人生最初の記憶はいつ頃でしょう。
誰でも一度は思ったことがあるでしょうし、聞いてみると人それぞれでとても面白いです。
一般的にいつ頃か、何歳ごろか、という研究はたくさんされてるようで、ある研究だと３歳から３歳半にかけて。それ以前の記憶を口にする人は「カン違いしてる」とのこと。家族が語った思い出や昔の写真を見てのイメージ、それがいつの間にか記憶になってる、最初の記憶と思い込んでる、という説。
これは「３歳より前のことを憶えてる」という人にとっては面白くないらしく、まぁ気持ちはわからなくありません。最初の記憶は原点だったりするのに、それが事実じゃない、不確か、というのは動揺する。
原点はその後の人生を決め、今に至るまで影響してるように感じますし。自分はそういうのあります。一貫してるとストーリーとしてスッキリする。
そんな傾向のせいで「無意識に記憶を捏造」というのはありそうですね。
でも３歳より前の記憶もあり得る、誤解ではない、という説もあるようです。
思い出すという行為は遠くの出来事をはっきりさせること、望遠鏡のレンズを通して見るようなもので、実際より近くに感じる、という説（その名も「望遠鏡効果」と言うらしい。まんまじゃん）記憶は実は自分が思うよりもっと前の場合が多いと。
しかしそれだと「２歳ぐらいが最初」と思ってる人の記憶はさらに前、ということになります。ホントかな？
自分の場合は３歳から４歳にかけての時期と思ってたんですが、今回調べたところもっと前のようです。
ある特撮ヒーローのロボット、サイボーグが好きで（ソフビの人形を持ってた）自分のことをそのヒーローと同じロボット、不死身と信じてたんですが、ある日自宅玄関のドアに手を挟みまぁまぁ出血し、「あぁ、自分はロボットじゃないんだ、ただの人なんだ、いつか死ぬんだ」と思ったのが最初の記憶です。
３歳前の幼児がそこまで思うのは信じがたく、親に聞きましたが正確な時期をはじめその出来事自体あまり憶えてなく（親なんてそんなもんよね）でも特撮ヒーローの放送期間を調べるとどうしても３歳前なんですね。再放送はすぐしないだろうし（再放送の記録までは調べられませんでした）一緒に憶えてるのがアジサイの緑のまぶしさ、でも花はまだ咲いてない頃で、それも３歳前の時期と合う。
しかし一方で挟んだドアが冷たかった記憶があります。となるともっと前の春先か。それとも痛みや出血でそう感じただけか。そこらは曖昧。
とにかく自分にはショックな出来事で、思えばそうですね、心に残るのはショックや不快な出来事が多い。
それを早く経験すれば記憶も古く、遅ければ自然に最初の記憶も遅いだろうし、時期は個人差あるんじゃ？ 人によらない？ と思います。
そして自分の記憶もイマイチ怪しいし、研究もいろいろでよくわかんないな、というのが今の感想。
ただヒーローと同化して自分を特別視するような自意識は、みんな３～４歳ごろに芽生えるんじゃないか、と思います。自分を主人公にして世界を見始める。
「なぜこの世に生まれたんだろう。この家に生まれたのはなぜだろう。生まれる前はどこにいたのか。どこから来たのか。死んだらどこへ？」
不思議なことの答えを求めだす。
でも大人にもわからないことが多く、
「わからなくても何か意味はあるんだろう。この世に生まれたのは理由がある」
と思う。意味を見いだそうとする。
それはつらい時ほどそうで、
「こんなにつらいのはなぜ？ わけがあるはず」
自身を救うために意味を欲する。
「何もないわけない。そんなのおかしい」
そして物語にします。
「これが運命なら乗り越えたあとにきっとわかる」
自分を主人公にした物語。つらい経験も物語の一部にしようとする。
そうやって物語は自然発生するものだし、つらい時は実際支えになります。かけがえありません。
でもいいことばかりじゃない。
虐待されても自分の親を「いい親」と思う。思いたがる。つらくても、自分にとっては唯一の親だから。親子になったのは運命。悪い親のはずがない。物語が目を曇らせる。
物語は人を救うと同時に、誤らせもします。
世の諍いに目を凝らすと、その原因はことごとく物語に由来する、と自分には見えます。こじつけではないつもりです。
同じように薄々感じてる人は多いんじゃないでしょうか。
それでも物語は子供心にも欲するもので、否定しにくい。本能に逆らうような抵抗がある。
だから否定を書いてもあまりウケません。これまでの経験でわかってます。
それでもなお、と思うんですね。肯定と否定、両方書かないと片手落ちじゃ、と。
ほかに書きたいことは実はそんなにありません。