浩介「まぁね。でも自分のガキがブスとか死ねとかクセーとか言われてんのイメージしたら、そんなとこいーいー、行くことねって思うけどね。たまらんよ。学校なんかムリして行く価値ない。ともだちなんかいなくていい。いなくたってちっとも困らねぇ」
有希「浩ちゃんいないもんねともだち」
浩介「全然平気。たったひとり見つけりゃいいんだ。自分に合う人ひとり。それだけだって大仕事なんだから。その点俺らはちゃんと見つけたもんねぇ」
有希「誰を?」
浩介「ハッ!」
有希「冗談よ」
浩介「エヘエヘエヘ」
有希「ひくな佳代」
佳代「(表情に困る)」
浩介「たぶん俺は一般ピープルよりさ」
有希「一般ピープルって」
浩介「一般ピーポーよりね」
有希「古ッ! そしてしつこ!」
浩介「20年以上先に行っちゃってんだ。だから誰もついて来ねぇ」
有希「そして出世もできねぇ」
浩介「うんうん。ん?」
有希「ハハハ」
●寝室(深夜)
佳代が寝ている。目を覚ます。隣りのベッドに有希がいない。
小鉄が気づいて佳代に寄る。
●隣室
出てくる佳代。ベランダに気づく。浩介と有希のふたりが並んで夜の海を見ている背中。浩介の肩に有希が寄りかかる。
佳代「――(目を伏せる。F.O.)」