その1 いのちをもらった | ココハドコ? アタシハダレ?

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自分が誰なのか、忘れないための備忘録または日記、のようなもの。

いのちをもらった。

 

放っておいたら1年かそこらで死んでいたかもしれない心臓の機能低下を、手術によって10年から15年くらいは寿命がのびたらしい。全身麻酔から覚め、人工呼吸器も外され、「ああ、手術終わったんだ」と自覚できたときに、「いのちをもらったんだ」という感覚が静かに湧いてきた。なにか、これまでとは全く違った新しい人生を歩みたい、そんな希望というか、あてどない夢のようなものに包まれた目覚めだった。

 

病名は「大動脈弁狭窄症」。今年の1月ころから息切れがひどく、医者に行って様々検査した果てについた病名で、当時はそう急いで手術するほどではないということで「経過観察」を指示されたが、週単位、月単位で次第に悪化しているのが自覚できたこともあって、「このままでは仕事に支障をきたす、できることならさっさと手術してくれ。」とこちらからお願いした。

 

手術は大動脈弁を切除して人工弁に置換するという、4、5時間はかかる結構大きな手術なのだが、循環器外科の医師にとってはそう珍しい手術ではなく、失敗する確率もかなり低いということを事前に知識として持っていた私は手術にあまり恐れを感じなかった。

手術室に入り、麻酔をかけられるとあっという間に眠り、、次の瞬間目が覚めると手術は終わっていた。4、5時間が体感的にはほんの2、3秒、夢を見る暇もない、あまりに深い眠りに何か死の世界から生還したんじゃないか、そんな思いにとらわれ、同時に「いのちをもらった」と実感した瞬間だった。

 

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手術後8日で退院、今日で術後3週間になるが、心臓はまずまず快調。手術でかなり体力は落ちたが、それも徐々に戻りつつある。手術にあたって胸骨を縦に切り開いて心臓にアプローチするため、今は心臓より胸骨が痛い。不用意にくしゃみでもしようものなら、すごく痛い。

 

骨がつくまで、ちょっと仕事には戻れない。しばらくは時間がある。「新しい人生」について少しは考えてみようと思っている。

 

 

 

 

 


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