鎌田茂雄(1994)『法華経を読む』(講談社学術文庫)
「方便品」について鎌田は――真実の教えを説く前提――(p48)
「三乗の教えは方便であり、一乗の教えこそ真実の教えであり、三乗の教えは、すべて一乗の教えに帰着することを明らかにしたのが方便品である」(p63)と述べる。
この方便の意味も「ウソも方便」などと現代人が使っているが、仏教ではもっと深い意味がある。それは置いておいて、三乗とは、声聞乗、縁覚乗、菩薩乗であり、一乗とは一仏乗のことであり、成仏を教えた法である。
釈尊は一切衆生に一乗の教えを説くことが目的だったのである。ここが理解できないと膨大な経典の中をさまよって歩く旅人に似て人生の真の目的を感得することはできない。