露地栽培は植えたら何も出来ないー植えた時点で最大収量品質は決まっている
圃場内の出来の不揃いの原因はなにか。
多くの原因があるが、露地栽培において最大の原因は圃場内の水たまりだ。前回も書いたように、起伏があれば水が溜まってしまう。細かな起伏の原因は、大部分が耕起作業の適当さによる。作物の出荷が終わり、次の耕起作業は気楽なもので中には適当に走る人までいる。このときの適当さが後々までひびくことが多い。一度起伏ができると場合によっては、その起伏が増幅するためである。表面に起伏があるということは、耕起の深さまで変わってしまう場合も多い。そうなると後に表面が均されたとしても作土の深さまで変わってしまう事になる、私のいう土壌硬度が変わってしまうのである。
細かな起伏の問題はまだある。播種深度が安定しないために発芽や初期生育にばらつきが出やすい。
その他にもいろいろある、まっすぐ植えられていない、その事により管理作業にムラができやすい。
肥料散布、マルチやトンネルなどの資材の使用方法が適当でムラがある。
基盤整備されたような畑圃場は、畑のど真ん中にでかい水たまりができることが非常に多い。これは長年に渡る耕起作業により、圃場の端に土壌を持っていってしまったために起こっている。これは非常に大きな問題で、簡単に直すことが出来ない。
これらは技術というよりも圃場を管理する上で基本中の基本で、これをきちんと出来ない農家は、どのような技術導入を図っても経営は好転しないだろうと断言耕起できるように意識しているという答えが帰ってくる。むしろ当たり前でしょという反応である。
同じ作業機を使うんだから同じ回数で耕さなければならない、ということを意識しているのだ。
耕起作業のムラというのはここであからさまに現れる。往復で作業工程がかぶっている部分は二度作業したことになり、その部分は当然土壌硬度が違ってくるのは誰でもわかるだろう。こういったことの小さいことの積み重ねが圃場内のムラにつながるのである。
さて、こういった管理の問題ではなく土壌硬度の観点から見ると、耕し方がいい加減なせいで圃場内の作土層がバラバラというのは大問題だ。そしてこれは土壌の硬さを測定してみなければわからない。
土壌の硬さは何によって決まるのか。
多くの方がイメージするのは、有機物による土壌の改善だろう。しかし、これは間違っている。
もちろん土壌に有機物を施すのは重要であるし、土壌の物理的な条件に影響を及ぼすのは間違いない。しかし、土壌の硬さを測れば一目瞭然。耕すことで土壌の硬さなどすぐにもとに戻ってしまう。基本的に有機物の投入は長年に渡る有機物の損耗を防ぐためであり、土壌の物理的性質を一気に変えるのはかなり難しい。
むしろ緑肥などによる根の張りのほうが、深い部分の土壌の物理性を変える効果は大きい。
つまり、いわゆる作土部分の土壌の硬さを決めている一番大きい要因は耕し方である。
有機質とか微生物に気を使っている人は、耕起作業などを軽く考えている方が多いのだが、無茶な耕起を行えば物理的に壊されてしまう。
有機物や微生物の投入と同じように土壌の耕起方法にも気を使うべきである。
土壌の硬さ、土壌硬度分布は耕し方が適当だとばらついてしまう。これについては今後データを含めて開示するが、土壌硬度がバラバラであれば出来もばらつくのだ。
どのような場合も同じだが、特に土壌の影響が大きい露地栽培の場合には耕し方がかなりその後の作物の成長に影響する。
考えてみてほしい。多くの農家の方は、植えたあとが栽培管理だと考えている。しかし、実際には露地栽培は植えたら植えっぱなしであとはお天気任せなのである。
生長に影響するような栽培管理はいくつかあるが、基本はお天気任せでトンネル栽培などを除けば追肥くらいで、成長に影響を与えられる作業というのはあまり無い。もちろん防除作業などもあるが、これは悪くなるのを防ぐだけで良くすることは出来ない。もう一度書こう。植えた時点で最大値は決まっていて、それを以下に減らさないような栽培管理しか基本出来ない。マックスの収量品質を得るためには、植えるまでの作業が全てなのである。
私に言わせれば露地栽培というのは、前作の終わりから植えるまでの耕起作業なりの準備工程で出来が決まっているのだ。
耕起作業などにおいて気を使い始めるのは植え付け準備の段階からだと思うが、前作の終わりからの作業が重要で気をつけるべきものなのである。
次回以降、圃場内の土壌硬度が収量だけではなく、内部品質の違いにも現れるということについてもデータを含めて触れてゆく。
ブログランキングに参加しています。
もしこのブログが役に立った、応援してもいいとお考えでしたら、ポチっとしていただけると更新する励みになります。よろしくお願いいたします。
にほんブログ村
農林水産業 ブログランキングへ