テムズ川の源流枯れる 十数キロ下流に「始点」移動(jiji.com)
フランスで厳しい干ばつ、飲み水が不足する町も(bbc.com)
熱波に襲われたヨーロッパが旱魃に襲われている。もう何年も前だが、気候変動によってヨーロッパの気温が上がり、やがてスペインもフランスも砂漠化するだろう、そんな近未来SF番組を見たのを思い出す。
その「砂漠化」が現実のものとなろうとしている、そんな気がする。そうなればフランスやスペインのワインなど夢のまた夢、農民は農地を捨て移民あるいは難民と化すかもしれない。
欧州熱波でライン川水位低下、大型船航行不能(jp.reuters)
ライン川と言えばヨーロッパ大陸の物資輸送を担う経済上の大動脈である。そこで水深が浅くなって大型船の運航ができなくなっている。アルプス山系を水源とする大河の水深が40cmだ、50cmだと聞くとちょっと信じられない気分だが事実なのだろう。これでドイツの経済成長率が半減するだろうと予想するエコノミストもいるようだ。ドイツ政府の経済諮問委員会は3月末、ウクライナ戦争の影響で実質成長率を4.6%から1.8%と2.8ポイントとすでに下方修正している。戦争の長期化は成長率をさらに下押ししてるだろうし、ライン川のこの状態は疲弊化する経済に追い打ちをかけている。場合によってはマイナス成長まであり得るのではないか。EU諸国のウクライナ支援は消耗戦にどこまで耐えられるのだろう?
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UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)によると世界の難民の数が1億人を超えたという。日本は「避難民」という名目でウクライナ難民を受け入れたが、エチオピア、ブルキナファソ、ミャンマー、ナイジェリア、アフガニスタン、トルコ、コンゴ民主共和国など世界のいたるところで難民が生まれている。気候変動による水害や旱魃がもたらす農業被害が壊滅的なものになれば、国家間であれ内戦であれ戦争も増え続けるだろうし、必然的に難民はさらに増え続けるだろう。世界のあちこちで「極右」と言われる人々が台頭しナショナリズムが支持される。「民族浄化」という非道すらまかり通る、そんな時代の入り口に私たちは立っている。
21世紀が20世紀よりましだという根拠は、どこにもない。
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昨日、8月15日は77回目の終戦記念日。日本人は私も含めて、今や戦争を知らない人々が大部分。かって田中角栄氏は戦争を知ってる人がいなくなった時があぶないと語ったらしいが、それどころではない、昭和も知らなければ、20世紀も知らない、そういう人が増えている。時の流れのなんと速いことか。
そういう時代になって憲法改正がしきりに喧伝されるようになったが、果たして政治家は、そして国民は日本をどういう国にしたいのだろう?
改正するのは良いが、ビジョンが見えなければ意味がない。かなり前から憲法改正について「国民的議論を」と政治家は言ってきたが、国民の側には一向に盛り上がる気配がない。政治家は国際情勢の現状がああだこうだということだけで9条を変えようとするが、国家の理想を明瞭なビジョンとして語ろうとしない。それでなし崩しに憲法改正という。本気で憲法改正を言うなら併せて日米安保をどうするということも語られねばならないと思うがどうか。
5月か6月か忘れたが、ロシアのプーチン氏が「主権なき国家は消滅する」とか「主権なき国家は植民地である」とか言ったという記事を読んで思わず日本の事だと思ってしまった。日本に果たして主権はあるのだろうか?