【般若心経 オリジナル現代語訳 その6 観音菩薩の言葉 ⑤ 〜すべては無に還る〜】
(原文)
無苦集滅道(むくしゅうめつどう)
無智亦無得(むちやくむとく)
以無所得故(いむくしょとくこ)
(オリジナル現代語訳)
無明から老死に至る人の苦しみや悩みも
それらが本来は空(くう)であり無であるという次元から見れば
それらを滅することによって至る悟りすらもまた「無」である。
どれだけ知識を持って智(ち)を得ても、
どれだけ贅を尽くして物を集めても、
いずれは人の死とともに「無」に還(かえ)る。
何一つ持たない意識体、あるいは魂と呼べるものが人の本質であるからだ。
「悟りもなく、知ることも得ることもない」という般若心経特有の逆説的ともいえる無い無い尽くしのフレーズです。
言葉という不完全なツールで「空(くう)」という世界観を記述しようとすると、どうしても矛盾が起きてしまいます。
「知ることもないなら勉強することないやん」と受け取る人がいてもおかしくない。
「苦」の反対は「楽」と思いがちですが、「苦」と「楽」がカフェオーレのようにいい感じで混じり合って「幸せ」というものが感じられれように思います。
「何のために知る」かではなく、ただ今知りたいから知る。ただやりたいからやる。
それでいいんじゃないでしょうか。
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