──第3章「SCHOOL FESTIVAL」─
学園祭というのは当然、クラスでも出し物をしなければいけないわけで。
「さて、私達のクラスは何やろっか?」
教壇に立ったのは僕達のクラスの学級委員、妹尾光(せのおひかり)さん。
黒髪のショートヘアがよく似合う、東雲先輩率いる赤葉(あかば)学園生徒会執行部にも所属している少女だ。
「やっぱ定番はお化け屋敷じゃね?」
クラスの男子生徒がそう提案すると、
「いやいや、メイド喫茶っていう手もあるぞ」
「あえて劇するとかは?」
「クイズラリーみたいなのも面白いと思いまーす」
次々とクラスの人達が手を挙げて意見を出していく。
このノリと元気のよさが僕達のクラスの強みだなあ、といつも思う。
「ふむふむ、今のところはこんなもんかしらね。水無月くん、何か提案はある?」
「え、僕?」
「うん」
妹尾さんが頷き、クラスの視線が一気に僕に集まるのを感じる。
「うーん・・・・」
定番のものは出尽くしたし、何て言えばいいんだろう・・・。
助けを求めようと奏さんの方をみると、
「学園祭っていったらやっぱり模擬店だよね・・・焼きそばにかき氷にフランクフルトに・・・むふふふふふふふふふふふ」
ダメだ。なんか変なスイッチが入ってる。
ていうか食べ物の話されるとこっちもお腹が・・・たい焼き食べたい・・・。
「水無月くん?」
僕まで変なスイッチが入りそうになったところで、妹尾さんの一言で現実に引き戻された。
「あっ、はい!!えーと、メイド喫茶なら僕ん家にメイド服もたくさんあるし食材とかも揃えられると思うからメイド喫茶がいいと思います!!!」
最後まで言い切ると、クラス中がざわざわし始めた。
「メイド服がたくさんあるって・・・・」
「やっぱり梨桜っちの家ってお金持ちなんだ!すごーい!」
「みんな静かに!!」
妹尾さんがクラスのざわめきを静める。
「よし!!じゃあ私達のクラスはメイド喫茶で決定ね!!メイド服とかは水無月くんに任せるとして、早速準備を始めるわよ!!!」
「「「おー!!!!!」」」
というわけで、僕達のクラスは学園祭に向けて準備を始める事となった。
*
「へー、梨桜達はメイド喫茶か」
「優希くん達は?」
「俺達はお化け屋敷だ」
「おお、被んなくてよかったです・・・・」
僕達と優希達はクラスが違うけど、どうやら優希達のクラスも無事に出し物が決まったようだ。
ちなみに今日は部活が休みなので、僕達はライブに向けての練習のために僕の家に向かって歩いている。
「それにしても奏ちゃんが昔バンドやってたとはなー」
「中学で解散しちゃったけどね」
奏さんは苦笑いをしながらそう言うけど、正直僕も意外だった。
聞いたところでは奏さんも昔中学のクラスメイトとバンドを組んでいたらしく、その時に作った楽曲を僕達に提供してくれるのだそうだ。
「でも、いいのか?」
「何が?」
「俺達に曲くれる、って・・・・。お前がやってたバンドでも演奏してたんだろ?」
「ううん、あの曲は演奏する前に解散しちゃったから、大丈夫」
そう言った奏さんの表情が一瞬、暗くなったような気がした。
けど、奏さんはすぐにぱっと明るい表情になって、
「急ご、みんな!たくさん練習しないと学園祭間に合わないよーっ!!!」
「わわっ、ちょっと待って下さいよ奏さん!!!」
走り出した奏さんを追いかけ、僕達も河川敷を走る。
僕の家に到着すると、僕達はさっそく練習を開始した。
「えっと・・・これ、楽譜ね」
奏さんから渡された楽譜の一番上には、「weather news」という曲名が女の子らしい丸文字で書かれていた。
「天気予報、か」
「おおー!!なんかすげえ!!!」
「そんなに褒められると照れちゃうよ・・・えへへへ」
照れ笑いをする奏さんを横目に、僕は楽譜に一通り目を通してみる。
メロディも歌詞も明るくて、なんとも奏さんらしい曲だな、というのが第一印象だった。
「うわ、でもすっごい難しいとこがある・・・これは結構練習しないとですね」
「確かにそうだなー・・・じゃあ早速始めるか」
「あっ!!ちょっと待って!!」
僕達が練習を始めようとしたところで、奏さんが突然思い出したように声をあげた。
「どうした?」
玲が首を傾げると、
「この曲ってギター2人なんだよね・・・「SIREN」ってスリーピースバンドでしょ?」
「あ、ほんとですね・・・・」
確かに、楽譜にはギターのパートが2つ。
スリーピースバンド・・・ギター、ベース、ドラムの3人からなる僕達「SIREN」が演奏するには1人足りない。
「私がやるよ」
「え?いいですか?」
「うん、私も梨桜ちゃん達と一緒に演奏したいし!それに、」
奏さんが何か言ったようだったけど、最後の方は声が小さくてよく聞き取れなかった。
「よーし・・・じゃあ奏さんも加わった新生「SIREN」・・・学園祭のライブ絶対成功させましょう!!!」
「「「おー!!!!!」」」
*
翌日。
「練習は順調か?梨桜」
「はい!!先輩達はどうですか?僕達のライブの後押しするって言ってましたけど・・・」
「んー?ふふふ、どうだろうなあ?」
意味ありげに笑う東雲先輩。
なんかよからぬ事を企んでそうな気がするのは僕だけだろうか。
「そういえば先輩達はクラスの出し物って何するんすか?」
「おお!よく聞いてくれたな優希よ!!いいぞ?教えてやろうじゃないかふふふ」
なんか今日の東雲先輩はいつにも増してウザい気がするのは僕だけだろうか。
今日は部活に来ているのは東雲先輩とニーナちゃん(本人がそう呼べって言った)と柊先輩だけだし、どうしたんだろう?
「3年は毎年模擬店をやるしきたりになっててな。俺と舞がいるクラスも例外じゃないんだが、今日は俺だけ仕事が早く終わったんでな!!こうして上機嫌なわけだ!!!」
天狗みたいに東雲先輩の鼻が伸びきってる気がするのは僕だけだろうか。
「ニーナちゃんと柊先輩のクラスは?」
「私と秋斗のクラスは校内装飾担当だから、学園祭直前じゃないと仕事がないもぐもぐ」
いつものようにチョコバーを頬張りながらニーナちゃんが言う。
「校内装飾って楽だからいいんだよね」
これまたいつものように携帯をいじりながら柊先輩が言った、その時だった。
バン!!!と勢いよくドアが開けられ、1人の男子生徒が慌ただしい様子で生徒会室に駆け込んできた。
学年カラーは緑。という事は3年生だ。
「どうした?橋本」
名前を知ってるという事は2人はクラスメイトなのだろうか。
東雲先輩が真剣な表情でそう聞くと、橋本と呼ばれた男子生徒は息を切らせながらも叫んだ。
「すぐ来てくれ!!!舞が倒れたんだ!!!!」
「!!??」
────続く────
こんばんは!
サイプロ新章、学園祭編です!
早速事件が発生したようですが、続きは次回のお楽しみという事で。
何気に一番キャラが定まってないのはニーナちゃんと奏だったりします。
自由奔放な2人は、自由奔放だからこそ何を言い出すかわからないようなキャラなんです。
ベクトルこそ違うものの、性格は似てるので2人は親友です。
ちなみに、今回タイトルだけ登場した「weather news」という曲は、俺のブログに歌詞が乗ってるので、是非見てみて下さい!
では、今回はこれで!!