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「玄関の蝶つがいの調子がよくないから、

 鍵屋さんに相談にいったんですよ。

 

 いろいろ話しているうちに

 宏君の話しになってねえ。

 

 要らない錠前で遊んだらどうかって

 言ってくれてね」

 

と和子さんは楽しそうだ。

 

 

 

 

「宏君がいつも

 知恵の輪で遊んでるって話したら、

 

 鍵穴を開けられるようになる方が

 面白いぞって言うんですよ。

 

 それもそうかと思いましてね。

 

 ちょうどいいと思ったんで

 いただいてまいりました。

 

 悪用したらいけませんけどね」

 

和子さんは嬉しそうに

錠前一式を宏の前に広げると、

 

 

 

「お茶にしますかね」

 

と立ち上がった。

 

 

 

 

寝る前にこっそり

家中の鍵を開けておいて、

夜中に外を

うろつき続けていた宏は、

 

和子さんにも、いつか、

愛想を尽かされると思っていた。

 

 

 

 

目の前に突然現れた沢山の錠前が

何とも言えずに摩訶不思議で、

 

可笑しくなって大笑いした。

 

 

 

 

入れたてのお茶とココア。

おやつ用の焼き芋をお盆に乗せて

戻って来た和子さんは、

 

「気に入りましたか。

 それは良かったです」

 

にこにこと笑った。

 

 

 

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               ♡ Have a nice day ♡

 

 

 

   ♡ 素敵な一日でありますように ♡