竜司の新作『暗夢の怜』を公開しました! | 哲学のプロムナード

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えー、予告通り、リレー小説の相方、竜司のソロ新作暗夢の怜の公開をここにお報せします。
先日の報告では、まだ僕が未読だったので詳細を記せなかったのですが今回はバッチリ読んだのでちょっとここに注目して欲しいみたいな紹介文的なものも併せて。

まあ先にリンクを置いておくので先入観なしで読みたいという方はどうぞ。
おそらく僕と竜司の共同アカウントで管理してる小説の中で最高傑作でしょう。ぜひ読んでみてください。


タイトル暗夢の怜
作者:竜司
種別:連載(3話完結済み)
キーワード:ミステリー 幽霊 恋愛
ジャンル:文学 ミステリ 恋愛
あらすじ
「まずはこの家にかかった呪いを解くぞ」真夜中のほろ酔い道中、少女の怪に晒された大学生林は、十九年前に自殺した少女の幽霊が現れると云う氏家宅へ白伊豆兄妹と共に赴くが……。
この小説のURL : http://ncode.syosetu.com/n6047bw/


 ここからは僕のネタバレしない程度の感想と紹介文です。まず独特の文体とキャラクターについて。これは僕が「京極夏彦のオマージュをうまく狙っていると思う」みたいなツイートをしたら、本人曰くやっぱりそうらしいので、京極さんのシリーズ読んでる人にはちょっと楽しい仕掛けがあるかも。そういう読み方をしてもなかなか面白い。おそらくこの人は京極さんのシリーズのあの人がモデルだろう・・・とかね。
 舞台は今から約25年前。僕なんかはまず時代が自分の生まれより前になると絶対に書けないのだけれど、Wiki等を駆使して見事に時事的な要素もクリアしているのが本作。その辺りもなかなか洒落ていて面白い。キャラクターも非常にユニーク。秀才にして麗人である
白伊豆、鬱気質だがどこか魅力的な林。今回はそれ意外にも登場人物が多くてなかなか読み応えがある。
 内容に関しては謎が謎を呼び最後にスッと納得の行く、ミステリ小説的な一面があって、カタルシスは在るんじゃないかな。竜司の作品では珍しい伏線回収型の作品(undecidedを読む限りでは苦手というわけではないのだろうけれどどちらかと言うと僕の方が多用しまくっている)で構想の練り方としては今回はかなり僕のやり方に似てて、だからこそあまりに見事に「オチ」を決めてきたので「すげええええ」と感嘆した次第です(笑) 例えば「魄」の件など見事。まあこれは読んでいただければ僕の言いたいことは解るでしょう。
 構成も伏線として妙技だったね。モノローグ的な章と章の接合部分に異色の章を挿入していくのは最後のスッと落ちるあの感じを随分助けていると思う。同じく学術的な説明も面白かったしエレメントとして良いチョイス。ちゃんと無駄な雑談ではないと思わせるあたりは確りしている。たまたま僕もその「学術的な描写」に関しては雑学として知っていたので面白かった。実を言うと結末は6、7割くらいは予想が的中したのだけれど、まあこれは相方だし僕ならではの特異な話だろうから、およその人は結末もかなり予想外で、ビックリするような「解決」が読めるのではないだろうか。ちなみに7割予想してても驚くし「成程そういうことかー!」という感じにはなるからねw いやはや、見事な創作をしたものだね、僕ではちょっとここまで作れない気がする。
 まあこれ以上長々と解説のようなことしてもアレだから、この辺で。これはわりと本気でオススメできるクオリティです。本人は言わないだろうから僕が褒めておきます。僕の性格を知っている人は解ると思うけど僕が本気で勧めているときはまず低クオリティではないから安心して読みください。




 ちなみに、『暗夢の怜』は単体でも読めるのですが作中にある過去のエピソードが、一応前作として存在するので、もし良かったら下に紹介しておくので前作も読んでみてください。文量は『暗夢の怜』よりも少ないですし、読みやすいと思います。
「クラムボン」をテーマとした創作企画を開催したことがありまして、その時に竜司が書いたものが、今回の新作の前作に当たります。


タイトル外道の秘
種別:短編
キーワード:クラムボン 宮沢賢治 ミステリー 伝奇
ジャンル:文学 ミステリ 伝記
あらすじ
「なる程。善く判りました、ご老体」大学生の林と景皇は喫茶店にて稀代の天才白伊豆に偶然出くわした。微睡みに包まれる林は薄まりつつある意識の淵で白伊豆の発した言葉――クラムボン――を確かに聞いていた。三人は”答え”を求め元雲水の老人の住む屋敷に赴くが……
作者:竜司
創作企画『クラムボンの多い料理店』参加作

この小説のURL : http://ncode.syosetu.com/n3318w/


 竜司の作品の中で特に評価が高い小説です。
ちなみに
宮沢賢治の『やまなし』を読んでいなくてもある程度解るので、気軽に読んでみてください。
まあ短い童話だし、プロローグ代わりに『やまなし』を読んでもらっちゃうのが早いかな(↓やまなしが全文読めます)
http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/46605_31178.html