保安官ワイアット・アープ | 懐古趣味親爺のブログ

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幼少期(1950年代)から成人期(1970年代)までの私の記憶に残っているものを網羅。

西部劇史上ナンバー・ワンのヒーローは、ワイアット・アープといえます。ヘンリー・フォンダの『荒野の決闘』や、ケビン・コスナーの『ワイアット・アープ』など、数多くの西部劇に登場している実在の人物。ハリウッドには、かつて“アープ・クラブ”というワイアット・アープを演じた俳優だけで構成する社交クラブがありました。西部劇に出演するなら一度は演じてみたいヒーローだったようです。

保安官時代のアープを史実と伝説の両面から年代記風に迫ったのが『保安官ワイアット・アープ』で、本国アメリカでは1955年から61年にわたって放送。同時期にスタートした『ガンスモーク』とともに、テレビ西部劇史に記録される“アダルト・ウエスタン”です。日本ではずっと遅れて61年9月から日本テレビ系列で放送開始。主演は西部劇の傍役にすぎなかったヒュー・オブライエンで、この作品で全米の人気者になり、映画でも主演するようになりました。

初回は、エルズワースでベン・トンプソン(デンバー・パイル)を無血逮捕した有名な話。ウイチタの保安官時代、ネッド・バントライン(ロイド・コリガン)がやって来て、アープにワイルド・ウエスト・ショーを持ちかけてバントライン・スペシャルをプレゼントします。その練習するシーンは嬉しくなりました。映画では、アープがバントライン・スペシャルを射つシーンなんて、全くと言っていい程お目にかかれませんからね。それと、バット・マスターソン(メーソン・アラン・ディンハート)が悪名高きキング軍曹と決闘することになり、アープがマスターソンに拳銃の手ほどきをするところも嬉しかったです。デビューしたばかりのアンジー・ディキンソンがギャングの妻役で出演していたのも憶えています。

ダッジシティでの保安官時代のエピソードで印象に残っているのは、最初のエピソードの冒頭シーン。ダッジシティにやってきたアープが、ブーツ・ヒル(共同墓地)に立ち寄ると、老人が墓を掘っています。誰の墓かとアープが聞くと、新任マーシャルのワイアット・アープの墓だと言うんですね。殺されるから事前に準備しているんだと。サイズはこのくらいでいいかなァとつぶやくと、もっと長くした方がいいとアープが応えるんです。あんたは誰だいと聞いた老人に、ワイアット・アープと名乗るんですが、アープとのやりとりにおける老人の表情が実に良かったです。

チャーリー・バセットとビル・ティルマンを救出する最初のエピソードや、ドク・ホリデー(ダグラス・フォーリー)との出会い、ダッジシティにシャーマン将軍がやってくる話などがありましたな。内容は忘れましたが、実在の人物が登場したのでそれだけが頭に残っています。『ローハイド』のウィッシュボーンでお馴染みのポール・ブリンガーが、ジム・ケリー役でセミ・レギュラーで出演していましたが、このシリーズの好演が認められて、『ローハイド』でレギュラー出演。日本では、『ローハイド』の方が放送開始は早かったですけどね。

トゥームストン時代では、オールドマン・クラントン(トレバー・バーデッタ)率いる無法カウボーイ組とアープとの対決を中心にエピソードが展開していきます。馬鹿息子のアイク、フィン、ビリーや配下のカーリー・ビル、ジョニー・リンゴーの勝手な行動に手をやくオールドマンと、敵対しながらも友情が芽生えます。オールドマン・クラントンが死に、統率のとれなくなったカウボーイ組がOKコラルの決闘で敗れてエンド。史実に基づいているので、アイク・クラントン、カーリー・ビル、ジョニー・リンゴーが生きており、正義が悪を滅ぼすというすっきりした最終回になっていません。本来ならカウボーイ組と決着をつけるOKコラルの決闘以後のエピソードが必要なんですけどね。ヒュー・オブライエンのワイアット・アープはバントライン・スペシャルを見事に使いこなし、アープ役者として西部劇ファンの間で評判が高いで~す。