泥棒貴族とカレードマン大胆不敵 | 懐古趣味親爺のブログ

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幼少期(1950年代)から成人期(1970年代)までの私の記憶に残っているものを網羅。

コメディタッチの軽妙な犯罪映画は私の好むところでして、それも一般的にはあまり知られていない作品。それが『泥棒貴族』と『カレードマン大胆不敵』です。

『泥棒貴族』(1966年/監督:ロナルド・ニーム)

中東の大富豪シャベンダー(ハーバート・ロム)が秘蔵する彫像を盗もうとしているハリー(マイケル・ケイン)は、香港で踊り子をしているニコール(シャーリー・マクレーン)を報酬5千ドルでスカウトします。それは、ニコールは10年前に結婚生活1年で死んだシャベンダーの愛妻にそっくりで、招待客しか部屋に入れないシャベンダーの気をひかせるためです。二人はイギリス貴族夫婦に化けてシャベンダーのホテルに宿泊。何とかシャベンダーに招待されますが……

冒頭、約28分にわたるケインの計画(妄想)シーンにはじまり、いざ現実におよぶや、「こんなはずではなかった」という展開がグッド。妄想では一言も言葉を発しないミステリアスな雰囲気を見せたマクレーンが現実では饒舌なシャキシャキ娘。妄想ではクールな盗賊ぶりを見せたケインが現実ではシドロモドロ。妄想では典型的な大様な大富豪ぶりを見せるロムが現実では近代的な観察眼をもって二人を探ります。この妄想と現実、三者三様のキャラクターのギャップが格段に優れています。ハッカーによるセキュリティ解除ばかりの最近の映画と違って、アナログ的方法での防犯解除はハラハラして愉しいですな。あかの他人なのに瓜二つというのは気に入りませんが、大らかなユーモアにあふれたサスペンスは最近にないもので、1960年代の良さが出ていて味わい深い作品で~す。

 

『カレードマン大胆不敵』(1966年/監督:ジャック・スマイト)

バーニー(ウォーレン・ベイティ)は世界中の賭博場で使われておりトランプの製造をしているカレードスコープ社の工場に忍び込み、原版に自分だけがわかる目印をつけます。モンテカルロの賭博場で、特殊な眼鏡をかけトランプの裏についている目印でバカラゲームに勝利。ロンドンにいた時、一目惚れしたエンゼル(スザンナ・ヨーク)が現れ、彼女と行動を共にします。ロンドンに帰ったバーニーをロンドン警視庁のマニー警部(クライブ・レヴィル)が訪問。警部はエンゼルの父親で、賭博場で大勝ちしている秘密がバレ、警部から麻薬王の資金を奪うように要請されます。バーニーは麻薬王にポーカーの勝負を挑みますが、使われているのが古いトランプだったため……

若き日のウォーレン・ベイティの小粋なサスペンスアクション。ユーモアとオシャレ感覚に充ちています。イギリス的とぼけたユーモアを醸し出すクライブ・レヴィルがグッド。素晴らしいコメディエンヌぶりを見せたスザンナ・ヨークという女優を、私は不覚にも知らなかったのですが、出演作品を調べたら意外やシリアスな作品ばかり。少々子供っぽく、あどけなさの残った、いたずらっぽい彼女の顔は軽いコメディタッチの作品に似合い、スマイト監督はうまく見つけた感じ。

全体的には、コメディ調なのですが、クライマックスは一転してサスペンスフルな展開となり、捻りのきいた作品となっていま~す。