イージー・ライダーとC・C・ライダー | 懐古趣味親爺のブログ

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幼少期(1950年代)から成人期(1970年代)までの私の記憶に残っているものを網羅。

アメリカン・ニューシネマの原点となった作品に、『イージー・ライダー』(1969年/監督:デニス・ホッパー)があります。

キャプテン・アメリカの恰好でバイクを乗りまわすワイアット(ピーター・フォンダ)とカウボーイスタイルのビリー(デニス・ホッパー)は、マリファナの密輸でひと儲けし、カスタムメイドのオートバイで放浪の旅に出発。時計を捨て、時間にしばられず、ロサンゼルスから南に向かって走らせていきます。

派手なスタイルのオートバイと、彼らの長髪に人々は好奇と嫌悪。二人はヒッチハイクをしているヒッピー(ルーク・アスキュー)を同乗させ、ヒッピー部落へ。そこでは若者たちがフリーセックスをし、ヤクをのみ、アングラ芝居をやって勝手気ままに過ごしていましたが、二人はなじめず部落を出ます。ラスベガスで許可なくパレードの後をついて行ったため、警察に捕まりブタ箱入り。留置所で弁護士ハンソン(ジャック・ニコルスン)と知りあい、彼の口ぞえで釈放。ハンソンの依頼で一緒に謝肉祭を見ようとニューオリンズへ。レストランに入ると彼らの異様な姿に村人たちは拒否反応。野宿した三人を村人たちが襲い、ハンソンが殴り殺されます。二人は命からがら逃げだすと謝肉祭のバカ騒ぎにむなしさを感じ、娼婦を買い、マリファナを吸って墓地でセックス。二人はまたオートバイで旅をしますが、トラックから猟銃で狙われ……

現在の視点で見ると、構成はルーズだし、特に優れた映像もありません。だけど、当時のアメリカの社会状況(ベトナム戦争により偉大な正義の国のイメージがなくなり、人種問題の矛盾、激化する暴力的な動き、若者たちのヒッピー化などの問題が露呈)を背景に、ドロップアウトした若者の目を通して、それまでのハリウッド映画のハッピーエンドの図式をぶち壊したことにあります。現実を見つめるという観点にたった革命的作品になったのです。

日本でも話題になり、イージー・ライダーの真似をして改造バイクを乗りまわす連中がいました。「いよぉ、イージー・ライダー!」と声をかけると、嬉しそうに私の前を一回り。脳ミソがイージーなライダーでしたな。

 

でもって、似たような題名で公開されたのが、EGライダーでなく、『C・C・ライダー』(1970年/監督:シーモア・ロビー)ね。

C・C(ジョー・ネイマス)は、改造バイクでハイウェイをブッ飛ばすオートバイ集団の一員。故障で停まっていたリムジンに乗っていたアン(アン・マーグレット)を仲間から救ったことで、ボスのムーン(ウィリアム・スミス)と亀裂が入ります。そして、飛び入りで参加したモトクロスでC・Cは3位になり、賞金を獲得したことから……

“見せかけの社会”から逃れ、“見せかけの自由”を楽しむアメリカの若者を描いた風俗ドラマ。“ヘルズ・エンジェル”ものを含め、この手の映画が1970年代初めに多く作られました。製作・脚本が『サンセット77』のスペンサー役だったロジャー・スミスで、その関係で当時スミスの妻君だったアン・マーグレットが出演しているんですな。アン・マーグレットが輝いていたのは60年代までで、この作品では少しくたびれた感じ。それでも、「ツーデイ」というバラード風の挿入歌(サントラレコードに収録なし)を聴かせてくれ、踊りもほんの少しだけ見せてくれましたけどね。

ジョー・ネイマスは当時のフットボール人気選手。バイク仲間もフットボール選手が出演しています。全体としては安直な作り方で、平凡な出来ばえです。私がこの作品を観たのは、20年前にエキナカのCDショップで売られていた380円の格安DVD。“PD Classic Inc”が発売しており、珍品のB級作品が多くありましたね。