「奇跡のリンゴ」は奇跡でもなんでもない | あなたも農業コンサルタントになれる

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  わけではない / by 岡本信一








実は、無農薬リンゴはだれでも、素人でも、私の如き口先だけのコンサルタントでもいくらでも出来ます。理由は簡単で単に放っておいて、リンゴが出来ればいいからです。一個しかできなくても、出来たことには代わりはないので、無農薬の貴重なリンゴです。仮に一個しかできなくても一億円で売れるのであれば、経営が成り立ちます。経営が成り立てばいいだけです。1/10しか収量がなくても、10倍の価格で売れればいいだけです。(本当は違いますが、わかりやすくするための話です)


これは揶揄しているのではありません。無肥料、無施肥、だれでも明日から出来ます。やらなければいいだけのなので、だれでも出来ます。


多くの人は、無農薬でリンゴが出来たということに驚いているようですが、別にリンゴ自体は無農薬でも出来ます。問題は、それで経営が成り立つか否か、それだけです。リンゴだけではなく、すべての農産物は、無農薬、無肥料で出来ます。誰もそこを指摘しないので、私が指摘します。


もう一度書きますが、無農薬リンゴは、簡単で誰にでもできる!!!経営を成り立たせるのが大変なのです。


神秘的な話でもなければ、特別なことでもなければ、もちろん奇跡でもなく、ごく普通の出来事だということです。


木村秋則さんが、どのくらいの収穫量があり、それによってどのような収入があるのかは知りませんが、とても素晴らしいと思います。私自身は、木村さんのやられたことは素晴らしいと思いますし、今後、私達(農薬を使用して農産物を作っている人)も取り入れるべき技術があると考えています。


しかし、木村さんのリンゴをわかりやすくいってしまえば、収穫量が少なくても高く売れれば、経営は成り立つというビジネスを展開しているということです(木村さんの場合は、もはや、リンゴのビジネスが必要かどうかも知りませんが)。


もし仮にですが、無農薬であれば10倍の値段で買います、という方がいてそれで経営が成り立つのであれば、そうすればいいだけです。


無農薬で栽培されている方々が様々な思いを持っているのは承知していますが、技術的に見ると、無農薬栽培はだれでもどこで今すぐに出来ます。ですが、経営として成り立つのが難しい、というのが真実です。無農薬などで非常に高名な方々の圃場を見た方々が現場を見て唖然とするという理由は、普通では到底経営が成り立たない程規模が小さかったり、収量がとても低そうだったりするためです。


だからこそ、無農薬でも経営が成り立っている皆さんの技術は非常に素晴らしいわけで、農薬を使用している方々もどんどんその栽培技術をとりいれるべきです。


はい、更にもう一度言います、無農薬リンゴは、誰にでもできる!!!難しいのは経営が成り立つかどうかだ。




次に奇跡のリンゴに関連して、環境への影響について


さて、農薬の環境に対する影響ですが、間違いなくあります。


現在の、比較的安全になった農薬と云えども影響あるのは間違いないです。


農薬を使用されている農家の方も、その点を知っているからこそ、多少なりとも後ろめたい思いをされていると思うですが、気にする必要はないです。←本当は、気にして欲しいです。


あえて言いますが現在、有機栽培といわれるものの作付面積は1%未満です。これが二倍に増えても、三倍に増えても環境負荷に対して大した効果はないです。


環境負荷を減らすことができるのは、無農薬栽培だけではありません。もし仮に、すべての農家の農薬の使用量が半分になったら、環境負荷は、ものすごく減るはずです。農家の方にとっても手間も費用も減るわけで、問題ありません。ほとんどの農薬を使用している方が、減らすことが出来れば十分環境に貢献出来ます。しかも、手間も減るうえに、出費も減るわけです。


有機栽培等による農薬を使用しない面積が2%まで増える、仮に5%まで増えたとしても、95%の方が農薬を使用しているわけで、農薬を使用している方が農薬の使用量を減らすことが出来れば、そちらのほうがはるかに環境に対する影響を低減できるわけです。農薬の使用量を減らすことで、経営に貢献できるうえに、環境への負荷も低減できます。一石二鳥ですね。


有機栽培が増えるということよりも、慣行栽培の方が農薬の使用量量を減らして、儲けていただくほうがはるかに環境に対しての影響が大きいです。私は、これまでそのように考え、活動して来ましたし、今後も同じようなスタンスで活動してゆくつもりです。現在農薬を使用している皆さんの努力こそが、環境への負荷を小さくできるのです。


農薬メーカーの方を悪人に仕立て上げているようで心苦しいですが、環境負荷が少しでも小さく、効き目の大きい農薬の開発をお願いします。多分ですが、価格が上がっても問題ないと思います。


二酸化炭素が増えて困っているにもかかわらず、自動車が走っている理由は何でしょう。更にその動く源である化石燃料を供給している会社は、害悪でしょうか。


自動車の持っている利便性が、二酸化炭素を排出することに対しても優っているという共通認識があるからです。それが本当に正しい判断かどうかは、分かりません。だから、車を使用しないという考え方があっても否定しません。人それぞれですから。農薬も同じです。


堂々と胸を張って農薬使用を語りましょう。農薬には負の側面がありますが、それを補って余りある部分があるからこそ、ほとんどの方が使用しています。負の側面があるのを知って、それをプラスの方向に結びつけることこそが重要だと思います。

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