物語の構成 | Novel & Scenario (小説と脚本)

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今回の新作は構成が少し複雑です。

時間の流れ通りだと最初社会派の物語が展開し、そこからホームドラマ、恋愛物語になり、最後また社会派に戻ります。

しかしこの行って帰っては読者に負担だろうと考えました。それで構成をいじり、最初にホームドラマ、恋愛物語を描き、そこから社会派の展開になっていく一直線にしました。A→B→Cという順の出来事を、B→A→Cに並び替えて見せるようにしました。

自分はこれまで物語について、「出来事を都合よく取捨選択し、並び替えたり盛ったりしたもの」とよくこのエッセイで書いてきましたが、この「並び替えたり」の部分ですね。

例えば事件モノ、推理モノで最後まで謎を明かさないテクニック。よくありますでしょ。作者は謎もトリックも当然わかっていて、順番通りには描かない。あえて伏せて謎めかす。

そういう組み替えは最近のテレビドラマだと特に多い気がして、タイトル前にショッキングなシーンをチラ見せし、その後は前回からの流れで無理なく穏やかに進行し、視聴者は最初に見せられた場面にいつなるんだろう、と心待ちにして見続け、繋がった時に「あーここで繋がるのか」と感心する。

または事件解決に至る大事な場面をあえて伏せ、どんどん悪い展開になると見せて、実はすべて仕組まれた行動だった、と最後に種明かしする。

そういった造りをよく見ます。途中途中をはしょり謎めかし、とにかく最後まで引っぱろうとする。

それがいけないわけではありません。自分もこれまで同様の描き方をしました。「逃避行」という短編小説の最後は、テンションを高く保つためあえて時間の流れを崩してます。

しかしそんな風に崩すのが「物語」というのを書きたかったからですね。物語はそういうものと。

比べて昨今のテレビドラマは、とにかく最後まで引っぱり見てもらおう、という狙いからの純粋なテクニック。それが悪いわけでは(繰り返しますが)決してなく、物語はそういうもの。でも作り手本位でない必然性があると、なおいいんじゃないか。

時間通りに並べればA→B→Cという順で起こった出来事を、B→A→Cに組み替えた。その方が一直線で負担がなくなる。さらに謎めかし最後まで緊張感が保てる。それでいて順番を変えた必然性がある。作為とばかりは言えない納得の理由がある。

そこはちょっとこだわったつもりです。

ただ下書きのシナリオは最初、A→B→Cという時間の流れ通りに書きました。その方がいいと思ったんですね。リアルに描け、あとが楽だろうと。それをあとからプラン通りのB→A→Cに組み替え、整えていきました。

それをまた小説化するのはなかなか難しく、さてどんな仕上がりになるでしょう。まだ完成には遠い感じです。

 

 

物語についてのエッセイ・目次

 


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