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投資信託、『「リスク(期待リターン)が高いファンド」を保有している方へ』

こんにちは、実践派FP 斉藤俊行です。


読者の皆さんもお元気でしょうか。


ここ数日間、晴天にも恵まれているので、

日中は、とても温かいですね。

秋晴れの日は、お散歩がしたくなります。


仕事場も天気がよいと日中は、部屋の中が温かいのですが、

ただ、日が沈むと急に冷え込みます。


皆さんもより一層ご自愛くださいませ。



さて本題に入ります。


今年の株式市場は、夏以降上昇し、9月に高値をつけてから、

10月中旬まで大きく調整されました。

一旦、とりあえず、底を打った感じで、

今日現在(10/29)まで上昇基調が続いています。

これが最近の世界的な株式相場の傾向です。


先月からボラティリティがでかくなったのも、

以下の通り、現在、大きなイベントを控えているため、

市場参加者や機関投資家、そして個人投資家も疑心暗鬼になるなか

売買を繰り返し、世界の株価は、上昇も下落も一方向に大きく動いています。



・10月28日~29日 米国 FOMC


・10月31日 日銀展望リポート


・11月6日 ECB理事会


・11月7日 米国 10月雇用統計



大方の予想では、

米国時間の今日にも、FOMCにおいて、

QE3(量的緩和第3弾)が停止される予定です。


過去に、QE1、QE2が停止されますと、

その後、日米の株価は、大きく調整されてきました。



米国:NYダウ

    ・QE1終了から△約20%の下落

    ・QE2終了から△約19%の下落


日本:日経平均株価

    ・QE1終了から△約23%の下落

    ・QE2終了から△約25%の下落


上記のように、日米でいずれも

QE終了後、大きく株価は調整され、

次のQE実施が見えてくると、株は再び上昇に転じてきました。

このように米国のQEによって、

世界的に株式相場の流れは大きな変化が生ずるのが特徴です。


ただし、

過去のQEを停止した当時とは、現在の経済の基礎的条件は異なります。


ちなみに、

QE1実施の目的は、リーマンショックへの緊急対応で、

QE2実施の目的は、

欧州債務危機が勃発するなかで米国景気を引き上げるためです。



ですので、

世界的大規模な金融危機の真っ只なかにおいて、

2010年3月(QE1)、2011年6月(QE2)に、

QEを停止させましたので、

現在の相場環境とは大きく違います。


そういう意味では、安心しています。


とはいえ、米国のQE(量的緩和)が、

リーマンショック後の世界的な金融相場を形成してきたのは事実です。

米国経済やマーケットの状況は過去のそれとは違くても、

実際に、QE3が、正式に停止されますと、

為替市場、株式市場、金利・債券市場、商品市場に対し、

大きなインパクトがあるのは、間違いないでしょう。


というわけで、

株式ファンドをはじめ、米国シェールガス・オイル関連ファンド、

コモディティファンド、そして、リスク・リターンが高い債券ファンドなどは、

9月以降と同じように、値動きは激しくなることを

十分に想定しておかなければなりません。


ボラティリティがでかい相場がしばらくのあいだ続く

覚悟も必要かもしれません。


あと、私が個人的に気にかかるのは、

このQE3停止の局面において債券ファンドを保有している方です。


QE3終了後に、米国の金利が上昇する、

債券の利回りの上昇と債券価格の下落ということもありますが、

このように“分かりやすい変化”のことではありません。


債券ファンドといえども、

株式ファンドの基準価格の動き方と同じようなもの、

つまり、株式ファンドと相関性が高い債券ファンドおよび、

為替リスクを含めて、

非常にハイリスク・ハイリターンな債券ファンドもあるからです。


ですので、

債券ファンドへ投資をしているから安定運用が期待できる、

株式ファンドの基準価額の動き方と反対方向へ価額が動いてくれそうだ、

だから、ポートフォリオ全体では安定する、

といったことが、必ずしも期待できるわけではないのです。



私が、リーマンショック後に、

債券ファンドで為替ヘッジなしのものや

新興国債券や資源国の債券およびハイ・イールド債券などへ投資する

債券ファンドをクライアントさんの運用ポートフォリオへ組み入れることを

あえて積極的に推奨した時期があります。


2012年の半ばごろまでだと思いますが、

債券ファンドのなかでも、

比較的ハイリスク・ハイリターンな債券ファンドなども

運用ポートフォリオへ組み入れることをご提案していました。


ただ、それは、その時期が、円高・株安相場で、

これから景気拡大へ向かっていくことを期待していたからです。

言い換えれば、

その時は、投資家の心理はリスクオフでも、

近い将来リスクオンの相場へ切り替わっていきそうな

金融危機の冬の相場が明ける過渡期でもあったからです。



2012年の12月以降、円相場は、円安へ動きましたから、

当然、為替リスクを取る債券ファンド(為替ヘッジなし)には、

為替差益が発生しました。

また、同年の半ばごろからリスクオン相場となり、

新興国へ投資マネーが大量に流れ込みました。

そのあいだも世界的に各国中央銀行の金融緩和政策は続きます。


また、金融緩和策により先進国の金利が低下して行きましたので、

少しでも利回りを稼ごうとハイ・イールド債や

高金利通貨である資源国の債券も買われていきました。



ですので、

私が担当させて頂くクライアントさんは、

昨年から今年にかけて、

利益を確定させるなかポジティブな気持ちで

リスクを引き下げ保守的なポートフォリオへ切り替えるべく見直すことが

とても多かったです。


それでもなかには、数年前とは一変し、

保守的なアセット・アロケーションへ変更する私のご提案を受け入れず

あえて、ハイリスク・ハイリターンな投資方針のまま、

運用をご継続いただいているクライアントさんもいらっしゃいます。


その場合、リスク許容度の高い方なら心配しませんが、

そうではなく、リーマンショックや欧州債務危機などの当時の反応から

リスクに対しとても敏感な方もいらっしゃるはずですので、

その場合は、QE3が停止したあとの相場環境が少々心配になります。



リターンを稼げているときは、基準価額の変化は気にならなくても

例えば、円相場は円高へ、

さらに株価が急激に下がる局面が、数か月のあいだ続くと、

その時間を非常に永く感じることが、あるかもしれないからです。



私が、過去にご提案しきた債券ファンドのなかには、

オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、ノルウェーなどの

資源国へ投資する債券ファンドがあります。


このような資源国通貨の為替リスクが伴う債券ファンドは、

株式ファンドとは、プラス相関になります。

つまり、

先進国の債券ファンドには、違いありませんが、

値の動き方は、株式ファンドのものと非常に似通っています。

個別にファンドの基準価額の変動幅こそ差はありますが、

基本的には、リスクオン相場に強いファンドといえます。


したがいまして、

相場がリスクオフへ向かう時は、

先進国の債券ファンドではあっても

株式ファンドとともに基準価額を下げる可能性が高いです。


過去の基準価額を調べると、

円高・株安の局面では、

株式ファンドと同じように基準価額が下落しています。


このようにプラス相関のファンド同士を債券ファンド・株式ファンドとして

運用ポートフォリオへ組み合わせたとしても、

それは、株式ファンド単体よりも値動きの幅が小さくなるだけで、

リスクを緩和させる内容ではありませんし、

下落相場などに耐久力がある運用ポートフォリオにもなりえません。



今日の米国時間に、FOMCの会議がおわり、

QE3(量的緩和第3弾)について何らかの内容が発表されます。



これからも気を引き締めつつも、

投資信託による資産形成・資産運用を楽しんで行きましょう。





本日も最後までブログを読んでくださり、ありがとうございます。






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これからも


『「投資信託にだまされるな!」にだまされるな!』に

関連する内容や是非伝えたいことをブログでご紹介していきます。

最後までお読みくださりありがとうございました。






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女性の感性へ働きかけるよう意識して書きました。