成長スピードという概念と環境制御 | あなたも農業コンサルタントになれる

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  わけではない / by 岡本信一

成長スピードという概念と環境制御

 

このブログでは、成長スピードが収量や品質の重大要素であるように書いていて、あたかも土壌硬度分布のみがそれを支配しているかのように誤解されるかもしれない。

しかし、実際にはそういうことではなく、作物の成長スピードは日照、温度、湿度、土壌水分、施肥、管理など多くの要因が関係している。土壌というのも環境の要因に過ぎないということもできる。露地栽培の場合、環境制御できる部分が少なくなるので相対的に土壌の影響が大きくなる。

土耕の施設栽培においても土壌硬度分布の影響はあると考えられるが相対的に、温度などコントロールできる環境要因が多くなるので土壌要因の影響は、相対的に小さくなるだろう。ただ、土壌は作物成長の環境要因として大きな要素であるだろうということは間違いない。

私の立場から言えば、土耕栽培の環境モニタリングに土壌という大きなな要因がかけているがために、なかなかこれまでの環境モニタリングが汎用的なものになり得なかったのだと思う。

 

さて、土壌硬度の話から離れて成長スピードがそのものが作物の成長の仕方を決め、その結果として収量や品質の大きな要因になっているという仮説は成り立つだろうか。

私は成り立つと思う。

私達は環境(土壌硬度分布を含む)だけではなく過去ずっと作物体のモニタリングを行ってきている。作物体の大きさや重さであったり糖度であったりである。

様々な環境要因の結果である作物体そのものを測定しているために、成長スピードという概念を語ることができるのである。

環境モニタリングの限界というのは、間接要因に過ぎず、環境によって作物がどの様になるのかだけが重要なのである。

作物の品質、収量を決める要因のかなりが作物の成長スピードに依存しているとすると、様々な栽培要因が関係していることがわかる。

例えば肥料である。

窒素肥料を多めに与えるか、少なめか。

窒素以外の肥料を与えるか、窒素を与えるか。

灌水量を多めにするのか、少なめにするのか。

温度は低めか、高めか。

どれも成長スピードに関係する要因だとわかるはずだ。

一般に作物の収量という所を見る方が多いと思うが、優れた生産者は作物の出来を非常に気にしている。成長スピードという概念は知らないにしても、成長のスピードには気を配っていると思う。

もし、成長スピードが非常に重要という仮説が成り立つならば、水耕栽培などでも全く同じように考えることができる。環境要因の一つ、土壌を考えないと言うだけの話になるからだ。

その栽培環境において、成長スピードに影響を与える要因を特定できればこれまでよりも遥かに容易に環境制御ができるようになるだろう。

と言うよりも、生体のモニタリングを上手くできれば、環境制御もこれまでの個人の感覚で行っていたものを半自動制御程度にできるようになるだろう。もちろん作物のどの部分をモニタリングするのか、という大きな問題はあるが、私達が行っている成長スピードモデルをもとに行えば割と簡単に特定できるだろう。

そして作物の生長モデルのシミュレーションもこれまでよりはるかに容易になると考えられる。

これは以前書いた栽培の設計という話であるが、成長スピードの実際の調査結果を見ていただいた現在ではよりその可能性を感じていただけたのではないだろうか。

このあたりはまだ取り組み始めたばかりだが、始めると意外に早くたどり着けるのではないかと考えている。

 


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