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投資信託、『4月からの投資戦略について』

こんにちは、実践派FP 斉藤俊行です。


読者のみなさん、大変ご無沙汰しております。

花粉症の季節に入ってからしばらく経ちますが、

皆さんは、大丈夫でしょうか。


私は、外出時にマスクを装着することで花粉対策を実施しております。

ですので、あと、もう少しで花粉シーズンも終わりそうなので、

マスクによる息苦しさから早く解放されたいです。(笑)



さて、本題に入ります。


まず、日本株の相場についてです。

今年は年初からこの3月までのあいだほぼ一本調子で上昇してきました。

次に、為替相場もドル円が円安・ドル高へ推移するのと同様に、

ユーロとブラジルレアルやロシアルーブルなどを除き、

他の各国通貨に対しても概ね円安の方向へ動きました。


昨年の秋以降、皆さんにコンサルティングへお越しいただくなかで

リスク許容度が比較的高いクライアントさんには、

追加投資のご相談の場合に、

日本株式ファンドとJ-REITファンドを中心に買付けして頂きました。

ですので、担当させて頂くクライアントさんのなかでは、

短期間で資産残高を増やされたと実感されている方は少なくないと思います。

さらに、

運用ポートフォリオ全体を見直し、

リスク(標準偏差)を引き上げたクライアントさんもいらっしゃいます。

そのようなご相談では、日本株式ファンド、J-REITファンドの他、

海外の株式ファンドや海外債券ファンド等へも投資ウェイトを高めたため

ここまでのあいだ、リスクテイクが奏功しています。


このように、アセット・アロケーション(戦略的資産配分)のもと

分散投資された各ファンドは、

株式相場、為替相場などの影響を受けますので

この円安・株高相場の流れでは、

結果として、

積極的にリスクテイクされ投資された方の資産残高を増大させました。

もちろん、クライアントさんの資産残高が増えることは、

担当アドバイザーとしても大変嬉しいことです。



ただ、3月までの相場の流れを踏まえ4月以降の投資戦略を考えますと、

ご自身に見合った基本ポートフォリオへリバランスすることを推奨します。

さらに、担当させて頂くクライアントさんのなかでは、

保有されている債券ファンドの状況に応じて、

一部、債券ファンドの入れ替えなどのメンテナンスもさせて頂いております。

今年から米国の金利が上昇することも視野に入れているからです。



まず、マーケットで株価が急上昇したり、

為替レートが急激に円安へ進行した場合、

どこかの時点で大きな巻き戻しが起こる可能性が高いです。

これまでの相場の流れから、

私自身の感覚では、4月以降、

調整相場がいつ起きても違和感はありません。


さらに、

5月から6月にかけて海外のヘッジファンドが決算期を迎えます。

株高相場のあいだに利益確定すべく

我先にと売ってくる可能性がありますから

日本株ファンドの投資ウェイトが高い投資家の皆さんは注意が必要です。


もしも、

円安・株高の恩恵を受けたままの運用ポートフォリオのバランスであれば、

マーケットが反対方向へ動けば資産残高の縮小幅も目立つかもしれません。


また、6月以降、米国FRBが利上げに踏み切る可能性も考えられます。

その場合、マーケットは一時的に混乱するかもしれません。

3月18日のFOMCの声明文において、

利上げの可能性を弱める『忍耐強く』の文言を外したからです。

その結果、米国の市場では、6月の利上げも視野に入りました。

債券と金利(利回り)の関係は、逆相関ですから、

金利が上昇する局面では、債券の市況は軟調になります。


以上のことを考慮すれば、

円安・株高相場で株式ファンドをはじめ

海外債券(為替ヘッジなし)の投資ウェイトが、

拡大したままのバランスで

これから先もマーケットの相場の流れに任せるのではなく、

あらかじめご自身のリスク許容度のもと設定した

基本ポートフォリオの資産配分へ

リバランスを行うほうがよいと考えます。


とはいえ、

日本株市場には、次のような大口の買い手がいますので、

まだ1~2年、上手く行けば3年程度は株価上昇が期待できそうです。


①GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)

②3つの共済年金

  ・国家公務員共済組合連合会

  ・地方公務員共済組合連合会

  ・日本私立学校振興共済事業団

③かんぽ生命

④ゆうちょ銀行

⑤日本銀行

⑥海外投資家(これら上記の投資家の買いが期待できるとき)



昨年の10月31日に運用資産が約137兆円のGPIFの基本ポートフォリオは、

以下の通り、国内債券の投資ウェイトを縮小させる一方で、

国内株式、海外株式、海外債券への投資比率を引き上げました。


・国内債券の比率:60%  →  35%

・国内株式の比率:12%  →  25%

・海外債券の比率:11%  →  15%

・海外株式の比率:12%  →  25%

・短期資産の比率: 5%  →   ―


GPIFの期待リターンを2.0%から4.08%の2倍へ引き上げる一方で、

想定リスク(標準偏差)も4.7%から12.8%へ約3倍ほど拡大したので、

年金資産の安定運用という意味で心配がないわけではありませんが、

国内株式への買い余力は、まだ5~10兆円ほどあると推定されています。


その他(年金等大口の買い手)にも、国内株式を買い入れる余力について

3つの共済が買う余力が約1兆円以上、

日本銀行の買い入れ枠は年間3兆円のうち今年はあと2兆円など

かんぽ生命、ゆうちょ銀行も含め足し合わせると、

合計で最大40兆円以上になるともいわれています。


ちなみに、

GPIFが国内債券の比率を下げるなか国債の売却分を買い支えるのが

日本銀行です。

GPIFの基本ポートフォリオの変更を発表した同日(2014年10月31日)に、

日本銀行も追加の金融緩和を実施するとして長期国債の買い入れ枠を

年間50兆円から年間80兆円購入へと拡大しました。

そのため、日本の国債市場では、長期金利が低位で推移しています。


日本の投資家の立場でマーケットを視ると、

このまま低インフレのまま日銀が積極的に金融緩和を継続しているあいだは、

日本の投資家へ追い風が吹くと思います。


とはいえ、

自分自身のリスク許容度を超える投資戦略を立てても、

安心して運用を継続できませんし、

マーケットの動向からの投資判断を間違える可能性が高くなります。


市場動向に投資心理を揺さぶられることなく、

ご自身に適合したアセット・アロケーションを基本ポートフォリオとして

資産運用を楽しみましょう。



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これからも


『「投資信託にだまされるな!」にだまされるな!』に

関連する内容や是非伝えたいことをブログでご紹介していきます。

最後までお読みくださりありがとうございました。

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拙著:『「投資信託にだまされるな!」にだまされるな!』は、


マネー知識ゼロの女性の方を読者として想定し、


女性の感性へ働きかけるよう意識して書きました。