令第132条道路天空率公園緩和 | 比嘉ブログ

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建築企画CAD「TP-PLANNER」開発者の日常・・建築基準法,天空率、日影規制講座などチャンプルーなブログ

8月10日土曜日

パリオリンピックもいよいよ残り2日。今週は講座が続く為、寝不足しないよう早寝しライブでの観戦を控えた。

 日曜日に涼を求めて水上から谷川岳に出かけた。もちろんロープウェイですヨ。

残念ながら東京同様宿では冷房フル稼働で冷房なき涼とはならずで残念!。しかし景色は抜群!

今回のブログは谷川岳をちりばめお届けしたい。

 

今週の講座風景からはじめましょう!

今週火曜日はゼネコンのTP-PLANNERユーザーが2名来社の2回目の講座。

用地情報の入力から逆日影、逆斜線計算を行いプランニングを行っていただいた。

 前回日影規制の理論を徹底学習した効果がプラン時の実践操作で機能し6階規模マンションを容積率限界まで作成。

そして日影規制、天空率計算を行ったところで天空率理論を学習。次回は連休明けに最終回。頑張ろう!

水曜日は、デベユーザーから女性3人で参加。

 初日は日影規制徹底学習。用地情報の入力から逆日影計算、逆斜線をスムーズに算出できるようになったところで記念の一枚。

この意味不明なポーズは後日確認すると会社名を表現しているらしい。・・・わかりませ~ん。

 

このチームは1日おいて金曜日に2回目の講座で来社。

ゼネコン2名組同様に用地情報からプランニングをおこないこちらも順調に講座がすすみ天空率理論まで解説したところで終了。

天空率講座を行うと天空率模型でポーズをとるがこのポーズはなかななかない。おっとプランの際、Excelマクロで面積表を自動作成する事を忘れてしまった。連休明けの3回目の講座でリカバリーします。楽しみにおまちしてます。

 

 天空率講座を開始します。

今回は、前回新人研修を終えたS氏 の希望により

 道路の反対側に公園を有する2方向道路道路の令第132条区分法を解説します。

 

 道路の反対側に公園を有する場合の道路天空率の対処法は過去ブログでも解説した事がありますが今回はそれを補足し再解説します。

TP-PLANNERは毎年バージョンアップを繰り返しております。

最新バージョンによる対処法を解説します。

 

事例は

 

 南側6m道路の反対側に10m幅の公園を有する事案です。

 

 道路の反対側に公園が接する場合の道路高さ制限は令第134条で記述されます。

(前面道路の反対側に公園、広場、水面その他これらに類するものがある場合)
第一三四条 
前面道路の反対側に公園、広場、水面その他これらに類するものがある場合においては、当該前面道路の反対側の境界線は、当該公園、広場、水面その他これらに類するものの反対側の境界線にあるものとみなす。

 

*道路の反対側に公園がある場合の道路高さ制限の起点は公園の反対側を起点とする事がわかります。つまり道路幅+公園幅の反対側に後退距離を加算した位置を高さ制限の起点とする事が記述されています。

 

  さらに2以上の道路で公園に接する道路がある場合は2項で記述されます。
2 建築物の前面道路が二以上ある場合において、その反対側に公園、広場、水面その他これらに類するものがある前面道路があるときは、第百三十二条第一項の規定によらないで、当該公園、広場、水面その他これらに類するものがある前面道路(*)の境界線からの水平距離がその公園、広場、水面その他これらに類するものの反対側の境界線から当該前面道路の境界線までの水平距離の二倍以内で、かつ、三十五メートル以内の区域及びその他の前面道路の中心線からの水平距離が十メートルをこえる区域については、すべての前面道路を当該公園、広場、水面その他これらに類するものがある前面道路と同じ幅員を有し、かつ、その反対側に同種の公園、広場、水面その他これらに類するものがあるものとみなして、前項の規定によることができる。この場合においては、第百三十二条第二項及び第三項の規定を準用する。

 

 下線部「前項の規定によることができる。」は、「できる規定」でいかに取り扱うかは行政サイドで確定します。

 

 今回は、2項の規定により令第132条を準用した場合の解説を行います。つまり道路幅員+公園幅が

    南側道路幅員6m+10m=15m>東側道路幅員10m

から最大幅員は公園幅を合算した15m とし最大幅員として令第132条を準用します。

 

このような取り扱いは大阪市取り扱い要領でも下図のように解説されています。

このように132条が適用される区分法が提示されています。

東京もこのように公園幅を合算した幅を採用しているようです。


今回は令第132条が適用される場合の区域区分法をTP-PLANNER操作とともに解説します。

*「用途地域」および「建物」は入力済みとし高さ制限適合建築物の自動生成に影響する「敷地」の境界条件の設定から始めます。

 

1)「敷地」境界条件設定

公園幅を設定します。

①公園に面した道路側には境界点を追加し隣の6m道路と区分します。

②「公園幅」の項に10mを入力。

③公園に面する端部を明確にする為に「終点側行止り」をチェックします。

④東側道路10m幅および6m道路を設定します。

公園と接する「道路幅員」を合算した16mに変更します。

 

公園の設定に加えて「道路幅員」の項で道路幅6m+公園幅10mを合算した16mを「道路幅員」に設定する事で最大幅員となり令第132条が準用されます。

 

⑤公園と接しない6m道路始点側を行き止まり設定します。

 

「始点側行止り」設定を行う事で公園と接する道路側幅員16mと6m道路が直線上で区分されます。

 

 

2)「図法」「断面図」で公園側に面した道路斜線をチェックします。

公園幅の緩和が適用された道路高さ制限を超えている事を確認しました。

 天空率計算を行います。

 

3)「新天空率」で令第134条、132条に適合した設定をおこないます。

①「自動発生」ボタンを押下し公園緩和を考慮した132条区分が自動発生します。

本事例のように道路高さ制限の起点となる道路反対側および公園反対側が敷地側道路境界線と平行の場合、敷地境界線条件で自動発生が可能です。

 

 以下*1~*5をTspaceで区分区域を発生する方法を参考に記します。

*1 道路反対側の形状が屈曲している場合、「Tspace」を起動し反対側形状をCAD的入力をする事も可能です。

*2「基礎情報」「発生」ボタンを押下し「敷地」境界条件から判断可能な道路形状を発生します。

*3 公園部を令第134条2項「公園」考慮の設定法に変更されている事を確認します。

 

*4公園部を最大幅員とする高さ制限区分区域を発生します。

 

この事例では高さ制限の起点情報を変更する必要はありません。

 

この場合、Tspaceでの操作は基礎情報「発生」、高さ制限種:道路で「発生」ボタンをそれぞれ押下し自動発生と同様の結果が算出されました。

 

*5発生確認後に「出力」を押下するとTP-SKYに戻り算定線を自動発生します。

 

「入力」「計算モードへ」を選択し解析可能モードに移動します。

 

 


4)天空率計算を実行します。

「天空率」ボタンをクリックしダイアログ内「計算開始」で全区域の天空率計算を実行します。

 

どうやら公園と接しない6m道路の区域で広い範囲でNGが確認されました。令第132条区域を検証しましょう。

 

 

5)令第132条区域検証

以下全4区域を「天空率表示」の「全領域」チェックを解除後

「領域」を1から指定し「図法」「天空率算定領域」で表示した内容に根拠を書き込み検証します。

 

(2以上の前面道路がある場合)

第 132条 建築物の前面道路が2以上ある場合においては、幅員の最大な前面道路の境界線からの水平距離がその前面道路の幅員の2倍以内で、かつ、35メートル以内の区域及びその他の前面道路の中心線からの水平距離が10メートルをこえる区域については、すべての前面道路が幅員の最大な前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。

 

 2 前項の区域外の区域のうち、2以上の前面道路の境界線からの水平距離がそれぞれその前面道路の幅員の2倍(幅員が4メートル未満の前面道路にあつては、10 メートルからその幅員の2分の1を減じた数値)以内で、かつ、35 メートル以内の区域については、これらの前面道路のみを前面道路とし、これらの前面道路のうち、幅員の小さい前面道路は、幅員の大きい前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。

 

3 前二項の区域外の区域については、その接する前面道路のみを前面道路とする。

 

 

①令第132条1項最大幅員16mが適用される区域

-1)1領域(公園幅加算最大幅員16mの区域:後退距離1m)

公園右端部は行き止まり道路同様に端部境界線で適用距離が敷地側に適用される分6m道路側に水平きょり(25-(16+1))=8mが円弧状に適用距離区分されます。

 

-2)公園幅加算幅16mの2倍32mまでの区間は道路幅員

16mが適用されます。

第 132条 建築物の前面道路が2以上ある場合においては、幅員の最大な前面道路の境界線からの水平距離がその前面道路の幅員の2倍以内で、かつ、35メートル以内の区域及びその他の前面道路の中心線からの水平距離が10メートルをこえる区域については、すべての前面道路が幅員の最大な前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。

 

*最大幅員16mが公園端部から32mの水平距離で区分されます。その他の全面道路中心線から10mを超え10m道路中心10mの位置まで延長されます。

 

この事例では、西側が公園側行き止まり部が水平距離8mが円弧状に適用されますが西側端部の敷地内空地に至らず、東側は

その他の前面道路(東側10m道路)の中心から10mで区分される為、高さ制限を超える分の空地が十分でない事からNGになります。

アイソメ図は

②令第132条2項道路中心10mの区域

2 前項の区域外の区域のうち、2以上の前面道路の境界線からの水平距離がそれぞれその前面道路の幅員の2倍(幅員が4メートル未満の前面道路にあつては、10 メートルからその幅員の2分の1を減じた数値)以内で、かつ、35 メートル以内の区域については、これらの前面道路のみを前面道路とし、これらの前面道路のうち、幅員の小さい前面道路は、幅員の大きい前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。

-1)南側6m道路に面する東側10m幅員が適用される道路中心10mの区域

2項の区域では10m道路幅員が6m道路幅員より広い為10m道路境界線の2倍まで10m道路幅員が適用されます。

 

 

 6m道路に面した区域で公園に接する最大幅員16mから2倍32mを超えた区域は6m道路と10m道路幅員が比較され10m道路幅員が適用されます。

 

  10m道路境界線から2倍20mまで10m道路幅員が適用されますが1項の最大幅員から2倍の32mで区分済みです。

 10m道路方向(奥行)は6m道路の2倍12mまで区分されます。

-2)東側10m道路中心10mで区分される区域

東側10m道路側の後退距離は5mです。

南側6m道路方向には、れぞれその2倍ゆえ10m幅員の2倍20m区分が基本です。ただし本例では後退距離5mが10m道路反対側の位置から5mの位置を起点とすると適用距離25mが2倍以内にある為、適用距離で区分されます。

以上で全区域の根拠を解説しました。

 

 ところで本事例の場合公園を含めた最大幅員16mが2倍まで適用された6m道路に面した区間でNGです。

  左右の空地が高さ制限を超える分に天空図上十分でない事がわかります。

 逆天空率チャートで十分な幅を確保する手法で解決します。

円弧で示すバルコニー左端部をカットする事でクリアする表示です。「建築物切断」ボタンを押下しNG分をカットします。

円弧部がカットされクリアしました。

・・・本日も長くなったここまで!

夏休みが本日より始まりました。休日をお楽しみください。

来週は夏休み中につき比嘉ブログはお休みです。

次回までお元気で!

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