怪奇大作戦 | 懐古趣味親爺のブログ

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幼少期(1950年代)から成人期(1970年代)までの私の記憶に残っているものを網羅。

妖怪・怪奇ブームの1968年に、怪奇現象を科学的に解き明かすドラマが『怪奇大作戦』(TBS系列で1968年9月15日~69年3月9日放送)でした。

元警視庁鑑識課長の的矢忠(原保美)が科学捜査の重要性を感じ、自らの私財で設立したSRI(Science Research Institute=科学捜査研究所)が、警視庁の依頼で超自然的な犯罪を解決する物語。正義感あふれる熱血漢で行動的な三沢京助(勝呂誉)、科学に関する知識が深く冷静沈着な理論派の牧史郎(岸田森)、三沢の後輩で三沢と牧の助手となって行動する野村洋(松山省二)、的矢所長の秘書兼連絡係の小川さおり(小橋玲子)がSRIの所員。町田警部(小林昭二)は、難解な事件が発生すると公的・私的にSRIに訪れる警視庁とのパイプ役です。

第1話「壁抜け男」は、警官に追いつめられたキングアラジンと名乗る盗賊が、壁の中に消えた謎。SRIの調査により犯人はかつて一世を風靡した天才奇術師と判明。

第2話「人喰い蛾」は、燐粉で人を溶解させる不気味な蛾の謎。白骨化した死体から、かつてアメリカ西部で猛威をふるったチラス菌を検出。

第3話「白い顔」は、事故で顔に火傷を負った物理学者のレーザー光線を使った殺人事件。

第4話「恐怖の電話」は、電話を受けた人間が炎上して殺される謎。

第5話「死神の子守歌」は、氷漬けになった死体の謎。死体から放射能が検出され、犯行にスペクトルG線が使われたことが判明。

第6話「吸血地獄」は、事故で死んだ女性が吸血鬼となって甦った謎。

第7話「青い血の女」は、ナイフを振りかざして人を襲うフランス人形の謎。

第8話「光る通り魔」は、亜硫酸ガスを発生させて殺人を行う硫黄と人間が融合した燐光人間の謎。

第9話「散歩する首」は、浮遊している首を目撃して事故を起こす事件が発生。

第10話「死を呼ぶ電波」は、テレビを見ていた人間がテレビに映し出された男の拳銃からビームが放たれて殺された謎。

第11話「ジャガーの眼は赤い」は、サングラスを渡された兄弟がそれをかけると眼前にグランドキャニオンの景色が広がり、洞窟から出てきたジャガーの眼が赤く光った時、兄の姿が消えた謎。

第12話「霧の童話」は、霧の深い夜、戦国時代の落武者が現れて襲ってくる謎。

第13話「氷の死刑台」は、冷凍人間による殺人の謎。

第14話「オヤスミナサイ」は、殺人のあった高原ヒュッテに宿泊した牧が見た悪夢の謎。

第15話「24年目の復讐」は、アメリカ兵を海中に引きずりこむ水棲人間の謎。

第16話「かまいたち」は、周囲に誰もいないのに身体をバラバラにされる殺人事件の謎。

第17話「幻の死神」が、遊覧船の前に海中から現れた無数の白い手と巨大女官亡霊の謎。

第18話「死者がささやく」は、死体を発見した男がその死体の亡霊につきまとわれる謎。

第19話「こうもり男」は、SRI所員を襲うこうもりの大群の謎。

第20話「殺人回路」は、コンピューターの予言通りに人が殺されていく謎。

第21話「美女と花粉」は、全身が突如真っ黒に変身して死ぬ女性の謎。

第22話「果てしなき暴走」は、多量の排気ガスを撒き散らす赤いスポーツカーに追いこされた車が次々に暴走して事故を起こす謎。

第23話「呪いの壺」は、骨董の壺を覗きこんでいた老人が目を焼かれて絶命した謎。

第24話「狂鬼人間」は、次々と発生する精神異常者の殺人の謎。

第25話「京都買います」は、京の都を買いたいという女性と仏像消失事件の関連をめぐる謎。

第26話「ゆきおんな」は、雪女出現の謎。

狂気と妄執と社会の歪が、事件の背景にあるのがこのドラマの特色になっています。「壁抜け男」は、かつての名声にすがりつき劇場型犯罪で喝采を浴びたかったのが動機だし、「白い顔」は、娘への過剰な愛情から殺人を繰り返します。「死神の子守歌」の犯人は、白血病の妹を救うためだし、「吸血地獄」は、吸血鬼となった恋人のために犠牲者を連れてきます。「人喰い蛾」の背景には自動車メーカーの開発競争があり、「霧の童話」の背景には自然を破壊する土地開発があります。

中でも強烈に印象に残っているのが「狂鬼人間」です。狂人によって家族を殺された女性科学者(姫ゆり子)が、精神異常者の犯罪が無罪になる現代社会に復讐するために“狂わせ屋”を開業。依頼者を機械(脳波変調機)で一時的に狂わせて殺人を犯させ、罪に問われない殺人者を増産します。女性科学者の境遇と矛盾する社会への牧の疑問は、視聴者の誰もが持った疑問でしょうね。このエピソードに限らず、牧役の岸田森の虚無的で憂いを感じさせる演技が、作品のテーマを体現させる大きな存在になっていま~す。