鎌倉七口探訪記 | 今夜、ホールの片隅で

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東京在住クラシックファンのコンサート備忘録です。

鎌倉に幾つかある「切通し」には以前から興味があって、一度訪れてみたいとずっと思いつつ、なかなかきっかけが無かった。それが2022年の秋、いつも拝見しているブログで朝夷奈切通しが紹介されているのを見て、俄然切通し熱が再燃した。

 

調べてみると、「鎌倉七口(鎌倉七切通)」という代表的な7つの切通しがあることが分かり、それらを回ってみることに。頑張れば1日で全て回ることも可能だが、急ぐ必要もないので、暇を見つけて数回に分けて鎌倉を訪問、足掛け3年で7つの切通しを歩いてみた。

 

以下、各切通しの印象を、訪れた順に記しておく。

 

朝夷奈(あさいな)切通し

鎌倉から東の金沢八景方面へと抜ける切通し。最初に訪れたのでそれだけ印象も強いが、規模的にも雰囲気的にも七切通し中随一と言っていい。もし1つだけオススメするならここ。

 

名越(なごえ)切通し

南の逗子方面へと抜ける切通し。横須賀線の踏切を渡り、電車がくぐるトンネルの上の山を登っていく。行く手を阻むようにせり出したこの「狭き門」が何と言っても最大の見どころ。

 

亀ヶ谷坂(かめがやつざか)切通し

鎌倉と北鎌倉をつなぐルートの1つ。舗装された道は生活道路になっていて、今ひとつワイルド感には欠けるが、自動車が乗り入れないので気分よくウォーキングを楽しめる。

 

化粧坂(けわいざか)切通し

北西の藤沢方面へと抜ける鎌倉古道の一部で、かつての激戦地。住宅街を抜けると、坂というより階段状の石が現れ、距離は短いながらかなりの急勾配を登る。その先は源氏山公園。

 

巨福呂坂(こぶくろざか)切通し

これも北鎌倉ルートだが、現在は並走するトンネルが開通し、七切通し中唯一通り抜けできない。鶴岡八幡宮の脇から坂を上って行くとここに至り、さらに右奥へ進むと道が途絶える。

 

大仏切通し

江ノ電長谷駅から北へ向かい、大仏様をスルーして大仏隧道の脇道を上がっていく。前半はありふれた山道だが、半ば過ぎに現れる石壁の連続が見事。2つ選ぶなら、朝夷奈とここ。

 

極楽寺切通し

江ノ電の海側、長谷駅と極楽寺駅の間にある坂道。現在は舗装された車道で、両側の斜面がかろうじてかつての趣きを伝えるものの、7つのうち最も「らしくない」切通し。

 

鎌倉周辺にはこれ以外にも複数の切通しが存在するようだが、切通し巡りの旅はひとまずこれで終了。三方を山に囲まれたこの古都の姿を、立体的に体感することができた。自然の中を歩くのは好きだけど、わざわざ登山するほどじゃない…という私のようなものぐさにはちょうどいい探索コースでした。