発散規制ラインによる逆日影 | 比嘉ブログ

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建築企画CAD「TP-PLANNER」開発者の日常・・建築基準法,天空率、日影規制講座などチャンプルーなブログ

 9月12日土曜日

東京は、曇りで久々猛暑から解放されそうなうれしい予感!

 総理退陣表明に淀みからの変化を期待したのだが早々に結論が見えた。・・・継承する方で決定のようだ。

 500人そこそこで我が国の宰相が決まってしまう構図に歯がゆい気分だがせんない事、コロナ禍で緊急時ということで納得したい。

 新宰相には、語れる方を期待したい・・・・・・・がとりあえずコロナ対策を万全にしていただきたい・・・・いい正月を迎えたいものだ。

 毎日の通勤で桜の木の根元でひっそりと咲く小さな紫御殿。

毎日のように眺めているので今年もブログ掲載済みかと思い確認してみると・・・今年は初めてのようだ。

 

 来週は、新人研修で久々当社講習ルームでの講座を再開する。

比嘉語りの飛沫対策には、アクリル板設置と窓オープンに加えてサーキュレーターで飛沫を追い出す空調対策。

 加えてZoom利用で参加者画面共有でソーシャルディスタンス確保のコロナ対策万全のつもりだが・・。楽しみだ。

 比嘉ブログ講座を開始したい。

前回は、発散規制ラインの設定法および効用を解説したが今回は、発散規制ラインによる逆日影計算による日影規制可能空間の広がりを検証確認したい。

 

 TP-PLANNERユーザーの皆さんには、逆日影の高層ポイント位置の保存法を解説し任意の高層ポイントを複数設定保存しシミュレーションする際にご利用いただきたい。

 

 まずは「高層ポイント」とは?の解説から

日影による可能空間は、許容容積率、日影規制時間、あるいは設計者のデザイン志向により決定される。

 

 日影規制時間が5/3⇒4/2.5⇒3/2と時間幅が狭くなる

につれ一般的に低層の建物となる。逆に5/3など時間幅が広くなると幅広の高層建物が可能になる。

 

 また計画時に高層案あるいは、低層案を確定するには、許容容積率が影響する事が多い。

 例えば容積率200%、建蔽率60%以下の用地条件の場合、7階以下程度の低層建物で計画事が一般的だ。

 一方、容積率が400%を超える場合、低層の建物では、容積率消化は困難になる事が多く、高層部を想定し容積率消化を計る。

 

 日影規制可能空間は、現実的には、いずれの場合でも時間幅による高層部と太陽高度による低層部との複合された空間となる。

 

 これら用地の基本条件を設計者の意図するデザインとマッチングする事になる。

 これらの要素を複合して計画する際、TP-PLANNERでは、

建物コアの配置位置により変化する可能空間を可視化しながらの設定を可能にする

「逆日影チャート」を利用しボリューム算出する。

 

 「逆日影チャート」では、高層ポイントをドラッグしながら表示される可能エリアを確認しながら設計者の設計方針に合致した位置に設定しなければならない。

 5/3日影規制時間における低層部の設定法、高層部の設定は下記の2種の方法で行う。 

 

 1)低層の建物を想定したい場合

図1

 高層ポイントおよび高層エリア(菱形部)を敷地の真北方向の隅部に設定する事により低層部のエリアが広がる。その分菱形の高層幅は狭くなるが8時と16時の方位線から高層幅までの低層域が広がり低層部が広がる事になる。

 

 高層ポイントをドラッグしながら下図の方向に移動していくと高層領域が広がるのがわかる。

*路線商業で近隣商業側5/3、西南側2種中高層住居専用地域3/2の事例で解説したい。

 

2)高層建物を設定したい場合

図2

 高層ポイントを南側に移動する事によりその前面の低層部が2階程度の極めて低層になるが高層エリアの空間が広くなる。

 

 以上が高層ポイントの基本的な考え方となる。

1)2)いずれの日影可能空間においても等時間線は、規制ライン内に限界いっぱいで収まる。

 

 

 今回の講座では前回使用した用地情報を利用し高層ポイントを同一に設定した条件で閉鎖型、発散一方向、発散2方向の規制ラインの作図法による違による日影可能空間を比較してみたい。

図3 

 高層ポイントによる条件を固定化する為に「逆日影チャート」の項にある「高層ポイント数値設定」をファイル保存しそれを読み込む事により同一条件として比較したい。

 「高層ポイント数値設定」は

図4

 ドラッグし設定した高層域を「高層ポイント数値設定」でXY座標でキーインするかファイルに保存し利用を繰り返す。今回は、3事例を同一条件で比較する為にファイルに保存し可能空間を比較したい。

 *一般的に高層ポイントをドラッグし解析した結果で最適だと思われる高層ポイントは、保存する方が望ましい。

 

では、比較を開始しよう

 

3)ボリューム比較

 

①閉鎖方式による逆日影

逆日影等高線とブロック図変換等時間線

図5

 

左側10mラインが道路上で制限されている事がわかる。

ブロック図と面積は

図6

 

総面積が690.669㎡ 容積率 869.989の結果。

この結果が基準となり発散方式にてどれだけボリュームが加算されるかを確認したい。

 

②発散一方向の場合

逆日影チャート設定

図7

逆日影等高線とブロック図変換等時間線

図8

図5と比較していただくと左側道路上の規制がなくなる為に敷地上部

2階部のカットがなくなり3階部が横方向に広がっている事がわかる。

ブロック図と面積

図9

閉鎖型と比較すると

15階コア部の面積 :353㎡⇒363㎡

総面積        :6906.6㎡⇒7089.5㎡

容積率        :869.989%⇒893.022%

 

③発散二方向の場合

逆日影チャート設定

図10

発散位置の3時間幅を確認しながら設定する。中央部の方位線は、

真北12時の位置を中心に3時間幅。

図11

ブロック図と面積

図12

 

 

15階コア部の面積 :363㎡⇒364.05

総面積        :7089.5㎡⇒7092.5㎡

容積率        :8893.022%⇒893.406%

 建物ブロック西側は、ほぼ同様だが等時間線が縦方向9m道路側に斜に伸びた分各階の等高線も斜に増加しておりその分ボリュームがアップした事がわかる。

 土地の有効活用を考えるうえで発散規制をうまく利用したいものだ。

さて今回の発散規制ラインのお話は、ここまでとしよう。

 

来週中版より涼しくなるかも?・・・期待したい。

来週までお元気で!

 

 

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