8月24日土曜日
今週の東京はお決まりのように夕方から雷雨襲来。
雨量も半端でない。異常気象極まれりで来年の夏が今から心配になる。
あまりの暑さにセミが道端でのびている。
よくよく見ると羽が欠損している。
車にひかれないよう木の方向にほうったらきりもみ状態で落下・・・申し訳ないことをしてしもうた・・😅。
今週の講座から
今週水曜日は、デベ女性3人組の講座も3回目最終回。
3回目は、やり残しの無きよう休み時間もそこそこに頑張っていただいた。まずは施行令第132条の考え方による天空率区域区分法解説そして実践から始まった。
1の道路と2の道路では、区分法が大きく異なる事を理解していただき屈曲道路、行止り道路の天空率を実践操作と続けた。
さらに隣地天空率は敷地区分方式と一隣地の2種の解析法がある事とそれらの運用法を解説。
*補講として本日の比嘉ブログ天空率講座も参考にして下さい。
さらに傾斜地における平均地盤面の算定法を敷地内高低差3m以内、3m以上高低差で実践操作し平均地盤面の異なりで日影規制と天空率が大きく影響を受ける事を実践確認。
最終回という事も有り質問も多くいただきながら頑張っていただいた。
無事卒業です。あとは実践頑張れ~!。
木曜日は静岡県からゼネコンユーザー2名で参加の3回講習の1回目
基準法第56条の2を確認しながら用地情報から逆日影計算を手計算で6階規模(太陽高度)、15階規模(太陽高度と時間幅複合)の建物を逆算する方法を解説。
その後TP-PLANNERで日影処理を行い検算するとほぼ限界いっぱいを確認。さらに逆日影チャートを使用し逆日影計算を算出して手計算と比較していただいた。
建物形状の算出に大きな影響をおよぼす日影規制を法文とともにたっぷり学習していただいた。
次回は逆日影、逆斜線の可能空間を算出しプランニングを行っていただく。プランニンングを行いながらの日影計算を行う事により逆日影計算の精度の高さを実感していただく。そして斜線NGを確認し天空率へと続く予定です。
来週2回めの来社を楽しみにおまちしてます!
今回は、サポートセンターに寄せられた質問の中から下図の事例を通じて屈曲した隣地天空率の高さ制限適合建築物および算定基準線の設定法を法文およびJCBA公的資料に照らして考察します。
まずはその凹部からの隣地高さ制限を確認します。
商業地域に45mの高さの計画建築物の設定ゆえ
NGです。そこで天空率計算を行う事になります。
隣地天空率の解析法としてJCBAでは「一の隣地方式」と「敷地区分方式」がある事を日本建築行政会議のサイト
http://www.jcba-net.jp/news/tenkuritu20100420.pdf
で市街地部会平成 20 年度報告書(以下市街地部会報告書)に掲載された内容がアップされています。
上記市街地部会報告書と「2017年度版 建築確認の為の基準総則集団規定の適用事例」(以下「適用事例」)の両方が天空率審査時のバイブルとして利用されています。
市街地部会報告書から
それらを比較した結果は「「一の隣地方式」で算定位置を1つにまとめると、最も安全側となる。」 と記述され「一隣地方式」の有効性が記述されています。
今回の検証は、「「一隣地方式」がなぜ安全側か?」の検証です。
天空率の基本的な考え方は国交省住宅局建築指導課等監修の「改正建築基準法の解説」
天空率計算を行う事の意義および基本的な考え方が明確に解説されています。
H/D比とは従来の高さ制限(斜線規制)による通風採光の基本の考え方で下図で表現されます。
当該建物からの距離D(道路幅等)が長く、建物高Hが低い程通風採光には望ましいとする考え方です。
ただし通風採光を確保する手段としては「H/D比の増減による延長方向の増減の度合いよりむしろ建築物周辺の空地による空地の増減の度合いの方が大きく・・」と記述さらに
・・「「同一の天空率の下では、建築物の高層化に伴い
建築物周囲の空地は増大する事になるため、結果として「安全」側となると考えられます。」とも記述されています。
敷地境界線ごとに区分する「敷地区分方式」では敷地内の空地を通風採光に資する分として正しく評価しているとはいえません。
天空率比較で高さ制限を撤廃する事は、高さ制限ではNGでもNG分に見合う敷地内空地があれば通風採光はもとより開放度も確保できる事を意味します。
その事から空地を確保したうえで高層化が可能になる天空率運用法を実現しなければなりません。その事を念頭に正しい天空率運用の可否を検証してみましょう。
今回の例題を敷地区分方式で解析してみると
基準線南端でNGになりました。
その算定位置に近接するA部分の空地は同一敷地にも関わらずその通風採光効果は無視された結果となり不合理です。
さらにB部分の建築物の大小は、NG部の通風採光に影響を与える事は自明ですが、境界点間で区分する事により天空率結果に反映されない不合理が生じます。
A,B いずれも隣地の通風採光に影響がある事は明白です。
この場合、天空率をクリアする為には、NG算定位置前面建物の中間部に空地を設定するほか、従来の高さ制限同様に建物高を低く設定しなければなりません。
凹状屈曲隣地において敷地区分方式を利用する事は、空地から通風採光を確保する天空率比較の考え方に適合しません。
従来の隣地斜線の法第56条を確認すると
隣地高さ制限は
第56条 建築物の各部分の高さは、次に掲げるもの以下としなければならない。
2.当該部分から隣地境界線までの水平距離に、次に掲げる区分に従い、イ若しくはニに定める数値が1.25とされている建築物で高さが20メートルを超える部分を有するもの又はイからニまでに定める数値が2.5とされている建築物(・・)で高さが31メートルを超える部分を有するものにあつては、それぞれその部分から隣地境界線までの水平距離のうち最小のものに相当する距離を加えたものに、イからニまでに定める数値を乗じて得たものに、イ又はニに定める数値が1.25とされている建築物にあつては20メートルを、イからニまでに定める数値が2.5とされている建築物にあつては31メートルを加えたもの
建築物の各部分高さは、当該建築物から隣地境界線までの水平距離とあり、隣地境界線は特定の敷地境界点間ではありません。全ての隣地境界線からの寄棟状に高さ制限が設定されます。
「一の隣地方式」では
このようにすべての隣地境界線からの勾配で寄棟状に作成されている事がわかります。
次に算定基準線の設定法を考察してみましょう。
法第56条7項2号を確認すると
7 次の各号のいずれかに掲げる規定によりその高さが制限された場合にそれぞれ当該各号に定める位置において確保される採光、通風等と同程度以上の採光、通風等が当該位置において確保されるものとして政令で定める基準に適合する建築物については、それぞれ当該各号に掲げる規定は、適用しない。
2.第1項第2号、第5項及び前項(・・) 隣地境界線からの水平距離が、第1項第2号イ又はニに定める数値が1.25とされている建築物にあつては16メートル、第1項第2号イからニまでに定める数値が2.5とされている建築物にあつては12.4メートルだけ外側の線上の政令で定める位置
(法第56条第7項第2号の政令で定める位置)
第135条の10 法第56条第7項第2号の政令で定める位置は、当該建築物の敷地の地盤面の高さにある次に掲げる位置とする。
1.法第56条第7項第2号に規定する外側の線(以下この条において「基準線」という。)の当該建築物の敷地(隣地高さ制限が適用される地域、地区又は区域内の部分に限る。)に面する部分の両端上の位置
まず、算定基準線の設定法として今回の事例商業地域2.5勾配の場合「隣地境界線から水平距離12.4m外側」に設定されなければなりません。
下図を参照すると「敷地区分方式」では
円弧で囲われた算定位置は「隣地境界線から水平距離12.4m外側」に設定されていません。
さらにA,Bの算定位置は当該敷地内にあり、特にBにおいては、当該建物の下部に魚眼レンズ(算定位置)を設定することになります。
隣地の通風採光を検証する位置を当該敷地内に設定する極めて不合理な位置に算定位置が設定されています。
*他人の敷地の通風採光を自分の敷地内で測定する不合理です。
*道路天空率においては、算定位置(魚眼レンズ)を現況道路の反対側の道路境界線上に設定することが要求されます。
この事は敷地区分方式が「平成14年建築基準法改正の解説」P79の「面する部分」を解説する挿絵を
天空率区域の区分法として解釈した事に起因すると思われます。
その為、凹敷地はもとより屈曲隣地に適用すると上記のように不合理が生じます。
「一の隣地方式」算定基準線検証
水平距離を平行な距離の事?と間違って解釈すると円弧部を含むこの基準線は間違いでは?
との指摘をうけることがあります。
水平距離とは「同一水平面上の二点間の距離。」と解説され日影規制線では
法第56条の2 日影による中高層の建築物の高さの制限
別表第4(い)欄の各項に掲げる地域又は区域の全部又は一部で地方公共団体の条例で指定する区域(以下この条において「対象区域」という。)内にある同表(ろ)欄の当該各項(4の項にあつては、同項イ又はロのうちから地方公共団体がその地方の気候及び風土、当該区域の土地利用の状況等を勘案して条例で指定するもの)に掲る建築物は、冬至日の真太陽時による午前8時から午後4時まで(道の区域内にあつては、午前9時から午後3時まで)の間において、それぞれ、同表(は)欄の各項(4の項にあつては、同項イ又はロ)に掲げる平均地盤面からの高さ(2の項及び3の項にあつては、当該各項に掲げる平均地盤面からの高さのうちから地方公共団体が当該区域の土地利用の状況等を勘案して条例で指定するもの)の水平面(対象区域外の部分、高層住居誘導地区内の部分、都市再生特別地区内の部分及び当該建築物の敷地内の部分を除く。)に、敷地境界線からの水平距離が5mを超える範囲において、同表(に)欄の(1)、(2)又は(3)の号(同表の3の項にあつては、(1)又は(2)の号)のうちから地方公共団体がその地方の気候及び風土、土地利用の状況等を勘案して条例指定する号に掲げる時間以上日影となる部分を生じさせることのないものとしなければならない。ただし、特定行政庁が土地の状況等により周囲の居住環境を害するおそれがないと認めて建築審査会の同意を得て許可した場合においては、この限りでない。
「敷地境界線からの水平距離が5mを超える範囲において・・」と記述され一定距離を保つ事を意味します。
その為、隣地境界線の角部においては一定距離を保つため円弧状に作図されます。
隣地天空率算定基準線も日影規制と同様の作図法となります。
すべての算定位置が隣地境界線から外側の12.4mの位置にあり適法です。
算定位置の端部は面する方向から道路境界線端から垂直方向まで延長されます。
このように凹型隣地境界線の場合、隣地境界線からの水平距離の位置は円弧状になります。
この設定法に関してもJCBA市街地部会の報告書で解説されています。
赤枠で示したように、円弧部も基準線と考えるべきであると結論づけています。
「敷地境界線からの水平距離が五メートルを超える・・」の部分は天空率基準線の記述
「隣地境界線から水平距離12.4m外側」と同じ書きぶりです。
たとえばこの事例で日影規制ラインを作図すると
同様にみなし敷地からの水平距離がそれぞれ5m、10mを超える位置に作図されます。
水平距離の記述から凹状隣地境界線に面する天空基準線が円弧状になるのはきわめて適法です。問題ありません。
市街地部会の報告書でも入隅部の基準線が円弧状になる事を解説しています。
「隣地境界線に近い位置の算定位置は安全側?」検証
さらに「一隣地方式」の基準線の位置が凹部から遠くに設置されるのが危険側ではとの指摘に対する検証を行います。
① 右端Aが敷地に平行に12.4mの位置に設定した場合
②中央部Bが全ての隣地境界から水平距離12.4mの位置(適法)
③隣地境界線から12.4m以上離れた位置(遠い位置)に配置。
これらの算定位置の解析結果は、計画建築物天空率から高さ制限適合建築物の天空率を引いた差分のみで表示しました。
*差分が大きい場合NGになる可能性が高くなります。
右端Aの隣地境界線に接近した算定位置の差分がP14(14.052%)で最大、適法算定位置BはP9(10.87%),さらに遠い位置C側のP5では(7.794)です。
隣地境界線近接したAが差分が大きくなり危険側になります。
この事を天空図重ね表示で適合検知物と計画建築物を重ねると明解になります。
隣地境界線から適法距離以内に接近した位置における高さ制限適合建築物の天空図は接近した分(隣地斜線立ち上がり部31m、あるいは20m部)がより大きく投影されている事がわかります。
その分天空率は低下する事となり適正位置より隣地境界線に近接した場合、危険側である事がわかります。
日影規制の場合は、道路幅が狭く5mラインが敷地側に近接するほど厳しくなります。
おそらく天空率も同様に規制ラインが近接するほど安全側になるのでは?とこのように指摘するとおもわれます。
近接した場合、特に隣地天空率では隣地境界線の立ち上がり31m壁に近接し適合建築物の天空率の低下率が計画建築物より著しくなるため、適合建築物の天空率がより大きく低下します。
この場合危険側です。
結論、以上の事から凹状隣地の場合敷地区分方式では適合建築物および基準線は適正な安全側設定は不可です。
長くなりました。
天空率施行から21年を超え「一の隣地」の利用も一般的になりました。
当初天空率の概念が浸透してない状態で始まった天空率の運用の齟齬が多々みられます。
それとともに基準線の設定に関する質問も多くなりました。参考にしていただければ幸いです。