Not Found 第3章 -19ページ目

先週末、母親が上京してきました。用もないのに。
どこいきたいのって聞いたら、上野と浅草とお台場と皇居と六本木ヒルズと東急ハンズって
ずいぶん図々しいこと言うんだけど、その東急ハンズっていうのがよくわかんないんだよな。
東急ハンズってあれだろ。マイナスドライバーとか売ってるところだろ。
世界の紙やすりとか売ってるとこだろ。
まあ、しょうがないから東急ハンズ以外を1日でまわったんだけど、六本木ヒルズで、
あんた付き合ってる子いるならお母さんハンカチ買ってあげるからそれ渡しなさいって、
わけわかんないこと言われて、ハンカチ渡してどうすんだとか言って言い合いになりました。
最後は新宿で酒飲んで、人生について語って帰りました。
で、こういうことを人に言うと親孝行だとか言われるんだけど、それは違うんだよな。
俺はただマザコンなだけなんだって。親孝行みたいな胡散臭い言葉とマザコンを一緒されちゃ困るわけだよ。
まあ、父親という共通の敵がいたから母親と手を組まざるをえなかったっていうのもあるし、
今考えたらそれによって俺が非行に走るのを防いでいたとしたら、
父親はわざとテーブルをひっくり返してたんじゃないのかとも思える。
たしか中学の時、家族で晩飯食ってて、妹が子供はどうやって出来るのって言って、
その瞬間食卓がシーンってなって、俺もなんとなくそういうのが分かってて、
子供心にすごいやばい空気を察していて、これどうなるんだろって思ってたら、
父親が、コウノトリとセックスをするってわけわかんないことを言った時があった。
あれも今考えたら父親は悪を演じていたのかもしれない。
父親が悪を演じて、母親があんな大人になっちゃ駄目だよっていう、
そういう教育だったんじゃないかと。母親ももう年だし、このまま一生マザコンでいられたら
こんなに親孝行なことはないんじゃないかと最近は思えるようになったわな。

立川談志

おい、今晩どうだい
やだね、あたし、売春婦じゃないよ
馬鹿野郎、誰が金払うなんて言った

そんなわけで先週の土曜日、立川談志の独演会を観に行ったんだけどその日のゲストがすごかった。
「女の股ぐらに手突っ込んで島流しになった人」っていう談志の紹介で登場したのは、
立川禿談次こと横山ノック。このツーショットはすごい。くたばりそうでくたばらない。
談志は落語を2本。「蝦蟇の油」と「黄金餅」。
2千人も入る新宿の厚生年金会館は落語をやるには広すぎて、
途中、後方の席から「聞えません」って声があがったんだけど、
談志が「これぐらいの声でやらなきゃ落語にならないし、
逆に言うと、これぐらいで聞けるようにならないといけない」
と言ってそのまま続けました。おつな感じでした。


■恋する幼虫 04年2月
★★★★★★★★★★10個

上映前に監督とプロデューサーのトーク会みたいのがあって、
そこで監督が「最近、セックスにエロを感じない」って言ってたんだけど、
女の裸ひとつ出さない映画をここまでエロく撮ったのは変態としか言いようがない。
過激でエロくてクールで最高だった。久しぶりに映画館で笑った。やられた。
俺、あのサブカル系って言うんですか、そういうのがすごく苦手なんです。
下北沢のアパートで貧乏な生活をするのがカッコイイみたいなあの空気。
ナンバーガールやくるりを聴いている俺達は選ばれし者達みたいなあの空気。
CD屋のことをレコード屋って言う人達がすごく苦手なんです。
この映画がサブカル系だとしたら、向こう10年これ以上のサブカル映画は作られないでしょう。
参りました。

拝啓 ACさん

40万勝ちを知って、半年振りにメールをくれたACさんへ

先日、天下統一するまで二度と戻らないと誓ったはずの大阪に2年振りに行ってきました。
相変わらず、関西弁を話せる俺達って笑いが分かる人間、みたいな空気や、
川に飛び込む俺達はノリが分かる人間、みたいなあの空気には全然馴染めなかったけど、
思えば18から24という最も多感な6年間を俺はここで過ごしたわけです。
仁川で博打を覚えて、東心斎橋で酒に溺れて、西中島で女の肌を知ったわけです。
久しぶりに入った梅田の焼き鳥屋「あづま」には、俺のオキニもACさんのオキニも既にいなかったし、
東通りのショットバー「2077」は内装がすっかり変わっちまってました。
いやいや店だけじゃなく、この2年で俺もACさんもこの街もなにもかも変わっちまったのかもしれません。
それでも「あづま」の手羽先餃子の味と「2077」のギムレットの味だけが
まったく変わっていなかったことに何か救いのようなものを感じてしまいました。
そしてあの頃、この焼き鳥屋で、あのショットバーで、ビートたけしと松本人志どっちが面白いかを
真剣に朝まで議論していた事を思い出しました。またその内、サシで呑みましょう。

追記
40万は全部使ってしまいました。3万円はもう少し待って下さい。

 
■コンフィデンス 04年2月
★★★★★★★★★★10個

この映画を観終えて映画館の外に出たら、ぴあのアンケートお願いしますって言われて、
この映画10点満点で何点ですかって聞くから、10点ですって言ったら
すごい驚かれて、さらに細かく感想を聞かれたから、偉そうに、
コッポラの生まれ変わりだとかレザボアドックを超えたとか、
色々わけのわかんないことを答えていたら、最後に写真を1枚撮られた。
これは絶対にぴあに載るに違いないって思って、色んな奴に俺がぴあに載るって言いまくって、
いざ今週のぴあを見たらまったく載ってない。どこにも、なんにもない。
あれはないよな。ひどすぎる。とてもじゃないけど、しばらく周りに会わす顔がない。
写真を撮るのにポスターの前でブイサインなんかしちゃった俺はどうなるんだって。
まあでも10点って言った事に後悔はない。今年最初の大傑作だろう。

新年あけましておめでとうございます。
忘年会お疲れ様でした。
参加された女性から、アドリブきかないんですねとか、一人称は僕なんですねとか、
日本酒ってイメージがあったのにさっきからディタオレンジしか飲んでませんよねとか、
ショートホープってイメージがあったのに、キャスターワンですかとか、
押尾学に似てるって言うから来たのにあんまりです、とか。
本当にね、忘年会なんて二度とやるかと思いましたね。

 
■ブラウンバニー 03年12月
★1個

「バファロー66」で脚光を浴びたギャロ、5年振りの新作。
カンヌで大ブーイングを浴びたらしいけど、これは普通につまらんでしょう。
ギャロのアップとキスシーンばかりの絵に描いたようなナニオー映画。
曲がりなりにも「バファロー66」を撮った監督。
つまらなかったと言ってあげるのが優しさってもん。
キスシーンが長すぎる。映画やドラマのキスシーンって本当に苦手です。
どうしていいかわからなくなる。5秒以上のキスシーンは耐えられない。
今まで観たキスシーンで良かったのは、ラブジェネレーションってドラマの木村拓哉と松たかこのやつ。
あれは撮影中に奇跡が起こったとしか思えない。あれを見た時、悔しくて部屋の中転げまわったもん。
木村が人指し指を松たかこの目の前で左右に移動させて、次の瞬間にキス。絶妙のタイミング。
木村が普段もあんなキスをしてるとしたら間違いなく天才だよ。
あのキスシーン以前と以後で俺のキスの仕方が変わった。
皆さん、そんなん言われてもって顔してますけど。顔こそしてますけど。

 
■息子のまなざし 03年12月
★★★★★★★7個

瀬戸内寂聴が、観終えた後感動のあまりしばらく席を立てなかったというベルギー映画。
息子を殺された父親が、刑期を終えシャバに出てきた加害者を前に葛藤する様を描いたロードムービー。
もう語り尽くされたであろう人間愛というテーマを、より深く、よりリアルに表現している。
この映画を観ていて思い出したことがある。
確か中学の時の道徳の時間だった。
担任の先生が「自分を動物に例えるとなんですか」とクラスの皆に質問をした。
周りはライオンだウサギだタヌキだって答える中、俺は確か、人間と答えたんだ。
この映画を観て、自分達は人間なんだという事実を改めて突き付けられた気がした。

有馬記念。

今年21個目、最期のG1。南場4局、オーラス。
今年は本当に博打の勘が冴えなかった。
これまでの負けを取り戻すには、今さら満貫やハネ満じゃ話にならねー。
リー棒すら残っていないこの状況で、狙うはダブル役満のみ。
もし当たったら、また伊豆の温泉にでも行こうか。
アクティブバイオ単勝。

 
■踊る大捜査線2 03年7月
★★★★★5個

この映画が公開されたのは7月19日の土曜日。
この日の事は凄くよく覚えている。空は晴れていたし、池袋は人で一杯だった。
その頃よく会っていたおねーちゃんがいて、その人と観に行ったんだけど、
それまで毎週のように会っていたその人とはそれが最期の日だった。
観終わって、サテンに入ってこの映画の感想を言い合った。
俺がなんて言ったか詳しくは覚えていないけど、
向こうが「もう一度観たい」って言ったのは覚えている。
しかし俺には、その「もう一度」が俺とじゃないって事が分かっていた。
俺ぐらいになると本当に、なにもかも、嫌になるぐらい全部分かってしまうんだ。
事実、その日が最期となった。
俺にとって「踊る大捜査線2」はその人と観た最期の映画。それ以上でも以下でもない。
まともな評価は一生出来ないだろう。

 
■猟奇的な彼女 03年2月
★★★★★★★★★★10個

実話が元になっている韓国のラブコメ。
当初、インターネットで短編小説として連載され口コミで人気に。その後、映画化。
「ぶっころす」が口癖の性格のきつい彼女とそれに振りまわされる彼氏。
彼女は昔のある出来事に対して心の整理がつかず、
二人は一度別れ2年後にタイムカプセルを埋めた木の下で会う約束をする。
これはもうビデオで10回以上観た。そして観るたびにうるうるする。
チョン・ジヒョンって女優の木村拓哉譲りのナチュラル演技が素晴らしい。
崖から遠くにいる彼氏に大きな声で気持ちを伝えるシーンが本当に泣けます。
歴史に残る名作。今年観た映画で、シカゴ、キルビルとこの映画がベスト3か。
途中で背景にUFOが飛ぶシーンがあるんだけど、それは本編とは関係なく監督の遊び。