日本フィルハーモニー交響楽団 第653回定期演奏会(1/20すみだトリフォニーホール)

 

[指揮]佐渡 裕

[朗読]白鳥玉季*

[アコーディオン]御喜美江*

[ソプラノ]石橋栄実**

 

武満 徹/系図―若い人たちのための音楽詩*

マーラー/交響曲第4番 ト長調**

 

昨年4月から音楽監督に就任した佐渡裕氏と新日フィルのコンビを、就任後初めて聴く。特に注意書きは無かったが、開演時間になると佐渡さんがマイクを持って登場、当然のようにプレトークが始まったので、毎回の恒例なのだろう。さすがにしゃべり慣れていて、短時間ながら要を得た内容だった。

 

お目当ての「系図」、今回ナレーターを務めたのは白鳥玉季さん。ちょうどこの日が14歳の誕生日だったそうだから、2010年生まれということになる。過去に聴いた上白石萌歌&山口まゆが2000年生まれ、田幡妃菜が2005年生まれで、確実に新世代へとこの役が継承されている。

 

白い衣装で現れた白鳥さんは、大人びた宣伝写真よりはやんちゃな印象で、譜面台に台本を置いての朗読。発語にやや甘さはあるものの、音楽に合わせて抑揚がよくコントロールされ、読んでいない時の表情にも惹き付けられる。PAが拾う佐渡さんの鼻息が少々荒かったが、演奏は繊細でしみじみと美しく、この曲だけは聴くたびに落涙させられてしまう。

 

ところで、今回解説を読んでいて気付いたのだが、この曲の詩に出てくる「ごろー」って犬のことなんですね。何となく幼い弟かその友だちのことなのかとずっと勘違いしていた。たしかに「やせこけてどろだらけで」「びちゃびちゃみずをの」むのは家出した犬だよな。もっと「事件」ぽいシチュエーションを想像しちゃってました…。

 

「系図」とマーラー4番の組み合わせは、2016年1月に聴いたヤマカズ&日フィルの時と同じ。そしてマーラー4番の感想についても、読み返してみるとその時と似ている。佐渡氏のテンポは全体的に遅めで、特に第3楽章は今まで聴いた中で最も遅い部類で、新日フィルの弦の美しさをじっくりと引き出した。

 

★武満徹/系図 鑑賞履歴(2014/4~)

山田和樹&日フィル&上白石萌歌(2016/1/30)

スラットキン&N響&山口まゆ(2016/4/23)

川瀬賢太郎&神奈川フィル&唐田えりか(2017/10/14)

尾高忠明&都響&田幡妃菜(2021/3/15)