不思議、大好き! -2ページ目

不思議、大好き!

文章はすべてフィクション。ほぼ1話完結。

誕生日なんて大嫌い。

歳を取ることではなく、

じぶんのことを毎年

嫌いになるなら。

 

 

恐怖は喜楽を凌駕する

恐怖は哀しみに下回る

怒りは恐怖を圧倒する

でも

怒りは
願いの裏返し

哀しみは
助けて欲しいという訴え

喜びは
誰かと分かち合うことで加速する

恐怖や不安は
問題解決しなければならないという強い願い
 

じゃあ復讐は?

 

 

 




くすりを飲むのをやめた

いろんな理由で

ねむりをコントロールする

ねむりをコントロールしない

どちらにも大きな代償がある

すると、ほらもうねむれない

拳を鍛える

血が出て打てなくなる

お酒を飲む

頭が痛くなってどうしようもなくなる

アルコールと眠りは関係ないらしい

ねむれないとき

昔のことばかり思い出す

そんなとき

どんな場面も

今でさえも

頭をよぎるのはひとつだけ

*****
いつもごめんね
今日もごめんね
いつもごめんね

Baby I Love You

くるり/Baby I Love You
*****




この手を離せば
もう会えないよ
君と


SEAMO/マタアイタショウ

……

この歌を聞いたのはいつだろう。たまたま耳に入ってきて、調べたけど思い出せない。

手を離したらもう会えない。

そういうときってある。

正しいと思ってみてもいつまでもはなした瞬間がプレイバックする。

それだけじゃない。

僕は誰と手を離してきたんだろう。誰とだれとダレと…。後悔のような念に押しつぶされそうになる。

間違うのが嫌だから、思いとはいえ違う選択をする。そしてまた間違う。

間違いばかり。

ひとつひとつの選択に、間違いに、後悔に、涙ばかりが流れる。

何も変わってないのかな。間違いばかりしてもなにも変わらないのかな。何もしなくてもなにも変わらないのかな。



恋する凡人 試されてる 狂った星の上
やり方なんて習ってない 自分で考える

「変わりたい」何度思ったか
妄想だけでなく

今走るんだどしゃ降りの中を
明日が見えなくなっても

君のためになんでもやる
意味なんてどうにでもなる

力ではもう止められない



スピッツ/恋する凡人





ガンバレないよ ガンバレないよ

そんなんじゃいけないよ



8月駅降りて

田んぼで叫んだりして


/鈴木瑛美子&亀田誠治/Front memory






いつか結婚して

子どもできたとしたら

~Every Little Thing/Rescue me~

またひとつ傷を負う。またひとつ胸が痛ませることが増えた。またひとつ消えない悲しみを抱えることになった。

またひとつ幸せのイメージのボトルを海に流すことになった。またひとつ思い出が永久凍土に埋もれていった。またひとつ…未来に禍根を残すことになった。

恋心は、昔は抱いた時点で正解であり、本物だと思っていた。でも、何度恋をしても、結局は間違いであり、幻想だった。昔とは違う、いや、昔より残酷でエデンの園のリンゴのように、嘘と驕りと矛盾に満ちている。

何年か何十年か後に、君が子どもに挟まれ、見たこともない笑顔を湛える君を僕は見ることになるんだろう。

歳をとるとはそういうことだと、また知ることになった。

またひとつ僕は選択を誤ったんだろう。またひとつ記憶の城の窓という窓に、真っ黒いカーンをかけることになるのだろう。またひとつ僕は自分の弱さを痛感し続けるんだろう。

またひとつ悲しみ。またひとつの悲しみ。またひとつの苦しみ。

僕は昔からそういう悲しみや苦しみを正対する性格だった。知らず知らずのうちに向き合っている。避けるとか逃げるとかできない。

どうにもならない運命に、本当にガンとも動かない僕の望まない道を歩むことに、精神が歪めるほどの苦痛を身に受け続けた過去。

胸が引き裂かれるような、とんでもない悲しみに、大量の涙を流し、それでも向き合い、あの手この手を尽くして毎日をやり過ごした去年。

そんなとき、僕は拳を握り、気がつくと、やっぱり闘っていた。

どうしようもない苦しみを抱えた過去、僕は自分を変えようと、ここで書いているように、文章を書くようになった。

大量の涙を流しながら、懸垂や鉄球を殴り続け、掌の小指の下や拳骨にはタコができ、身体はLサイズからXLサイズになった。

こうした変化は過去から決別するほど大きな変化にはならないけど、苦しみや悲しみに一矢報いた証になるのだろうか…分からない。

僕はとことん弱い。弱すぎる。いつも間違い後悔し、反省しても毎回間違い、心底自分の性根の弱さを感じ絶望する。

健康を代償にして、毎日をなんとかやり過ごす。

今も、今度も、僕はまた間違い、僕を本当に想ってくれる人は、遠くに行ってしまう。

でも…たぶんおそらく…僕はまたひとつ強さを見つけて…日々それを磨いていくのだろう…きっと。





僕はあの時、彼女を裏切った。いやひどい別れ方をした。申し訳ないと思ってる。

でも、彼女は幸せそうだ。無口な人だったけど、写真の笑顔はそれを感じさせない。僕がそうさせていたのかな。

男の子と女の子。はさまれている。僕ができなかったことを、しなかったことを、彼女は成し遂げた。

嗚呼…幸せそうだ。幸せそうだ。幸せそうだ。

ここで僕の思いを書くのは今日がさいごにしようとおもいます。

体調が優れない。熱っぽいとかじゃなくて、舌先に出来た亀裂が治らなくて、ご飯が食べられなくて、胃はオーバードーズでずっと気持ち悪くて。運転できなくなって、明日の仕事をするのが精一杯で。

誰も信じたくなくて、見える世界は少しずつ変わってきてて、誰かが近づくとすぐに腹を立てて、涙は止まらなくて。

正気なうちに、なるべく正確に記しておこうと思ったけど、恨み辛み言ったらなにものこってなかった。

左様なら。




智恵子抄の智恵子とglobeのkeikoが重なって見える。

何が、どうして、どこが、どうして。

小学生の時、社会の先生が言っていた。

「すべての科学や学問は、突き詰めれば、ふたつのことを探し続けることに尽きる」

「それは、同じところと違うところを見つけることだ」

同じところは、二人ともアーティストで凄い人が夫で、子どもがいなかったこと。また、これは同じといえるかどうかは分からないけど、智恵子は統合失調症を患い、keikoは脳梗塞で倒れて精神は著しく退行し、精神年齢は小学校高学年から中学生くらいの精神になってしまった。

では、違いはなんだろう。これがよくわからない。分かり得るほどの情報がなくて、同じところほどピンと来る情報がない。

ただ、高村光太郎は献身的に智恵子を支えた。小室さんはkeikoどうだったのかわからない。

僕は、智恵子とkeikoを照らし合わせて、何を見出そうとしているだろう。

以下は、高村光太郎の詩の中で智恵子を捉えた二本の詩を記す。

※発病以前
●各個山麓の二人。
※磐梯山=福島北部の火山のこと。 

二つに裂けて傾く磐梯山(ばんだいさん)の裏山は

険しく八月の頭上の空に目をみはり

裾野(すその)遠くなびいて波うち

芒(すすき)ぼうぼうと人をうづめる

半ば狂える妻は草をしいて坐し

わたくしの手に重くもたれて

泣きやまぬ童女のように慟哭する


――わたしもうぢき駄目になる――


意識を襲う宿命の鬼にさらわれて

のがれる途(みち)無き魂との別離

その不可抗の予感


――わたしもうぢき駄目になる――


涙にぬれた手に山風が冷たく触れる

わたくしは黙って妻の姿に見入る

意識の境から最後にふり返って

わたくしに縋(すが)る

この妻を取り戻すすべが今の世に無い

わたくしの心はこの時二つに裂けて脱落し

闃(げき)として二人をつつむ此の天地と一つとなつた


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※発病後
●レモン哀歌


そんなにもあなたはレモンを待っていた

かなしく白くあかるい死の床で

わたしの手からとった一つのレモンを

あなたのきれいな歯ががりりと噛んだ

トパアズいろの香気が立つ

その数滴の天のものなるレモンの汁は

ぱっとあなたの意識を正常にした

あなたの青く澄んだ眼がかすかに笑ふ

わたしの手を握るあなたの力の健康さよ

あなたの咽喉に嵐はあるが

こういう命の瀬戸ぎわに

智恵子はもとの智恵子となり

生涯の愛を一瞬にかたむけた

それからひと時

昔山巓(さんてん=山頂)でしたような深呼吸を一つして

あなたの機関はそれなり止まった

写真の前に挿した桜の花かげに

すずしく光るレモンを今日も置かう


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智恵子は光太郎を愛していて、光太郎も智恵子を愛していたんだろう。

発病前と発病後も、お互いの愛は変わらない。




○表紙の彫刻は、高村光太郎がつくり、智恵子が着物の袖にいれた いつも持ち歩いていたもの。