玉城康四郎(1986)『仏教の根底にあるもの』(講談社)
「未来の日本仏教の思想を想定する場合、いかなる心構えが必要であろうか」(p274~280)として、いくつかの項目を挙げている。
第一に、「個性ある仏教思想が出現するかどうかわからないが、もし出現するとすれば、1500年にわたるこれまでの日本仏教の歴史は、そのための準備期間と考えねばなるまい」。
第二に、「未来への伝統を今から開始することである」。
第三に、「これまでの仏教が既成教団という特殊の境域にのみ形式的に保持されて、一般の大衆に解放されていなかった点にも起因している。(中略)これを改めて、仏教に導入されていく機会を一般的なものにしなければならない」。
仏教が一般大衆に受け入れられていくには、伝統の中に甘んじることなく、広く大衆に解放されることが大事である。しかし、その自覚がある寺の指導者が幾人いるか。果たして葬儀中心でいいのか、もっと社会の問題に取り組んでいくのか、岐路に立っている。目覚めよ、仏教者!