うまくいかない
それぞれの忠誠
※このブログはネタバレありなので、閲覧ご注意ください。
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最近、イネスへの態度がおかしかったアルフォンソが、いよいよ本心をあらわにします。
【44話】
カッセルが、ラウルからイネスの病状や、治療したフェラルの医師について報告を受けています。
フェラル王室での医療事故に関わった罪があるため、秘密裏に動いていて、なかなか連絡を取ることができないとラウルは言います。
イネスの父、ヴァレスティナ公爵が、イネスのためにペレスに留まるように、あらゆる好条件を持ち掛けるも、強情な性格で、聞き入れられなかったことを、ラウルは説明します。
『歩けなくしてペレスにとじこめておけばよかったんじゃないか?』と平然と言うカッセル。
ヴァレスティナ公爵と発想が似ていることに驚きつつも、『…もちろん、それも考えておられたでしょう』と冷静に応じるラウル。
現代の私たちには、なかなか考えられない発想ですけど、封建時代の領主階級としては、場合によっては、そういう発想も、あり得ることだったんでしょうね。
なかなか連絡が取れないと言うラウルの言い分にカッセルは静かに怒り、地図を握り潰しながら、『公爵閣下が彼を手放したのがそもそもの間違いだ』と。
怒りに満ちた目で
『イネスのために一生働かせるべきだったんだよ。』
『手荒いマネをしてでもな。』と。
この作画担当さん、本当に表現力がうま過ぎて、カッセル、メチャクチャ怖いです。
イネスの命がかかってる訳だから、イネスを大切に思っているカッセルには、当然の怒りです。
イネスのためなら、鬼にでも蛇にでもなれる。
とにかく二度と、あんな、自分の目の前で、いや、自分が見ていないところでも、イネスの呼吸が止まるようなことはあってはならない、と言う、恐怖に裏打ちされた、真剣な想い。
その威圧感に、ラウルも気圧されつつ、必死に対応している感じです。
こういう話をしてる時のカッセルは、イネスに見せる顔とはまったく違って、クールで威圧感がありますね。
まあ軍人ですから、こっちのクールな感じが標準なんでしょうけど、普段の軍の階級の中で公務員的に働いている感じとはまた違って、こういう主人的な態度を見ると、改めて一国一城の主になるべく教育を受けてきた人なんだろうな、と思いますね。
そして、何より、彼の優先順位の第一位がイネスであり、その命より大事なものなんて無いわけですから、ラウルが圧倒されるほどの怒りも当然です。
原作では、ラウルが自らフェラルに探しに行くと言いますが、ラウル不在中にイネスに何かあってはいけないので、カッセルはエスポーサの自分の部下を行かせると言います。
カッセルは、内心、まだ自分の部下としてラウルを信用していないのだろうし、ラウルやヴァレスティナのやり方では、手ぬるくて、気が済まないのでしょう。
一方、イネスは自分の病の原因を知っているかのように達観していて、『ただ終わる時が訪れただけだ』と言ったそうです。
前世でエミリアーノと暮らした16歳から20歳の4年間、今世のイネスも、同じ期間、悪夢に苦しんだようで、20歳のエミリアーノが死んだ時期を過ぎると悪夢が治まったということでしょうね。
原因がエミリアーノだと知っているのはイネスだけだから、他の人には意味不明で、カッセルも妙に感じています。
そして、そんな2人の会話を、執事のアルフォンソが聞いてしまいました。
話が終わって、廊下に出たラウルとアルフォンソは、さっそくやり合います。
アルフォンソは、イネスの精神疾患を隠して結婚させたヴァレスティナ家に怒りを感じています。
代々エスカランテの家臣の家系であるアルフォンソにとっては、イネスとカッセル個人というよりも、ヴァレスティナ対エスカランテという意味の方が大きいのでしょうね。
『カッセル様』では無く『エスカランテ家の長男』と言う言い方をしていますからね。
5つある公爵家と言うのは、必ずしも仲が良いわけではなく、時に政敵だったりライバルだったりするようで、元々家臣達にもそういう他公爵家へのライバル意識のようなものがあるのだと思われます。
皇后が2人の結婚を認めたのも、皇室に従順ではないヴァレスティナを実家のエスカランテと結びつけることで、皇太子の後ろ盾にさせ、他公爵家を牽制する目的だったそうです。
そんな微妙な政治バランスの上に結ばれた家同士の契約であるにも関わらず、一方的に騙してきたヴァレスティナがアルフォンソは許せないのでしょう。
昔の会社員なんかでも、会社に忠誠を違って、組織を自己同一化してしまうケースも多かったし、会社の名を背負ってライバル会社の社員同士で競い合うこともあるし、それが雇用されるものとしてのプライドであり、力の発揮の仕方だったんでしょうね。
もちろんカッセルも『遊び人』として評判は良くなかったけど、それをはるかに凌駕する、当時の社会で最も忌避される『精神疾患』、それも死にかけるほど重度の。
後継者を産めるかどうかが妻としての重要な要素なのに、遺伝する恐れもあるかもしれないし、疾患の状態によって産む気力・体力があるかもわからないし、公爵夫人としての仕事も全うできるかも怪しく、エスカランテの名に泥をぬる可能性もあり…。
エスカランテ家への忠誠心はもとより、カッセル個人にも愛情があるはずのアルフォンソには、最初からあってはならない結婚なんですよね。
アルフォンソも貴族家系なようなので、いつもイネスが言うような『欠陥品』などと言う、冷たい貴族社会の常識を持ち出していますが、個人として心からそう思うかは別としても、それは当然なのでしょう。
本来なら、カッセル自身が貴族として、そうやって怒るべきところを、イネスに夢中で、全く怒る余地もないので、主人の代わりに、主人を想うからこそ、アルフォンソが怒って見せているのでしょう。
カッセルが知れば、決して、それを赦しはしないだろうけど、カッセル個人を超えた『エスカランテ』の歯車の一部としての譲れない信念と忠誠があるのでしょう。
そして、アルフォンソにとってラウルは、まだ『ヴァレスティナの犬』と言う位置付けでしょうから、過激な言葉で、ラウルを挑発する意図もあるのでしょう。
けれど、ラウルも負けず劣らず、冷酷で過激な面を見せてきます。
先ほどのカッセルもそうだけど、ラウルも、イネスのためなら、『鬼にでも蛇にでもなってやろう』と言う気概を感じますね。
イネスにとっては気まぐれで救ったラウルだったかもしれないけど、ラウルにとってイネスは神も同然。
貴族的に『欠陥品』扱いするアルフォンソに向かって、牙をむきます。
普段はチワワとか小型犬のようなラウルも、こんな顔をするのかと、作画担当さまの表現力にまたもや驚かされますね。
ラウルは孤児で、ストリートキッズ的な、生きるために盗みをしたりとか、幼い頃から過酷な経験をしてきているのでしょうし、それを救ってすべてを与えてくれたイネスのために、どれだけ役立つ存在であれるかが、彼のプライドであり、生きる意味なのでしょう。
ラウルは20そこそこの若者でありながら、ヴァレスティナのフットマン時代は、すでに3人の部下を持つリーダー的立場だったそうで、イネスもラウルの有能さを認めています。
世襲で公爵家に仕えているような甘い境遇の下級貴族家出身の使用人達とは、主人のために生きるモチベーションが違いますから、自分の甘さなど全てすてて、有能さを磨き、すべてイネスのために捧げてきたものなのでしょう。
アルフォンソとラウル、主人を思う忠誠心に嘘はありませんが、ラウルの方が身分も体裁も守るものを何も持たない分、イネスのためだけに、捨て身でクレイジーになれるのかもしれませんね。
2人の会話は、次話も続きます。
では、次回またお会いしましょう。
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