あなたや私の見ているものすべてが、
実はすべて、
マボロシ
なんだ、と言われたらどうでしょう?
「無眼耳鼻舌身意 無色声香味触法」
(視覚や聴覚、匂いや味、身体に感じる感覚は実は無いのである)
「色即是空」が現代物理学のことを言っているように、
この「無眼耳鼻舌身意 無色声香味触法」は、最新の脳科学に共通することを言っているように思います。
もう一度訊きます、あなたの見ているものがすべてマボロシなんだ、と言われたら?
「いやいや、マボロシなわけないでしょう!だってほら目の前の机の木の感触とかわかるし、ほっぺたをつねっても痛いし」
けれど、私たちが見たり触れたりするものはすべて脳が創り出したバーチャルリアリティーの世界なんです。
手触りや身体に感じる痛みという感覚もすべて脳の中で創られたものだと脳科学は言います。
眼で見えているモノ(眼・色)
耳で聞いている音(耳・声)
鼻で嗅ぐ匂い(鼻・香)
舌で味わうこと(舌・味)
身体に触れられる感覚や痛み(身・触)
それらは全部脳内で変換されて、まるでそこにある現実のように構築されています。
例えば「見る」という行為は、目から入った光の信号を分析して、脳が三次元の立体像として頭の中に組み立てることです。
生まれながらに目の見えなかった人が手術等で目が見えるようになっても、目の前にコップがあるとかがわからないそうです。
私たちは生まれて、成長する過程でいろんなものに触れたりすることで、そこにどんなカタチのものがあるか、ということを理解するのです。
それを脳が視覚情報として頭の中に組み立てるわけです。
例えば、絵を描く時に物の輪郭の線から描きますよね。
でも「輪郭の線」というのは存在しません。
ここからここまでがこのモノのカタチであるというのは脳が判断して、私たちに「そこにモノがあることを見せて」いるわけです。
それを脳内で三次元空間の中に配置して、「世界を認識」しているらしいのです。
同じように、匂いや味、身体的な快感や痛みもまた、脳によって創られるものです。
すべてが脳が創り出した
「マボロシ」
「存在しないもの」
つまり「無」なのです。
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