人を雇うのが一番難しいのかもしれない | あなたも農業コンサルタントになれる

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  わけではない / by 岡本信一

大規模化に欠かせないのは、常時雇用だ。

雇用というのは、多くの人を悩まさる。

まず、経営的側面から言うと最初に雇用に踏み出す時のハードルが高い。繁忙期にお手伝いしていただけるような方がいつも確保できるのであればよいのだが、規模が拡大するにつれそういうわけにもゆかなくなり、常雇用の人が必要となるのが常である。

最初に常雇用の方を雇用する時のハードルが高いのだ。

理由は、それまで一人しかいなかった場合、一人だったところから二人に増えるわけで、単純に二人分の利益を確保する必要が出てくる。10人いるところから1一人増えるのであれば、雇用のための費用は10人+1人に過ぎず、大幅な増加ではないが、二倍になるというのは非常にインパクトが大きい。

しかも、人が二人になったからといって効率が二倍になるわけではない。

農作業の場合、人が二人になると効率は二倍以上になるのが普通だが、それは一つひとつの作業の話であって、すべての面で効率が良くなるわけではないのだから仕方がない。効率は、二人体制であることに慣れてくれば徐々にアップすると思うが、利益は二人になったからといって簡単に二倍になるわけではない。これがハードルが高い理由である。

はじめて雇用する場合、雇用者側が不慣れなためにうまく人を使いこなせない場合も多く、雇用を始めるハードルというのは意外に高い。


しかし、実は問題はそこだ。人を雇っても居着いてくれない、働きが悪い、など雇用したらしたで不満だらけであるのが普通になる。しかし、わたしから見るとどちらかと言うと雇用する側に問題があることが多い。

一般的に小規模で行ってきた農家は、人を使うことに慣れていない。どのようにしたら良いのかがわかっていない人が多く、やたら居丈高になったらり、やたら下手に出たりする。

農家の方でも社会経験があったりすると、自らが雇用された経験があるので人をどのように使うべきかということがわかっているが、学校卒業で即就農であると人を使い、使われるということがわからない人が多い。

更に農業現場での雇用ということになると、人材難である。

こういってはなんだが、他の職場でそりが合わず、農業現場はのんびり出来るなどという理由で農業関係を目ざしている人が非常に多いためである。現場の方はご存知であると思うが「晴耕雨読」などというのは夢のまた夢で、のんびり出来るなどという理想とは全くかけ離れた現場である。

正直な話、いわゆる肉体労働に較べると、体力的には楽だし、変化があるので働く現場としては面白いとは思うが、理想と現実がかけ離れているということには変りはない。一般的な肉体労働であればそれなりの覚悟があるわけだが、農業の場合には先に述べたようにのんびり出来るようなイメージを抱かれているために、その覚悟がない人が多い。そのため人もいつかないことも多いし、なかなか現場の仕事になじめないことも多い。

更に雇用者である農家サイドも人を使い慣れていないとなると、悪い条件が重なるわけである。

人を雇うというのは、実は栽培より難しいかもしれない。理由は、栽培であれば自らが行った結果がダイレクトに返ってくるのであるが、こと相手が人間ということになると思ったとおりにはならないためだ。


さて、人を雇うのに何かコツがあるだろうか。

ケースバイケースなので一概に述べることが出来ないが、重要なのは働いて楽しい現場にすることだと思う。

従業員の方への接し方も色いろあると思うけれども、どのような接し方であっても従業員の方が居着いて、うまくいっているところは楽しげだ。楽しければうまくゆくかというとそうでもないかもしれないが、少なくても険悪な雰囲気のところでうまくいっているところは少い。

従業員はロボットではなく、会社の大事な財産である。ある意味お客様よりも大事であるという意識を雇用者側がもつ必要がある。従業員の方が失敗した時、失敗することを前提に物事を考え、育てる意識が重要である。もちろんそんな単純な話ではないが失敗を従業員に押し付けている農場は、大体の場合、険悪である(笑)。

これはかなり思うことであるが、人を雇うのに向いていない人もいる。自らが働き者で、作業も早く上手くこなせてしまうけれど、人とのコミュニケーションを取るのが苦手という人は特にそういう傾向がある。人を雇うためにはコミュニケーションは非常に重要なので、そういう人は雇用という方法は諦めて、自らが出来る範囲で行ったほうが幸せになれるだろう。

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