タイトルに「奇跡のリンゴ」を入れるだけでもアクセスが伸びる傾向にある。
それだけ、関心が高いのだろう。
これまで、「奇跡のリンゴ」については、間接的な取り上げ方しかしていなかったけれど、真剣に「奇跡のリンゴ」に関連して心配していることについて書いておこうと思います。間違った情報の流布が今後されると思われます。間違った情報の流布は、私達現場にいる者にとっても、木村さんご本人にとっても、そして現場で有機栽培や無農薬栽培に取り組んでいる方にとっても不幸である。
私自身は木村秋則さんは、素晴らしい方だと思うし「奇跡のリンゴ」も感動ストーリーで素晴らしいものだと思うのですが、最大の問題は、それを利用して商売に結びつけようとしている方が多すぎるという点です。別に商売はいいとしても、「奇跡のリンゴ」をだしに使って間違った情報を植えつけながら商売に結びつけている方がいるという事実です。しかもそれに対して、多くの消費者が現場を知らないために、反論も否定出来ないために信じ込んでいるということです。困ったことに真面目な方ほど、今の農薬が危険で、F1種子も化学肥料も害悪であるというようなことを信じこまされている。もちろん負の側面もありますが、それを今後どのようにして負の側面を小さくしながら利用するのかが、私達現場にいる者の使命です。
あるところからの言葉を借りさせていただくと
「科学的に物事をすすめようという方達と思想哲学宗教で語る人達」の論争なのだそうです。全くその通りですが、消費者の方にとっては農業など全く知らない世界なわけで、初めて聞かされた話を信じこんでしまうわけです。中には農業者の中にも信じこんでしまう人がいたり、農業に興味のある方々というのも容易に騙されます。科学の皮をかぶった詐欺(間違った情報)に気をつけましょう。いつまにか取り込まれて、非科学的な話を信じてしまうことになるでしょう。
以下の様な全く非科学的な話を聞いたら、騙されている可能性もあるので注意しましょう。
●日本の農産物は農薬が非常に多く使用されているので、農薬が検出されるものが出回っている。
世界的に見ても残留農薬は少ないですし、きちんとデータも公表されています。全くの誤解か、デマです。
「240万件のうち65件に残留」をどう評価するか
http://www.foodwatch.jp/primary_inds/whatisgood/21459
●窒素養分は雷でどーんと土壌に入る。
問題外。←直ちに席をたって、立ち去りましょう。
●残留農薬基準以下でも危険。農薬のような化学物質は、現代の科学でも不明な未知の危険がある。
全く否定できるわけではありませんが、天然物、自然物含めすべてにはそのような危険はあります。典型的な非科学的な論理です。このような論調を語っている方は、基本的な毒性に対する科学的な知識がないと考えられます。
市販農産物による健康被害の可能性は低い
http://www.foodwatch.jp/primary_inds/whatisgood/21460
●昆虫が集まっているところは汚れている。
問題外。←直ちに席をたって、立ち去りましょう。
●昔の野菜と比較すると現代の野菜は、栄養価が落ちている。
変化があるのは事実でしょうが、栄養価は落ちていません。日本食品標準成分表の読み違いによる勘違い、もしくは、現在の近代農法を否定するための巧妙なごまかし。
「昔の野菜はよかった」は誤った努力の元凶
http://www.foodwatch.jp/primary_inds/whatisgood/31807
●硝酸態窒素は植物のバリアで、生育前期はそれで昆虫達から身を守っている。
問題外。←直ちに席をたって、立ち去りましょう。
●野菜が腐らない
多くの野菜は、萎れるのであながち間違ってはいませんが、これを語るのは非常に難しいです。理由は、天候などによっては、出来が変わるので真面目な方ではあれば、なかなか語ることができません。
●ヤマザキパン(マクドナルドなど)は、化学物質で腐らないようにしている。
ほとんどが全く根拠のない話。最も典型的な語り口。
ヤマザキパンはなぜカビないか
http://www.foocom.net/fs/takou_old/1013/
●有機栽培と慣行栽培には、栄養価に差がある。
殆どないです。圃場や栽培する人の技術による差のほうが大きいです。
有機栽培と慣行栽培に品質の違いはない!!!
http://ameblo.jp/nougyoukonnsaru/entry-11458003848.html
有機栽培と慣行栽培の間にあるものは?
http://ameblo.jp/nougyoukonnsaru/entry-11455234137.html
●作物にはそれぞれ日数が決まっていて、無肥料無農薬栽培ではその日数を過ぎるまでは昆虫は手を出さない。
意味不明。←直ちに席をたって、立ち去りましょう。
●硝酸態窒素は、化学肥料を使用するから増える。
硝酸態窒素は、さほど問題でもないし、化学肥料が増えるから硝酸態窒素が増えるわけでもない。
硝酸態窒素が増える問題の本質
http://www.foodwatch.jp/primary_inds/whatisgood/27889
●農薬は危険だけど、自然・天然の資材は安全
農薬が安全だとは言いませんが、現在考えられる最高レベルで調査され、使用されています。それと較べると自然、天然の資材は、なんの調査もされないまま使用されています。中には、発ガン性がはっきりと確認されているにもかかわらず使用されていることすらあります。
「天然物なら安全」と考えるのは誤り
http://www.foodwatch.jp/primary_inds/whatisgood/27887
●無農薬栽培・○○栽培だとアトピーが治る、○○病が治る
最も危険な話だと思います。なんの根拠もないことがおおいです。アトピー、化学物質過敏症などは人によって大きく症状が異なります。詐欺まがいの話と思って間違いないです。そういった病気に本当に悩まされている方の多くが、この話に振り回されています。非常に問題がある発言です。
●F1種子は、肥料を大量に使用しないと育たない。F1種子は農薬とセットで売られている。
そのように売られていませんし、F1種子でも無肥料でも育ちます。全くの言われのない根拠のない話です。
有機栽培は、技術的に次世代に入っていて、単に無農薬、無化学肥料を標榜する時代は終わっています。農業への興味が高まっていることは非常に良いことですが、明らかにおかしな情報に惑わされた方が多すぎます。
少なくとも上記の話を語る方は、認識が不足しているか、騙そうとしているか、どちらかだと考えられます。
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