4方向道路区分法と勾配区分 | 比嘉ブログ

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建築企画CAD「TP-PLANNER」開発者の日常・・建築基準法,天空率、日影規制講座などチャンプルーなブログ

5月14日土砂降りの土曜日

 

雨ゆえ自宅でのんびりしていたいところだが本日は、明海大学不動産研究センターで不動産鑑定士の為のCAD実務修習講座を行う。

 

 9時半開始ゆえ早朝大雨の中自宅を出て浦安に向かった。

新年度の講座シリーズも本日で一段落するが本日は15人ほどかな

この様子は終了後にアップしたい。

 

 明日は、沖縄復帰50周年ゆえ一筆、書きたいところだが講座開始の時間だ・・・またの機会にしたい。

 

 今週の講座から

今週月曜日はお付き合いの長いベテラン設計者への導入時講習。

講習に入る前にチュートリアルで実物件をプランから面積表まで作成済み。さすがだ。連休明けの講座のせいか最後の記念撮影を忘れてしまった・・。申し訳ない。次回火曜日天空率講座終了ごは激写する事にしたい。

 

 火曜日は組織設計事務所の新人研修。

 

 他メンバーは講習済みで1名だけ追加の講座となった。当方、津田も講習法学習の為参加してもらった。近々講座デビューする予定だ。

 初日は、日影規制を徹底学習。逆日影から建物配置、3D日影チャート利用法、BIMデータ連動、傾斜地平均地盤面算出から申請図作成法まで1日コースを3人でワイワイ実践。

 

 2日目は、天空率実践講座

 天空率理論から実践、令132条の区分法、申請図の作成法まで学習。

この自信にみちた表情。2日間のコースを無事終了し設計者の雰囲気でてきたぞ!後は実践で頑張れ~。

またお会いしましょう。

 

 そして明海大学不動産研究センターの不動産鑑定士実務修習講座は豪雨の中12名で9時半開始。建物想定の基本となる日影規制の学習は逆日影計算を太陽高度と時間幅の2通り逆日影計算を学習。 そしてTP-PLANERにより用地情報の入力から始まり建物想定、無事面積表作成まで行った。

予定の4時を30分オーバーしたが皆さんやる気十分だ。

終了後は侍ジャパンのポーズでパチリ。マスク越しで皆さんの表情がわからないのが残念だがまたお会いしましょう。

 

 

天空率講座を開始したい。

 

 連休明けサポートセンターに寄せられた質問には相変わらず令132条の区分法の質問が寄せられている。 

質問とその回答はJCBA天空率分科会の報告書で解説されている。

 B側とD側に面した区域でそれぞれ2Cを超えたB側、D側に面した2Aを超えた部分をさらに細かく区分するのでは?との質問だ。これは天空率施行直後から問題提起され天空率分科会では

図1-6-1で示すように「それぞれ一体処理する(幅員BDを適用)」と解説している。

 

 

 さらに一般財団法人建築行政情報センター 適用事例集2017年度版 でもP237から解説されている。

 区域2とは施行令132条2項で記述される区域で

・・それぞれその前面道路の幅員の2倍」

 

2 前項の区域外の区域のうち、2以上の前面道路の境界線からの水平距離がそれぞれその前面道路の幅員の2倍(幅員が4m未満の前面道路にあつては、10mからその幅員の1/2を減じた数値)以内で、かつ、35m以内の区域については、これらの前面道路のみを前面道路とし、これらの前面道路のうち、幅員の小さい前面道路は、幅員の大きい前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。
 

図2-7-25の図例においては区域2はB道路もしくは右側のD道路のみが適用される。とあり「・・・ただし・・・の場合」などの記述および特例も無い為図1-6-1に示す2B、2Cを超えた部分をそれぞれB、C区域として狭い部分を区分しない。なぜならすでにB,D道路で区分されている為、その部分を2重に区分する事はしない。

 

 重なって区分した場合に令135条の6の2項、勾配区分の記述に適合しない事にもなる。
 

第135条の6 前面道路との関係についての建築物の各部分の高さの制限を適用しない建築物の基準等


2 当該建築物の敷地が、道路高さ制限による高さの限度として水平距離に乗ずべき数値が異なる地域、地区又は区域(以下この章において「道路制限勾配が異なる地域等」という。)にわたる場合における前項第一号の規定の適用については、同号中「限る。)」とあるのは「限る。)の道路制限勾配が異なる地域等ごとの部分」と、「という。)の」とあるのは「という。)の道路制限勾配が異なる地域等ごとの部分の」とする。
 

 つまり道路幅員が同一で制限勾配が異なる場合は、別区域として区分するが同一勾配の場合は区分しない。事例で解説したい。

 

 

 例えば用途地域が住居系と商業系で異なる10m道路に面する用地条件の場合

第1種住居地域は勾配1.25、適用距離は25m(面積案分)、

近隣商業地域は勾配1.5適用距離20m

の事例では

勾配が異なる為に2の区域に区分される。

*東側商業系の適用距離が段差状に設定されるのは

適用距離の特例として政令第130 条の11 で前面道路に接する敷地の部分の属する地域。

 

第130条の11 建築物の敷地が2以上の地域、地区又は区域にわたる場合の法別表第3(は)欄に掲げる距離の適用の特例
 建築物の敷地が法別表第3(い)欄に掲げる地域、地区又は区域の2以上にわたる場合における同表(は)欄に掲げる距離の適用については、同表(い)欄中「建築物がある地域、地区又は区域」とあるのは、「建築物又は建築物の部分の前面道路に面する方向にある
当該前面道路に接する敷地の部分の属する地域、地区又は区域」とする。
 

 住居系の用途地域の場合道路幅員が12mを超える場合は高さ制限勾配が法56条3項により道路幅員の1.25倍を超える位置から勾配が1.5に変わる。

 

法56条

3 第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域又は準住居地域内における前面道路の幅員が12m以上である建築物に対する別表第3の規定の適用については、同表(に)欄中「1.25」とあるのは、「1.25(前面道路の反対側の境界線からの水平距離が前面道路の幅員に1.25を乗じて得たもの以上の区域内においては、1.5)」とする。

 

上記の事例を12m道路の場合で再検証してみると

条件は道路幅員が12mになった事で1種住居側が法56条3項の適用対象となる。

 

後退距離を考慮する場合法56条4項

4 前項に規定する建築物で前面道路の境界線から後退したものに対する同項の規定の適用については、同項中「前面道路の反対側の境界線」とあるのは「前面道路の反対側の境界線から当該建築物の後退距離(当該建築物(地盤面下の部分その他政令で定める部分を除く。)から前面道路の境界線までの水平距離のうち最小のものをいう。以下この表において同じ。)に相当する距離だけ外側の線」と、「前面道路の幅員に」とあるのは「、前面道路の幅員に、当該建築物の後退距離に2を乗じて得たものを加えたものに」とすることができる。
後退距離が1.387mゆえ

(12m+(1.387×2))×1.25=18.468

道路反対側境界線に後退距離1.387mを加えた位置を起点とし18.468mを超えた区域が1.5勾配の区域となる。

アイソメ図では

 

 1.25勾配部は

 

となる。

話を令132条区域の検証に戻したい。

勾配区分

第135条の6 前面道路との関係についての建築物の各部分の高さの制限を適用しない建築物の基準等


2 当該建築物の敷地が、道路高さ制限による高さの限度として水平距離に乗ずべき数値が異なる地域、地区又は区域(以下この章において「道路制限勾配が異なる地域等」という。)にわたる場合における前項第一号の規定の適用については、同号中「限る。)」とあるのは「限る。)の道路制限勾配が異なる地域等ごとの部分」と、「という。)の」とあるのは「という。)の道路制限勾配が異なる地域等ごとの部分の」とする。

の解説を行う為に12mを超える道路幅員の事例を例示した

 

この項では同一幅員で同一勾配の場合、同一区域として設定される事を解説確認したかったのだが

 

この事例でB、D側にある2Cを超えた部分を2Cで区分した際にも結果的に同一道路で同一勾配ゆえそれらを別々に区分区域として解析する事にはならない。別々に区分する理由根拠がない。

 

 最後に令132条で2Cで区分する事の意図する事を考えてみると道路中心10mの区域内においても広い道路側(B,C)から狭い道路側にはその幅員差の分、狭いC道路にも通風、採光に寄与する事の意味。(これは最大幅員AがB側に適用される事と同義)とともに

 

 道路中心10mに接する道路に幅員差が無い場合を考えるとその目的が明確になる。

最大幅員が6mで他の道路がいずれも5mで 道路中心10mに面した部分の前面道路の幅員が同じ場合(便宜上B,Cは面する方向を示す)B=C=5mの場合だ。

 この場合、B側、C側それぞれ5m道路幅員が適用される事となる。加えて
「それぞれその前面道路の幅員の2 倍」と記述する事で、当該道路が広い場合、他に面する側の2倍まで区分し、道路幅員が同一の場合奥行き方向のみ(5m×2=10mで区分)が確定する。

合理的な区分法だ。

 

 いずれにしてもJCBA方式の公式な設定法として狭い道路側から広い道路側には区分適用しない。

 

 長くなったここまでとしたい。次回は最大幅員が12mを超える3方向道路の事例で補足したい。

 次回までお元気で!これから午後の講座だ頑張ろう!

 

 

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