ローズマリーの赤ちゃんとエクソシスト | 懐古趣味親爺のブログ

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幼少期(1950年代)から成人期(1970年代)までの私の記憶に残っているものを網羅。

60年代末から70年代前半にかけて、ホラーのジャンルとしてオカルトが確立していきます。その代表作といえるのが、『ローズマリーの赤ちゃん』と『エクソシスト』です。

『ローズマリーの赤ちゃん』(1968年/監督:ロマン・ポランスキー)は、アイラ・レヴィンの小説を映画化したオカルトサスペンス。

売れない俳優ガイ(ジョン・カサベテス)と若妻ローズマリー(ミア・ファーロー)がマンハッタンの古いアパートに引っ越してきます。このアパートは、以前から不吉な噂が絶えない、いわくつきの場所。隣室の老夫婦ローマン(シドニー・ブラックマー)とミニー(ルース・ゴードン)は、異常なまでに親切でお節介。ある日、薬草の入った異様な臭いのするペンダントを身につけていた彼らの養女が飛び降り自殺をします。老夫婦は形見としてローズマリーにそのペンダントをプレゼント。主役の俳優が突然失明し、ガイにその役がまわってきます。映画界からのオファーもあり、ガイの仕事は順調。

やがてローズマリーは妊娠しますが、日ごと悪夢にさいなまれ、みるみるやつれていきます。彼女の友人ハッチ(モーリス・エヴァンス)が心配して、何かを伝えようとした時、意識を失って倒れ、入院先で死去。ハッチが死ぬ前に送ってきた「魔女のすべて」という本を読んだローズマリーは、恐るべき事実を知ります。老夫婦は悪魔の一族で、夫ガイは出世のために悪魔と契約。悪魔の儀式のために赤ん坊を生贄にしようとしていると考えます。ローズマリーは、おなかの子を守るために単身病院へ。出てきた担当医も悪魔の手先で、出産をすませた彼女は死産だったと告げられます。しかし、赤ん坊の泣き声が隣室からきこえ、そこへ乗り込むと……

ポランスキーの精緻な演出は、日常的な生活の中でしだいにローズマリーが不安になっていくサスペンスの盛り上げかたが見事。そして、バックに流れるクシシュトフ・コメダの音楽が、不安をいやがうえにも感じさせずにはおきません。テーマ曲「ローズマリーの子守歌」は秀逸。ミア・ファーロー、ジョン・カサベテス、シドニー・ブラックマー、ルース・ゴードンだけでなく出演者の誰もが好演で、出色の出来となっていま~す。

 

『エクソシスト』(1973年/監督:ウィリアム・フリードキン)は、大ヒットした悪魔祓いのホラー。

北イラクの古代遺跡を発掘していたメリン神父(マックス・フォン・シドー)が悪霊バズスの像を発見。悪霊復活の予感をします。所変わってワシントン。映画女優クリス・マクニール(エレン・バーンスティン)の12歳の娘リーガン(リンダ・ブレア)が異常行動をおこしはじめます。リーガンは病院で精密検査を受けますが異状なし。精神科医がカウンセリングを行うとリーガンは暴力をふるい、まったく別の声に変わって罵ります。クリスの友人の映画監督がリーガン部屋から家の裏の階段下まで転落して死に、その異常な死に方からキンダーマン警部補(リー・J・コッブ)が捜査を開始。クリスは精神科医の助言で、カラス神父(ジェイスン・ミラー)に悪魔祓いを依頼。リーガンの異常な姿を目にしたカラスは悪魔祓いの経験があるメリン神父と悪魔を取り払う儀式に臨みますが……

ディック・スミスによるリーガンの特殊メイクの凄さ、首が百八十度回転するビックリ演出。フリードキンはさりげない所でも観客の不安をあおるショットを挿入し、きめの細かい演出をしています。科学と宗教、無垢と卑猥、母と子を対比させつつ、クライマックスまでつなげていく手腕は見事。リンダ・ブレア(リーガンの卑猥な声は、マーセデス・マッケンブリッジ)とエレン・バーンスティンが好演。公開版より15分長いディレクターズ・カット版を再見しましたが、どのシーンが増えたのかわかりませんでした。