Drowse さまよい

作詞作曲 ロジャー・テイラー

 

 

5作目のアルバム華麗なるレースの9曲目に収録されています。

 

 

今までのロジャーとは違った曲調です。

星I'm in Love with My Carと同じように三拍子(6/8拍子)のワルツのリズムだそうですが以前はハードロックな曲調でしたが今回はバラードのようにゆったりとしています。

 

「前作までの勢い任せの青臭い感じから、作詞家としての才能を開花させてきた」とか

「単なるロッケンロール野郎が成長した様子がこの曲からわかる」

などと書かれているのを目にしました。

 

"Drowse"は英国特有の風変わりな表現の一つ。うとうとする、居眠りするなどの意味があります。

揺れるようなギターにロジャーのゆるい歌声からまどろみに誘われるような気持ちになります。

ロジャーには珍しくゆっくりリラックスして聞ける曲で私は結構好きな曲です。

ロックなロジャー曲も好きですが!

 

この曲ではドラム、リズム・ギター、ティンパニーをロジャーが担当。

ブライアンはスライドギターを演奏しています。

ちなみにスライドギターが以前に登場するのは"星Tie Your Mother Down"です。

(ロジャーも単なるドラマーではなく、自分で形にしたい音楽というのが頭にあって、それを1人でも作り上げることのできる人だと思います。この話はまた後でします。)

 

歌詞にSunday Afternoonと出てきますが、フレディ作の"星Lazing On A Sunday Afternoon"は前作のオペラ座の夜に入っていますね。関連はないかもしれませんが。

 

現実的な詞を書くロジャーには珍しく、詩的な表現も入ってきているように思えるのです。

これもロジャーなんだな・・と思えます。

 

Queenのメンバーはみんなシャイなところがあるように思えるのですが、ロジャーは"見かけによらず"シャイだなと感じています。

フレディ、ブライアン、ジョンでさえも、ラブソングや詩的な表現、恥ずかしいような歌詞も普通に書いていますが、ロジャーは意外にそういうものがあまりなく、真面目な気がします。

それにある意味女々しいところがある彼らに比べて、歌詞からして本当に男前なんですよね・・ロジャーは。

 

そのロジャーが気持ちが良くて、ロジャーにしては少し詩的で美しい哀愁の漂う曲も書いてみた、という感じがします。

こんなロジャーもずっとあったのだと思います。

それとも、この時ロジャーは28歳。

「オペラ座の夜」の成功から何かが変わり本当に成長したロジャーの姿というものなのでしょうか。

 

この曲の最後、ロジャーがもにょもにょつぶやき、フェイドアウトしていきます。笑

詩集には載っていませんが、こう言っているそうです。

 

"

I think I'll be Clint Eastwood
(クリント・イーストウッドみたいになりたいな)
Oh no, Jimi Hendrix, he was good
(いやあ、ジミ・ヘンドリクスもかっこよかったね)
Let's try William The Conqueror
(征服王ウイリアムってのはどうだ)
Now who else do I like?
(え、他に誰が好きかって?)

"

 

可愛くないですか。

ほとんど聞こえないくらいにつぶやいています。

 

"

Have my eggs poached for breakfast I guess 
あぁ……朝飯はポーチドエッグにでもするか……

"

 

と、これはそのつぶやきの直前に言っているのですが。(歌詞にも載っています)

可愛くないでしょうか。

 

 

正直、明日の朝ごはんの話なんて載せても載せなくてもいい歌詞です。笑

 

 

歌詞もゆるい雰囲気の曲調も全体的にかっこいい曲なので、最後にあまり関係ないことばかりをつぶやいて思いっきり照れ隠しをしてきているような気がするのは私だけでしょうか。

フレディが、ちょっといいこと言った後に照れ隠しに悪態をついたり、汚い言葉を使ったりなどというような感じに少し似ている気がします。

 

みんな本当にシャイで可愛い気がします照れ

 

それと、「朝ごはん・・・」について考えるロジャーというのが単に可愛い気もしますし、この曲からは平穏・平和な空気が流れている気がします。

今まで辛い思いもして苦労して頑張ってきた時があったけど、ようやく一息つけて余裕のある日だって送ることができるようになった、というロジャーの心の余裕の表れでもある気もしてきます。

 

 

 

歌詞を記載させていただきます。
It's the sad eyed goodbye 
Yesterday's moments I remember 
昨日の去り際の悲しげな眼差しを忘れられない
It's the bleak street, week kneed partings I recall 
人気のない路地での曖昧な決別が張り付いている
It's the mistier mists the hazier days
深すぎる霧、霞みゆく日々
The brighter sun and the easier lays
眩しすぎる太陽、浅はかな行為
There's all the more reason for laughing and crying
笑いも涙もありふれたこと
When you're younger and life isn't to hard at all
若くて無垢な頃にはね

It's the fantastic drowse of the afternoon Sundays
日曜の昼下がりの彷徨える微睡み
That bored you to rages of tears
腐りきったお前への忿怒の涙
The unending pleadings To waste all your good times
憩いの時を虚しくする果てしのない言い逃れ
In thoughts of your middle-aged years
忍び寄る老いに思いを馳せる
It's the vertical hold all the things that you're told
植えつけられた常識
For the everyday hero it all turns to zero
溢れ返る英雄は色褪せ弾け散る
And there's all the more reason for living or dying 
生も死もありふれたこと
when you're young and your troubles are all very small 
若く、庇護されている頃にはね

Out here on the street we'd gather and meet
And scuff up the sidewalk with endlessly restless feet
僕らは路上から駆け出して靴底を擦り減らし遊び回った
Half on the time we'd broaden our minds
More in the pool hall than we did in the school hall
講堂よりもビリヤード場で知見を広げた
With the downtown chewing gum bums
Watching the night life the lights and the fun
盛り場でチューイングガムをせびる奴らと一緒に
ネオン街の歓楽を覗いていた

Never wanted to be the boy next door 
どこにでもいる少年であることが耐え難かった
Always thought I'd be something more
常に特別であろうともがいていた
But it ain't easy for a smalltown boy
鄙びた町の少年にとって容易いことではない
It ain't easy at all
何一つとして容易いことはなかった
Thinkin' it right and doin' it wrong 
案ずるは易くは行うは難し
It's easier from an arm chair 
肘掛椅子に埋まり空想に耽る方が遥かに心地良い
Waves of alternatives wash at my sleepiness
とりとめのない想いが押し寄せ眠気を洗い流す
Have my eggs poached for breakfast I guess 
あぁ……朝飯はポーチドエッグにでもするか……

I think I'll be Clint Eastwood
クリント・イーストウッドになりたいな
Jimi Hendrix he was good
ジミー・ヘンドリクスでもいいね 
Let's try William the Conqueror
ウィリアム1世みたいにイングランド征服目指す?
Now who else do I like 
他に誰がいたっけか……