3方向道路天空率区分法詳細解説 | 比嘉ブログ

比嘉ブログ

建築企画CAD「TP-PLANNER」開発者の日常・・建築基準法,天空率、日影規制講座などチャンプルーなブログ

5月21日東京は曇り空で肌寒い。

 5月15日は、沖縄祖国復帰50年。

沖縄復帰当時の事を若干振り返ってみたい。

 

 札幌オリンピック、スキージャンプ笠谷の「日の丸飛行隊」活躍の余韻冷めやらぬ1972年5月15日のその日は、高校入学から一月経過した時。

 一日にして前日までのドルから円の生活が始まった。

通学のバスもドル(セント)から円での運賃支払い。

それまで使い慣れたセントからから円に変わった時の戸惑いを覚えている。運賃は多分15セントから50円に変わった。当時ドルが変動相場に変わった事と円の相場感に慣れない事もあり物価が乱高下した。

 なにせ払う側も受け取る側も突然の事でぎこちなく、お互いに円を使う事に照れたりして・・わかんないだろなこの感じ~:ちなみに小学生から使用した教科書は、ドル生活ながら内地と同じ教科書ゆえ「太郎君が10円でパンを買いました」と書かれても実感に欠けた。

 それから6年後の7月30日に車両が右側通行から左側通行に変わったのも一日で敢行された。

 その頃すでに東京にいたが夏休みゆえその瞬間を確認しようと帰省し、朝6時に一斉に右側通行から左側通行に変わる時を実家左側ハンドルのサニーで走った。すべての交差点に多くのお巡りさんが待機していた。

 バスは、乗降口の都合一日にして右ハンドルに変わったのだがいきなりの変更に車幅の感覚が違ったのだろう・・バス横転事故も発生・・なんにしろ時代の節目を体感した一日だった。

 ついでに思い出した、そのころ東京で仲間の引っ越しの運転を頼まれた時の話だが信号で右折するたびに右車線を走ろうとする比嘉に仲間が大騒ぎした事を思い出した。

  今週の講座から

今週は先週に引き続き長いお付き合いの設計事務所所長。

思い起こせば30年を超えるお付き合いだ。

デべ時代はWindows 以前のユニックスマシーンからの

TP-PLANNERユーザー様。もっとも当時TP-PLANNERの操作はスタッフまかせ。

 

 設計事務所開業に伴うTP-PLANNERの導入だがチャートを駆使した世代ゆえ逆日影チャートを一瞬で理解、いきなり実践で利用しプランから面積表作成は問題無し。今回はTP-PLANNER天空率操作を実践を通じて確認していただいた。全く問題無しで順次企画BIM利用で躯体配置までマスターしたいと意欲満々。時々お会いし情報交換をする事と相成りました。

再会の時を楽しみにしてます!。

今回は記念撮影を忘れずにサムライジャパンでハイポーズ。

 

 天空率講座を開始したい。

 今回の天空率講座は、前回からの続きで3方向道路:令132条の区分法を最大幅員A以外がの幅員B>Cの事例とC>Bの2種の事例で解説したい。

 

用途地域は近隣商業。

図1

最大幅員が12mで6m、5mと幅員の異なる事例で容積率は200%。さらに6m道路と5m道路の接道が逆の事例

図2

 図例1と図例2のケースで施行令132条2,3項で区分される区域の区分法をそれぞれ比較する事で区分法を検証したい。

 

 

1)図1の事例

 本事例の場合、TP-SKYでは道路の反対側の境界線が「敷地」の項で設定した道路幅で特定される為、「新天空率算定領域」の「自動計算」で道路高さ制限適合建築物および算定位置の基準線を自動処理で区域発生させる。

 

①道路高さ制限適合建築物と基準線自動発生

図3

自動発生の「道路境界」ボタンを押下する。

 

②天空率計算実行

図4

全ての区域でクリアしているようだ。

区域ごとに確認したい。

 

③区域区分検証

-1)南側最大幅員12m道路の区域

図5

 

-2)6m道路側に適用される最大幅員12mの区域

図6

第132条 2以上の前面道路がある場合
 建築物の前面道路が2以上ある場合においては、
幅員の最大な前面道路の境界線からの水平距離がその前面道路の幅員の2倍以内で、かつ、35m以内の区域及びその他の前面道路の中心線からの水平距離が10mをこえる区域については、すべての前面道路が幅員の最大な前面道路と同じ幅員を有するものとみなす
 

 最大幅員12mの境界線から2倍24mの区域は6m道路側にも最大幅員12mが適用される。

 

 この事例の場合、最大幅員の2倍24mを超えさらに6m道路中心10mを超える区域は存在しない。

 

*6m道路側に適用される最大幅員12m、後退距離が4.605m。後退距離を加算した位置から適用距離は6m道路境界線から20m-(12+4.605)=3.395mの位置までとなる。

 6m道路中心線から10mの位置(道路境界線敷地側から7m)を超えない。

 

-3)道路中心10mの区分法

2 前項の区域外の区域のうち、2以上の前面道路の境界線からの水平距離がそれぞれその前面道路の幅員の2倍(幅員が4m未満の前面道路にあつては、10mからその幅員の1/2を減じた数値)以内で、かつ、35m以内の区域については、これらの前面道路のみを前面道路とし、これらの前面道路のうち、幅員の小さい前面道路は、幅員の大きい前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。


①「前項の区域外の区域」⇒6m,5m道路中心10mの区域

図7

 青で塗られた区域が「道路中心10mの区域」で令132条1項の区域外の区域。

この区域をさらに令132条の2項と3項で区分する。

 

②2項におけるそれぞれその前面道路の幅員の2倍以内とは

1項における「幅員の最大な前面道路の境界線からの水平距離がその前面道路の幅員の2倍以内」と同様な記述であり同様に区分しなければならない。

 6m側の2倍の区域とは

図8

 最大幅員12mの2倍を超えた6m道路の境界線(青太線で表示)から2倍12m以内で区分される。勾配は⇒の方向

5m道路側の前面道路の2倍とは

図9

 

図8,9のように区分される。

 

道路中心10mに面するその他の道路幅員が同一の場合それぞれ方向ごとに適用されるだけだが

今回は6m>5mゆえ

「・・これらの前面道路のうち、幅員の小さい前面道路は、幅員の大きい前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。

最大幅員12m道路から2倍24mを超えた

6m道路に面した区域は6m道路が適用され奥行(5m道路方向)は2倍12m以内で区分される。

図8

 

この時点で6m道路側に面した区域に適用される幅員が、最大幅員12mの区域、6m幅員の区域が連続し全て確定する。

 

 幅員の小さな5m道路側にも幅員の大きい6m道路幅員のが適用される。

その区域は6m道路境界線から2倍12m間口で奥行方向には

5m道路境界線の位置から2倍10m以内に6m道路が適用される

図10

 

これらの区域:図8と図10の重なる部分が

前回例示したJCBA方式適用事例集で解説する区域②の事。

 

 

 図10における5m道路側から2倍10mを超えたAの区域は3項の区域として5m道路が適用されませんか?の質問だが。

 

 図10:5m道路側から6m道路が適用される区域はその2倍以内(本例では10m以内)と述されている。A部は2倍を超えており5m道路の面する区域の対象とならない。

 

 一方、6m道路側に面した方向で区分されるか?となるが図8で解説したようにすで6m道路で区分済みだ。

 

 さらにそのA部分を2重に区分し6m道路としてWチェックする必要はない。

⇒百歩譲って6m道路で区分したとしてもその部分も6m道路が適用されるとなると前回解説したように同一道路で同一勾配の場合区分されずに同一区域として区分しなければならない。

 

 あえて2重に区分したとしても同一道路、同一勾配は別区分しないのが勾配区分の考え方。(前回参照)

 

 

*A部分に関しては、後述する道路接道条件が異なる図2の例と比較し確認すると理解しやすい。

 

1項、2項の法文記述を並べて確認すると

第132条 2以上の前面道路がある場合
建築物の前面道路が2以上ある場合においては、
幅員の最大な前面道路の境界線からの水平距離がその前面道路の幅員の2倍以内で、かつ、35m以内の区域及びその他の前面道路の中心線からの水平距離が10mをこえる区域については、すべての前面道路が幅員の最大な前面道路と同じ幅員を有するものとみなす

 

2 前項の区域外の区域のうち、2以上の前面道路の境界線からの水平距離がそれぞれその前面道路の幅員の2倍(幅員が4m未満の前面道路にあつては、10mからその幅員の1/2を減じた数値)以内で、かつ、35m以内の区域については、これらの前面道路のみを前面道路とし、これらの前面道路のうち、幅員の小さい前面道路は、幅員の大きい前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。

 

 

1項では

「幅員の最大な前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。」

2項では

幅員の大きい前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。」

 

 つまり1,2項ともに小さい道路幅員側には幅員の大きい道路幅員が適用される区分法が記述されている。

小さい道路幅員が適用される記述は無い。

6m道路側に5m道路が区分適用されることも無い。

 

令132条2項の区域「それぞれその前面道路の幅員の2倍以内」は

6m道路側

 図8

5m道路側にも

図10

6m道路が適用される事が記述されている。

ただしそれらを合成した区域が適用事例集の区域②の事だが

 

2 前項の区域外の区域のうち、2以上の前面道路の境界線からの水平距離がそれぞれその前面道路の幅員の2倍(幅員が4m未満の前面道路にあつては、10mからその幅員の1/2を減じた数値)以内で、・・・

 

「以内で」と記述されている為、幅員の2倍までを最大区域としし道路幅員、後退距離および適用距離等でそれぞれの前面道路の幅員の2倍以内の適用距離で区分される事もある。

 

 実例で詳細に区分検証してみたい。

 

4)令132条2項道路中心10m実例検証

①6m道路側に面した区域

図11

 最大幅員12mから2倍24mを超えた道路中心10mの区域。

6m道路の境界線から2倍12mが最大でそれ以内となるがこの場合、後退距離が3.25mで6m道路の反対側から適用距離20mで区分すると道路境界線から10.75mの位置で区分されており12mまで延長される事は無い。

 

*幅員の2倍より適用距離で確定する例だ。

 

*道路幅員が6mより狭く後退距離が狭い場合適用距離が2倍の位置を超える場合は法文どおりに2倍で区分する。

常に適用距離まで延長するのは、間違いで対象幅員の2倍が適用距離より小さい場合はそれ以内で確定する。

 

 

②5m道路側に面した区域

図12

 6m道路が適用される5m道路側に面した幅は6m×2=12m

奥行は最大を5m道路境界線から5×2=10m以内だがこの場合も後退距離が4.605mと広く6m幅さらに4.605mが加算された位置を起点とした適用距離20mが5mの境界線から9.395mの位置にあり5m道路側も適用距離20mで区分された事になる。

 

 

③令132条3項の区域

2項までで区域区分された以外の区域を3項の区域として区分する。

3 前2項の区域外の区域については、その接する前面道路のみを前面道路とする。

図13

 

6m道路境界線から2倍を超えた5m道路中心10mで区分される区域を3項とする。

2項の区域外が3項となる。3項の区域が確定する事で全ての前面道路に面した道路幅員の区域が確定する。

 

2)図2の事例

 

12m最大幅員が適用される区域は図1のケースの図5区分同様ゆえ省略。

 

 最大幅員12mはその境界線から2倍までは5m道路側にも適用される。

図14

 

 広い道路12m道路の2倍の位置までは5m道路に面した区域にも最大幅員12mが適用される。

 

令132条2項の区域(その他道路中心10mの区域)

ここでは最終区分した区域に解説を加える。

①最大幅員12mの2倍24mを超えた道路中心10mの区域で6m道路に面した区域

 

 道路中心10mの区域は6m>5mゆえ6m道路幅員が適用され奥行は2倍12m以内まで延長可。

 ・・が6m道路側の後退距離4.065mを加算した位置を起点とし適用距離20mが6m道路境界線から9.395mの位置で区分され9.35<12mゆえこの場合も適用距離で区分される。

 

②5m道路側に面した6m道路が適用される区域。

5m道路側に面する6m道路から2倍12m(面する幅:間口)まで6m道路が適用される。

 

 5m道路境界線から6m道路前面方向奥行は5m×2=10mと

適用距離が比較される。

 

 5m側に適用された6m道路幅に加えた後退距離3.25mを起点とした適用距離20mの位置は5m×2=10mを超えてしまう為、この事例では10mで区分される。

 

令132条3項

③そして最大幅員12mから2倍24mを超え、さらに6m道路境界線からの2倍を超えた5m道路に面するAの部分がまだ区分されていない。これが令132条3項が適用される区域。

3 前2項の区域外の区域については、その接する前面道路のみを前面道路とする。

接する前面道路5m道路が適用される区域となる。

 

 令132条で区分するとは、建築物の敷地が2以上に接する場合に1項から3項までの区分法によりそれぞれの道路に面する方向の

道路幅員を設定し高さ制限を適用する事。

くれぐれも2重に区分しない事。

 

 本日も長くなったここらでおしまいにしたい。

次回までお元気で!

 

比嘉ブログ