テレビドラマのサザエさん | 懐古趣味親爺のブログ

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幼少期(1950年代)から成人期(1970年代)までの私の記憶に残っているものを網羅。

長谷川町子の『サザエさん』が初めて映像化されたのは1948年のマキノ製作・松竹配給ですが、大人気となったのは江利チエミが主演した東宝のシリーズでした。1956年から61年にかけて全部で10本作られ、サザエさん=江利チエミのイメージが定着。それに目をつけたのがTBSで、江利チエミ主演でドラマ化され、1965年11月19日から67年9月29日まで約2年にわたって放送されました。

江利チエミの出演交渉には1年以上かかり、志賀信夫:著の『テレビ番組事始』によると、チエミがやりたがっていた歌番組の放送とバーターで決まったとのこと。『チエミ大いに歌う』という歌謡番組を1965年5月から半年間放送し、念願だったドラマが実現したわけです。

マスオさんに川崎敬三、父・波平に森川信、母・フネに清川虹子、弟・カツオに吉原誠利、妹・ワカメに上原ゆかりがレギュラー出演陣。川崎敬三は大映の二枚目スターでしたが、出番が殆どなく、テレビへの移行を考えていたところで、TBSからのオファーは渡りに舟でした。それと、映画の小泉博と同じようなタイプだったことからキャラが一致。森川信は、“男はつらいよ”の初代おいちゃん役で知られていますが、アドリブをきかしたコミカルな演技を見せていました。母・フネ役の清川虹子は映画と同じ。上原ゆかりはマーブルチョコレートのCMで当時よく知られていた子役ですが、吉原誠利については知りません。

アニメのような日常生活のほのぼのとした笑いでなく、どちらかというとドタバタ喜劇のような内容で茶の間を笑いに包みました。サザエさんをやるのは、後戻りするようで最初は乗り気でなかった江利チエミでしたが、番組がはじまるとノリにノリ、海外ドラマ『アイ・ラブ・ルーシー』のようなコメディエンヌぶりを発揮。演出家はアニメのようなものにしたかったようですが、志賀信夫:著の『映像の先駆者125人の肖像』によると、演出家が意図した“ほのぼのとした笑い”は、俳優たちによって“哄笑”に変わり、“シリアスな伏線”と決めているとこにも、“笑えるオチ”がつき、江利チエミ、森川信、清川虹子はアドリブの洪水(出演者が忙しくてリハーサル室での前日リハーサルがなかった)で、演出プランがズタズタになったとのこと。逆にそれが視聴者に受けたのでしょうね。

アニメであれば登場人物は齢をとることはありませんが、実写ドラマとなると子役たちが成長していきます。カツオやワカメがいつまでも小学5年生や3年生ではいられなくなります。視聴率が30%超えたこともある人気番組でしたが、2年が限度だった思われま~す。