逆日影と天空率2:TP-PLANNERユーザー会 | 比嘉ブログ

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建築企画CAD「TP-PLANNER」開発者の日常・・建築基準法,天空率、日影規制講座などチャンプルーなブログ

7月14日 土曜日。皆さんこんにちは、3連休初日の土曜日。
如何お過ごしでしょうか?!。
九州地方の豪雨による被害がひどい。九州北部では、今夜も大雨の予報だ。
お気を付け頂きたい。
毎年の様に全国各地で集中豪雨が繰り返される。熊野の豪雨は、昨年だ。

  昨日金曜日は、TP-PLANNERユーザー会。



東京国際フォーラムでの開催。

週末の金曜日、お忙しい最中大勢のTP-PLANNERユーザーの皆さんに参加して頂いた。

内容は、先週、大阪ユーザ会と同様の内容になるので簡単に紹介する。

東京での基調講演は、IAI日本支部 技術検討分科会 グループリーダー足達 嘉信 様(セコム株式会社 IS研究所 ビルディングテクノロジーグループ)

足立さんには、「BIMとIFC:不動産開発との接点」と題して講演して頂いた。

足立さんは、IAI参加の多くのベンダー、ゼネコン、研究機関を強烈なリーダーシップでまとめあげワールドワイドに活動されている。日本BIM発展のキーパーソン。

 

 BIMの意味合いと現状をわかりやすく解説して頂いた。
「BIMとGISのデータ連動」の項では、屋内、屋外のGISとBIM交互のデータ共有により相乗りを実現する。土地情報が多元的なデータで表現され不動産全体の利用価値を飛躍的に向上させる。

 大きなテーマを頂いた思いだ。頑張ろう。

鈴木よりBIM連携およびバージョンアップ解説。

道路天空率は、森本が解説。

スマートな語りは、分かりやすい解説だ。

 さて、講座だ。前回からの続きで逆日影の話。ただし本日は、天空率で決まる事例だ。その意味で天空率講座だ開始!。

前回までは、敷地形状から逆日影計算を行う場合、設計者の方針によりその結果が異なる事を解説した。特に北に面する境界線が入角状の場合、想定したい建物をイメージする事が重要となる。

 今回は、その建物のイメージを明確にした逆日影計算手法の解説を行いたい。


この様にイメージした建物を元にいかに日影規制可能空間を算出するか! この建物イメージを想定建物で入力し逆計算結果で切り出していく。

その手順を解説する。

 ①日影規制においては、建物幅は8時、16時の発生位置を特定する事が重要だ。その為、想定したイメージを仮想建物領域に設定し想定範囲を特定する事から始める。

「入力」「仮想建物領域」に移動し上記の手順で建物を仮想建物、つまり逆日影、逆斜線計算範囲に変換する。

②高度斜線のみを逆斜線計算する。

道路、隣地などは、天空率で解決する事が可能だ。絶対的な高さ制限となる高度斜線のみを解析する。




高度斜線により建物をきりだしたが全面が5階に切り出されただけだ。

③「1棟高層型」で設計方針の元逆日影計算を行う。



逆日影チャートで設計者の方針を明確に表現する。

まず高層幅のAでは、階段室と高層部(この場合7階まで)の専有室の角が8時と11時の幅に入る様に想定する16時は、南側の廊下角がカットされない様に設定。この部分は、高層幅の範囲外になる為、西側規制ラインからの太陽高度で高さが確定するゾーンとなる。

A,Bの領域つまり南側棟を確保すべく8時と16時でその範囲を囲む。結果、C側(北側)は、南側棟を削らない様に太陽高度で高さを制限する。(東側からの採光距離もあり、高層は期待しない方針)

これらの事を考え逆日影チャートを設定したら「計算開始」。

④逆日影計算結果を検証する。まずは等光線で確認。

sekkei 


設計者のイメージ通り南側中心に可能範囲が算出される。ブロック図では

この結果で建物を削り出すと

全面部が2階程度、容積率196%で住戸数30個。
等時間線で日影チェックを行うと

西側高さおよび高層幅で確定している事がわかる。この等時間線から北側に3階が建ちそうな為、任意に3階に設定し確認すると

わずかだがNGとなる。わずかにNGになるのは、7階が高度斜線の影響でカットされた為、高層幅の領域に充分な高層階を設定する事ができなかった。その為、3階の可能性がでてきた事になる。この様に高層可能部を充分に利用できなかった部分意外の低層部は、さらに高く想定できる可能性がある事にも注意する。この場合、結果通りのNGの為2階で進める。


 日影規制ではトータルの日影時間が規制の対象となる為「あっち建てればこっち立たず」この場合は、「あっち建てねば、こっち建つ」。これが日影規制の大原則。


⑤逆斜線計算を行う。


6.8m道路幅員には、厳しい。

⑥道路斜線NGとなり天空率計算を行う。

NGだ。NGの程度を確認する為に天空率重ね図で確認する。


7階部を残す為には、5階を3階程度に設定する。

バルコニーの両サイドのカット(7F部西側の4階から7階)によりクリアー。7階が確保する。

結果的に

最終結果として容積率183.45%に低下住戸数も2戸減少で28戸の結果となった。

 これが一つの解。この土地の可能性はまだある。

高層部を期待しないで北側から太陽高度でカットした場合に結果どの様になるのだろうか?

この事は、次回に宿題としよう。本日の講座はこれでおしまい。


 横目でみていた大相撲で稀勢の里が豪栄道に負けた。豪栄道も好きな力士だがまず稀勢の里に頑張って優勝してほしかった。ちょっとブルーだ。

 腰の調子もよくなったこれから筋トレ再開だ。
3連休・・お楽しみください。が豪雨にはくれぐれもお気を付け下さい。
では次回までお元気で!

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