道路天空率算定位置を考える1 | 比嘉ブログ

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建築企画CAD「TP-PLANNER」開発者の日常・・建築基準法,天空率、日影規制講座などチャンプルーなブログ


 

どこにいても夕焼けは美しい。ふるさとの夕焼けは格別だ。

 沖縄首里のイタリアンレストランからの眺め。西日が弱くなったと思った瞬間カーテンを
ひくとこの景色に出会える。沖縄転勤のM's!楽しかったヨ

 首里をそぞろ歩くと坂道だらけ
「地盤」をテーマにした前回比嘉ブログのテーマにタイムリーな景色がいっぱい。

8月20日
土曜日、昨日の大雨いらい猛暑の東京から一転、すずしい。
本日は、高校野球決勝戦。
青森が太田幸司の三沢高校以来の決勝進出だ。

 当時と今ではプレイスタイルが大きく異なる。
かつて高校球児は、常に悲壮な顔をしてなけれればならなかった。

 最近の球児は笑顔がいっぱいだ。
うまくなる為には楽しむ事が大切とザッケローニも岡ちゃんに語った。
その通りだ。
最近の球児はチャンスに強い。
失敗を恐れずヒーローになる事だけがイメージにある様だ。

 でも42年前の太田と井上の表情一つ変えない投げ合いも
見応えがあった。闘志を内に秘めた武士道的野球。

 世の中変わった。今回は、光星学院の応援だな。
八戸の資産評価センターの東海林さん、角さんと共に応援だ。


いきなりだがすずしい朝の内に「天空率講座」を開始したい。


さてこのところ「一の隣地」を利用した天空率事案が多い。

「一の隣地」は「一の道路」の想定法と同様に考える事ができる。

隣地境界線は道路境界以外を指す事でけして敷地境界点間ではない。

「一の隣地」の普及が促進された事もありこのところの

比嘉ブログはでは、天空率を基礎から深く考察している。まとめてみよう。

①道路斜の目的と基礎的な設定法

②2以上の前面道路を有する敷地の部分の道路幅員の適用を132条で適用

③斜線規制の問題点および魚眼レンズによる環境指数「天空率」との整合。

④天空率計算のAbに建築物に地盤を加える意味と地盤の考え方。

の順に解説してきた。(③、④は前回)

もちろん比嘉の頭を整理する為に書き出している事だが、

お付き合いいただきありがたい。

 さて今回は、道路天空率の政令135条の6(適合建築物想定法)、

と令135条の9(算定位置設定法)を解説してみたい。

解説は、比較的考え方がわかりやすい算定位置135条の9からはじめよう。

(法第56条第7項第1号の政令で定める位置)
第135条の9 法第56条第7項第1号の政令で定める位置は、前面道路の路面の中心の高さにある次に掲げる位置とする。
1.当該建築物の敷地(道路高さ制限が適用される範囲内の部分に限る。)の前面道路に面する部分の両端から最も近い当該前面道路の反対側の境界線上の位置
2.前号の位置の間の境界線の延長が当該前面道路の幅員の2分の1を超えるときは、当該位置の間の境界線上に当該前面道路の幅員の2分の1以内の間隔で均等に配置した位置

 算定位置は、通風、採光等の環境を測定する位置と考える。
道路斜線の立ち上がり位置ではない。
 


天空率施行時に入り隅部の起点を算定位置した間違いに対して
JCBAでは道路反対側のみとする事を明記した。
 算定位置は道路斜線が適用される範囲が全て対象となる為、敷地境界点間で
垂直切断される事もない。
下図が「一の道路」における基本的な算定位置の設定法。


算定位置を設定する場合、道路斜線が適用される端部A,Bの位置を確定する。

その間を道路幅員が異なる場合は、最小幅員の半分以下の均等間隔で設定する。

道路が屈曲する場合でもひたすら上記の条件を守る。

「一の道路」が適用される範囲内は、その間に隣地等で適合建築物が分断される

場合でも算定位置は、連続して配置しチェックする。

B側の隣地を越えた斜線規制の部分も対象となる事はいうまでもない。


 算定位置を設定する際の特殊なケースを解説したい。

①行き止まり道路の場合

行き止まり道路の場合、敷地側の道路の行き止まる区間に

みなしの道路の反対側の位置を設定し算定位置を配置する。

敷地に食い込んだ突き込み道路では

それぞれの反対側にその境界間に均等に算定位置を設置する。

この場合それぞれの算定位置は連続しない。

このJCBAの解説では、orでいずれの場合でも良いとされている様だが

行き止まり道路との整合正を考えると見なしの道路境界上にも算定位置を

設置する事が安全側だと考える。

②法42条2項道路の場合

道路の反対側が4m未満の場合、道路中心2mで想定される道路反対側の

位置に2m以下の均等間隔で配置する。

つまり2項道路の場合は、現況道路の反対側に算定位置は設定しない。

③2以上の前面道路を有する場合令132条、または令134条2項に規定する区域毎
に算定位置を設定する。(令135条の9 3項)

2以上の道路と判断は、敷地側から道路中心線の有する角度が120度以内の場合。

そうでない場合、前面道路幅員が著しく差があると判断された場合令132条等で区分

された区域毎に面する算定位置を想定する。

④敷地の地盤面が前面道路の路面の中心の高さより1メートル以上高い場合においては、第1項に規定する前面道路の路面の中心は、当該高低差から1メートルを減じたものの2分の1だけ高い位置にあるものとみなす。(令135条の9 4項)

さて今回も地盤面の登場だ。これは特定行政庁が別途定めない限り、道路中心高

が1m以上低い場合(H-1)/2だけ高い位置に設定しなければならないとしている。

この規制を緩和と勘違いし低い位置に算定位置を配置し解析する間違いが多い。

この事を検証しよう。

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そろそろ朝飯の時間らしい。明日にしよう。高校野球決勝戦もみなきゃ。

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8月21日

例年、高校野球の決勝戦は、午後1時の試合開始だったと思い

TVの前に陣取るが時代劇が終わらない。2時になっても始まる様子がないので

新聞で確認するとなんと朝9時の開始。こんなの今までありました?

電力不足の為かな?

青森は後半に力つきた様だ。でもよく決勝まで頑張った。アッパレ!

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さて天空率講座再開だ!

④敷地の地盤面が前面道路の路面の中心の高さより1メートル以上高い場合においては、第1項に規定する前面道路の路面の中心は、当該高低差から1メートルを減じたものの2分の1だけ高い位置にあるものとみなす。(令135条の9 4項)

前回に引き続き地盤面の問題今回は算定位置を問題にする。
この4項は特定行庁の特別の定めが無い場合。算定位置は
(H-1)/2の位置に設定しなければならない。

 算定位置は低い位置にある程
計画建築物の天空率の低下率が適合建築物のそれに比較し
大きくなる。その為(H-1)/2の位置に移動しない場合危険側
となる。この事を検証したい。

 

道路面が地盤面より5m低い場合の事例で解説する。

(5-1)/2=2mで-5mの位置を-3mの位置で天空率比較を行う。

その-3mの位置をAとし-5mの位置をBとし天空率比較を行ってみよう。


Aの算定位置ではNG、(H-1)/2の適用を行わないBでクリアーした結果となる。

天空図で考察してみよう。

AからBの天空率の変動を確認すると
計画建築物 81.847%→80.364% 1.483%低下
適合建築物 82.063%→79.459% 2.604%低下
適合建築物の天空率が1.121%計画建築物以上に低下している。
その為低いBではクリアーした結果となる。

 これは算定位置が低くなると見上げる事になり算定位置に近い
適合建築物の影が大きく投影され天空率が計画建築物より大きく低下する。

この事は天空図の同心円の角度で確認するとわかりよい。
同心円は、算定位置から敷地側を水平方向に眺めた場合の建物の
映り込む仰角を示す。
 最外周が10渡で天頂が90度だ。
建物が算定位置に斜めに倒れない限り天頂に重なる事は無い。
天頂側に近い程、高く映り込む影となる。
(絶対的な高さでは無い(位置の遠近が反映される、
高い建物でも算定位置から遠いと仰角は低くなる)

適合建築物を比較するとAでは25度あたりだがBでは30度を超える。
計画の場合50度前後で大きく変化していない事が実感できる。

 算定位置が高くなると計画建築物により近くなる為、
計画建築物の天空率の低下率が適合に比較し大きくなる。

従って、本来の算定位置より低い位置に設定する事は危険側となる。
注意して頂きたい。

令135条の9 4項は、天空率においては緩和規定ではない。
より安全側の位置で計算する為の規定だ。

 今回も地盤面が登場した。地盤面を正しく理解し算定位置を設定
しないとその結果において大きな影響を及ぼす。

算定位置の基本的な考え方はこのあたりで終了にしよう。
次回は適合建築物の想定法を掘り下げて検証しよう。
では次回までお元気で!

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