隣地天空率再考 6 近似方式検証 | 比嘉ブログ

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 9月29日土曜日9月最後の土曜日

3連休明けの今週の東京は、雨続き。

台風24号接近中の東京は、昨日の快晴で快適な秋の気候から一転した今にも降りだしそうな空。

 まずはこの一枚から

 連休中の晴れ間に秋川渓谷は、大勢の人が河原に繰り出していた。

かつて、山形の仲間の縁でこの季節には、芋煮会で盛り上がった。

 

いつもの公園のススキと

萩の花は、秋はじまる。

 今週の講座から始めよう。

昨日、金曜日は、横浜からデべの設計のお二人

 3回目の今回は、天空率理論を確認しプランニングを行いながら天空率計算および逆天空率計算でクリアーする方法を解説。

実践をしばらく行った後、勉強会をさらに開催する事とした。再会を楽しみにしてます。

 

水曜日は、名古屋で朝から不動産鑑定の皆さんと勉強会。

 

PDF情報から土地情報の入力⇒逆日影⇒建物想定⇒道路斜線NG⇒天空率で解決⇒面積表作成までをおこなった。長時間の講座のわりに皆さんにこやかに元気そう?またお会いしましょう。

 

 火曜日にはデべの設計の皆さんと天空率の勉強会

次回は、逆日影チャート、日影チャートの利用法を解説する。

天空率の復習もお忘れなく・・・次回を楽しみにしてます。

 

 さて天空率講座を始めよう!

隣地天空率の解析手法を下図の事例を用いて解説している。

図1

敷地区分方式の場合、上図のように屈曲した隣地境界線を有する場合にきわめて不合理な解析法になる事を前回解説した。

 

 その解決策として近似方式で解説した。

図2

 近似方式は、境界線方向毎に適合建築物を作成し面する方向毎に算定位置を配置し作成する方法だ。

 

結果は前回お伝えしたが南側に面した区域では

図3

 西側に面した区域では

図4

 

 近似方式に関する記述はJCBAのサイトから

天空率の運用の検討について2010.4.20更新 

P101に下記「一の隣地境界線の取り扱い」の中で記述されている。

 


中断の「複雑な隣地境界線の任意の部分を内接した線分で・・近似元の隣地境界線を「連続した一の隣地境界線」として・・・
・・・・一の隣地の取り扱いとともに任意の線分を内接した線分で近似する手法も可能とする。


今回は前回結果を示した近似方式を検証解説したい。

近似方式に関する記述は上記サイトP115で解説されている。

 

 敷地区分方式と比較している。この解説では敷地区分と比較する為、算定基準線を敷地区分方式と同様に記述しているが近似した区間は同一の燐境界線ゆえ

基準法第56条7項後半の「隣地境界線からの水平距離・・外側の線上の政令で定める位置」に記述される隣地境界線から外側になければならない。従って敷地内に算定基準線が発生する事はありえない。「一の隣地方式」同様に基準線をそれぞれの区域に面する位置に配置する。

 この近似方式を採用する際に重要な事は、面する方向を審査サイドと確認した上でその区間を「連続した一の隣地境界線」として適合建築物を作成する事にある。

 

 図5の挿絵によると隣地境界線を内接した近似線で直線化しているが、直線化する目的は、隣地高さ制限に確実に適合した制限建築物を想定する事にある。

図3同様に南側に面した方向は直線近似すると

図5

 、図3とほぼ同様の結果となる事がわかるが、赤円弧で示す直線化で除外された部分が敷地内空地として正しく評価されない事がわかる。

 

 敷地内空地の分高さ制限を超える事ができるのが天空率の基本的な考え方。

 繰り返しになるが、国交省が監修した資料を掲載する。

通風採光を確保する手段として「H/D比の増減(*追記 従来高さ制限の事)による延長方向の増減の度合いよりむしろ建築物周辺の空地による増減の度合いの方が大きく・・

 とありさらに通風採光を評価する手段として、人間の視野角、仰角と同様の見え係的表現が可能な天空図が合理的であると記述している。

以上確認まで

 

 さらに図4の西側方向の場合、大きな凹状の隣地境界線を有する為直線近似する事は不可となる。

 西側からの隣地斜線勾配に適合する制限建築物は寄棟状に作成する。

また、この様に面する方向毎に近似する方式の場合、敷地区分方式で問題となった算定基準線が当該敷地内に発生する不合理は、生じない。

結論として近似方式は、

「平成14年建築基準法改正の解説」編集国交小住宅局市街地建築課

の面する方向毎に区分すると解釈するなら直線近似にこだわる事なく

方向別に寄棟状に作成する事で法的齟齬は生じない。

 

 この「近似方式」の設定法は、「敷地」入力で同一区間設定を行う事で容易に解析が可能になる。

今回は、最後に近似方式の設定法を解説したい。

 

1)「敷地」の面する隣地境界線事に「同一区間設定」を行う。

図6

 

この場合南側の隣地境界線を選択し「同一区間設定」「設定」ボタンをクリックすると選択された境界線の始点側端部の境界点番号を設定した同一区間番号が自動設定される。

 

 同様に西側も同一区間設定を行う。

図6

2)新天空率算定領域で適合建築物算定基準線を発生する。

図7

 

近似方式は「一の隣地」の機能を利用して作成する。

「道路・一の隣地」ボタンをクリックする。

 

図8

 

 「基礎情報」で「発生」ボタンをクリックすると「敷地」で入力した情報にしたがい方向別に隣地境界線がグループ化される。

図9 

「高さ制限種類」の項で「隣地」を選択し「発生」ボタンをクリックすると適合建築物が方向別に隣地高さ制限に適合した寄棟状の高さ制限適合建築物が作成される。

さらに「出力」ボタンをクリックすると算定基準線が発生する。

図10 

 

画面右側の「天空率表示」で「全領域」のチェックをOFF設定後、「同時計算グループ」をチェック後NO指定で面する方向毎に表示し不要な基準線の部分を選択し「Del」キーで削除する。

 

図11

面する方向の算定基準線が設定された。算定位置は基準線に均等に配置される。

図12

 

同時計算グループのNOを変更し西側に面した区域の基準線の延長を確定する。

 

 これで設定完了。

「計算モードへ」で

3)天空率計算を実行する。

図13

天空率計算を選択し「計算実行」で方向別の「近似方式」で解析される。

 面する方向別に隣地天空率を解析する場合にはこの手法を推奨したい。

 

 次回は一隣地を解説したいが

 

この事例を近似方式でも解析した事例も紹介したい。

今回も長くなった次回にしよう。

台風が日本を縦断する予報です。

くれぐれもお気をつけて・・hi

次回までお元気で!

 

 

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