西部の勇者キット・カースン | 懐古趣味親爺のブログ

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幼少期(1950年代)から成人期(1970年代)までの私の記憶に残っているものを網羅。

『西部の勇者キット・カースン』のDVDセット(10枚組=全20話)を観る。スーパーのワゴンセールで販売されていた廉価版DVDです。アメリカのテレビ創生期にあたる1951年~55年に放送された子供向け西部劇(全103話)で、日本では日本テレビ系列で57年に放送されています。

内容は、西部史に名を残すキット・カースン(ビル・ウィリアムス)が相棒のエル・トロ(ドン・ダイアモンド)と西部を旅して悪党退治をする冒険西部劇。主演のビル・ウィリアムスはB級西部劇の傍役が多い地味な役者です。日本でも人気のあったTVドラマ『ペリー・メイスン』のデラ役のバーバラ・ヘイルと結婚し、息子はウィリアム・カット。

各エピソードは次の通りです。

#1「サンフィリペの確執」は、サンフィリペの町に住むトロの叔父が遺産争いに巻きこまれ、弁護士と組んで偽の遺言書で財宝を独り占めしようとする悪党一味をカースンがやっつける物語。

#2「タスカローラの事件」は、砦建設資金の強奪をもくろむ悪党一味をカースンとトロがやっつける物語。一味の黒幕がタスカローラの町の銀行頭取で、被害者に見せかけるというのはよくある話ね。『アニーよ銃をとれ』のゲイル・デービスが将軍の娘役でゲスト出演していました。

#3「ブリスコの悪党」は、政府に頼まれてカースンとトロが郵便強盗の捜査をする物語。悪党一味に加わるために、ブリスコの町にやって来たカースンに功名心から決闘を挑む若者が絡みます。

#4「壊れた拍車」は、町を支配する悪党一味に立ち向かう保安官の娘にカースンとトロが手助けする物語。父を人質にされているため、娘は顔を隠して戦っているのですが、壊れた拍車からカースンは娘と気づきます。手提げ金庫に仕掛けた爆弾でカースンを殺そうとした悪党一味を、開けたら爆発する仕掛けを逆用してやっつける趣向が面白かったで~す。

#5「イニョーのとどろき」は、知事の依頼でイニョー地方の金鉱調査に来たキット・カースンとエル・トロが、父親と離れ離れになってインディアンに追いかけられている少女を救い、父親が見つけた金鉱を悪党から守る物語。自分の土地に入ってくる白人は善人・悪人の区別なく殺すキャラとしてインディアンを描いています。

#6「国境の町」は、密輸犯罪の捜査に国境の町に来たカースンとトロが事件の黒幕を見つける物語。謎の殺し屋の正体は……

#7「ホテルの未亡人」は、強盗が多発する地帯の調査に来たカースンとトロが、強盗に襲われていない町に目をつけ、強盗団の黒幕を見つける物語。黒幕はホテルの未亡人だったのです。

#8「改心した男」は、お尋ね者を追っていたカースンとトロが、妻子の暮らす牧場が何者かに狙われていると知って戻ってきたお尋ね者の手助けをする物語。牧場は鉄道予定地になっており、銀行家が無法者を使って無理やり買収しようとしていたのね。

#9「ティートンの竜巻男」は、売馬詐欺を追っていたキット・カースンとエル・トロが“ティートンの竜巻男”と呼ばれていた昔馴染みと出会いますが、彼こそが詐欺犯だったという物語。良馬を替え玉に使って駄馬を売りつけるのね。彼に更生する機会を与えますが、カースンの意見を聞かず決闘。互いに町の端から歩いてきて抜き撃ちでの決闘は西部劇のお決まりのようになっていますが、お目にかかるのは意外と少ないです。

#10「隠れ家」は、牛泥棒一味が隠れ家として使おうと考えていた家の所有者である姉弟をカースンとトロが救う物語。弟を殺人犯に仕立てたりして悪計を巡らす悪党たちのやり方が稚拙で、カースンの罠に簡単にボロが出て仲間割れです。

#11「ハザード砦への道」は、軍の馬を盗んだ悪党たちをカースンとトロが捕まえる物語。ハザード砦へ行く途中でカースンとトロはインディアンに襲われ、馬を奪われます。牧場主を名乗る男から買った馬は砦から盗まれたものだったので二人は町で馬泥棒に間違われるのです。既に押されている焼印の上に別の焼印を押して偽造するのは家畜泥棒の常套手段。

#12「いざモントレーへ」は、農民のための水資源活用の法案決議のためにモントレーに行く上院議員をカースンとトロが護衛する物語。廃液を川に流していた悪徳鉱山主が上院議員の命を狙います。

#13「ナイフ投げの名人」は、土地領有を巡る裁判が行われることになり、知事の依頼でキット・カースンが立合うことになるのですが、申立人の妻の夫が殺され、現場に残されていたナイフからカースンの相棒エル・トロが犯人にされます。脅迫状の筆跡鑑定で犯人逮捕ね。

#14「メキシコへの券」は、100万ペソの宝クジが当たったカンバン屋が襲われて、宝クジが奪われます。カースンとトロは画家を目指すカンバン屋の息子のために奪われた宝クジを追うのね。クジを奪った男は殺され、さらに殺して奪った男も殺されるという殺しの連鎖が面白い趣向です。

#15「地上げ屋との対決」は、公有地管理局に登録されていない土地は違法といって安く買いたたいたり、家畜を奪ったりする悪徳不動産屋の悪事をカースンとトロが暴きます。牛泥棒が牛の大群を運ぶキャトルドライブは他の映画からの使い回しですな。

#16「コレラの恐怖」は、カースンとトロがコレラ感染者の隔離を利用して土地を奪おうとする悪党と対決する物語です。

#17「違法に取引された牛」は、牧場主が殺されキット・カースンとエル・トロが隠蔽されていた違法取引をあばく物語。牛はヘレフォード種で、イギリスからカリフォルニアに持ち込まれて間もない頃です。

#18「キティを救え」は、奉公に出された戦友の娘キティをカースンとトロが救い出す物語。キティは酒場の歌姫になっており、悪い興行主が彼女を離さないんですな。

#19「無法の天地」は、判事を殺して無法地帯に逃げ込んだ悪党をカースンとトロが追跡する物語。ニューメキシコ・テキサス・コロラドの州境が接する地域が舞台ね。

#20「ムランゴ物語」は、父親を殺された少年のためにカースンとトロが、父親が見つけたという金鉱を探す物語。父親から頼まれたという二人の後見人が現れ、金鉱の地図を3分割する趣向が面白かったです。

画像は、実在のキット・カースン。西部の道案内人として有名な人物です。カリフォルニアまでの道路発見に多くの足跡を残し、カースンの名を冠した街道や町が現在でも多く残っています。メキシコ人を相棒にした二挺拳銃のガンマンでないことだけは確かですな。

初期の子供向け30分西部劇の特徴として、一定の予算内で期日までに間に合わせるため、キャトルドライブのようなモブシーンは映画からの使い回しだし、馬で逃げる相手に飛びついて一緒に転げ落ちるといった追跡シーンは何度も使い回しされています。映画でお馴染みの名の知れた傍役の出演はなく、デンバー・パイルやハリー・ローターといったテレビ西部劇の傍役ばかり。色々な面で見劣りはしますが、ジャンルとして一時代を築いた点は注目すべきです。