ストーリーで学ぶ地球環境問題【大好きな地球を大切に】第18日-海面上昇で水没する国も! | ひとも地球もサステナブル!

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★ストーリーで学ぶ地球環境問題


☆☆大好きな地球を大切に☆☆



【第18日】:

第2章 
地球温暖化はもう始まっている



海面上昇で水没する国も!


「一郎くん、なかなか鋭いね。

実は多くの学者が、君と同じような
予測をしてるんだ。

話が出たついでといっては何だが、
今から海面上昇について考えて
みよう」


あと100年くらいで、海面の水位が
最高82センチ上昇すると予測してる

んだよね」

尚子さんは、一郎くんが誉められた
ので、<よし、わたしも!と>張り
切って言いました。


「尚子さんも、よく勉強しているね。
熱心でうれしいよ」

と言う言葉に、尚子さんは内心
<やった!>と喜びました。


「尚子さんが言ったように、国連の
IPCCという機関は21世紀末に
最高82センチ海面が上昇すると
予測している
んだ。

50センチでも、南太平洋の島々や
バングラデシュなどの国々に
とっては大問題だ。

たとえばモルジブなど36の島国で
国土の多くの部分が水没する
恐れが出てくるんだ。

そして、世界人口の10%もの
人たちが住むところがなくなり、
ほかの土地に移らなければ
ならないんだ」


「えぇっ、50センチでもそんなに
大変なの! 

もし1メートルだったらどうなるの
かしら?」


「実はIPCCは、海面が1メートル
上昇した場合も予測しているんだ。

それによると、マーシャル諸島の
一部では80%、バングラデシュでは
18%の土地が海中に沈む
そうだ。

オランダでも海面上昇で約2200
平方キロメートルの土地が失われ、
アフリカのナイジェリアやセネガル
では、海岸沿いの土地が水没する
恐れがある
と言っている。

このため、沿岸地域に住んでいる
高潮の被害を受けやすい人口は
世界全体で、現在の4600万人
から1億1800万人に増加すると
予測されているんだ。

これは人口の増加を考えていない
数字だから、実際には、もっと
多くの人が高潮の恐怖に怯える
ことになる
だろうね。

たとえばモルジブやツバルという
国なんかは、国土の大部分が
海抜1メートル以下だ。

 
  
 

 

 

 


海面上昇で国自体がなくなって
しまうかも知れないんだ。

50センチの上昇でも、高潮や津波に
襲われたら人や動物は、どこに
逃げたらいいんだろうか?」


「1メートルだったら防潮堤を造れば
防げるんじゃないですか?」

一郎くんが提案しました。


「確かに、先進国だったら海岸に
防潮堤を築くことができるかも
知れないね。

でも発展途上国や小さな島国では、
防潮堤を造るためのお金が
足らない
んだ」


「だったら先進国がお金を出せば
いいじゃない」

尚子さんが口をはさみました。


「尚子さんの言うとおりだね。でも、
そんなに簡単にはいかないんだ。

というのは、小さな島国の多くは
サンゴ礁でできているんだ。

サンゴ礁はすき間がたくさん
あいてる
よね。

尚子さん、これにはどんな意味が
あると思う?」

「どんな意味って?

・・・・あっ、そうか・・・・海岸に防潮堤を
造っても、サンゴ礁のすき間を通って
海水が島の中に入ってくる
んだ。

そしたら、堤防の内側がプール
みたいになっちゃう」


「そうだね。
それと、地下水に海水が入って来る
ことになるよね。

当然塩分の濃度が高くなるので、
農産物など植物が育たなくなって
しまう


つまり塩害が深刻になるってこと
だよ。

海水が島の中に入ってこない
ようにするには、海底の深い
ところから防潮堤を造る必要が
あるんだ。

何千メートルの高さの堤防を
造るなんて、いくら先進国がお金
持ちだからって、とうてい不可能

だよね」


「島国の人がかわいそう!」

尚子さんが心から同情しています。


「実は、もっと大切なことがあるんだよ。
小さな島国の人たちは、もともと二酸化
炭素をあんまり出していない
よね。

だから、そこに住む人たちは、

『もし私たちが、二酸化炭素を先進国
並みに排出していて国が沈むのならば、
しかたないかも知れません。

でも、私たちは車も工場も少なくて、
ほとんど二酸化炭素を出していません。

なぜ私たちの国が、大量に二酸化炭素
を排出している先進国によって沈められ
なければならないのですか』


と訴えているということをよく考えて
欲しいんだ。

先進国の人間は、この声を真剣に
受け止めて、

『もし自分の国がそのような状況
だったらどうしよう・・・・?』


と考える必要があるのではない
だろうか。

だから、かわいそう、という他人ごとの
ような問題ではない
んだよ」

大南先生がしみじみと語りました。


「もし自分の国がそのような状況
だったら・・・・?

ボクたちは日本から来たんですけど、
日本に住んでいる人は、あまりそんな
ことは考えていないようです。

まるで人ごとみたいです」

一郎くんは、日本の海岸地帯に広がる
工業地帯や、海岸線に沿うように延々
と続く高速道路を思い出して言いました。


次回に続きます。