11 天空図の作図法と位置確認表の解説1適合建築物 | 比嘉ブログ

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建築企画CAD「TP-PLANNER」開発者の日常・・建築基準法,天空率、日影規制講座などチャンプルーなブログ

 皆さんおはようございます。今日の日曜日はまた寒さがぶり返してくる様です。本日は昨日のプールが利いたのでしょうか体がシャキとしております。水泳はお勧めです。TVの合間をみながら今回は書き進めます。途中で休憩が入るかもしれません。その際は休憩して下さい。
 前回は天空図の見え方を解説しました。天空図においては目の位置が近づきすぎて真下の位置になると高さ制限適合建築物と計画建築物の天空率の差は生じにくくなる事を解説しました。若干補足します。例えば私は富士山が好きです。(いつも唐突ですみません)先日、浜松に東名高速で向かう際に秦野あたりになると富士山が忽然と姿をあらわしはっきり確認できます。ところが富士山にさらに近くなった箱根山の下あたりでは箱根の山が富士山をさえぎり頂上のあたりしか見えてきません。箱根山を高さ制限適合建築物だとすると秦野の位置では天空率はNG箱根山のふもとからみた富士は天空率OKとなります。
 さて一般的に天空図の作図はコンピュータ処理です。今回は天空図を作図する手順を解説します。天空図が正確に作図されなければ当然の事ながら天空率もいい加減な値になります。 天空図が正しく作図されているかどうかは平成19年の改正建築基準法では「近接点における水平投影位置確認表」でチェックする事が記載されております。今回はこの審査法との関連付けた解説を行います。
 さて今回の例題です。今回は画像盛りだくさんですヨ
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比較的簡単な事例です。天空図の作図法です。まずは基本的な条件の確認です。
      用途地域(近隣商業)道路斜線勾配 1.5 
      道路幅員(6m)、
      外壁後退距離(2m)の距離
      適用距離 20m
かなり斜線規制を超えている様ですが天空率の結果を確認してみましょう。

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全算定位置でクリアーしています。中央部P6が差分が近接しています。P6が天空図の作成対象です。天空図を作成する前に計画と適合建築物を合成した天空図で結果を検証する事から始めましょう。

 

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左右の空地(グリーン部)が高さ制限を越えたグレー部より面積が大きいため計画建築物の天空率が大となりクリアーしています。

さて天空図です。

今回は高さ制限適合建築の天空図の作図法を確認します。

高さ制限適合建築物を天空率チャートと視野角の簡易パースで確認すると


視点が天空図の中心位置(天頂)の位置になります。

視点位置から視線に入る1-3と1-2のポイントが天空図において表現されます。

高さ制限後方の1-4、1-1は視点位置からは見えません。

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天空図が作図されました。1-1、1-4は1-2、1-3で作図された線分の内側にあり天空率に影響しません。
天空図の同心円は視点位置から建物を見上げる仰角を表現します。通常この様に10度きざみで作図します。天空図の半径は100mmの円弧で作図します。
(仰角は天空図の半球を水平方向に10度刻みでスライスした線分を天頂方向から作図した線分です。下図を参照して頂くとわかりますが低い位置の仰角例えば0度から10度の天空図における同心円の幅はせまくなる事がわかります)




真北の位置は天空図に影響しませんが視点位置と適合建築物の位置関係が明確になる為に表示します。例えば道路は南側の境界にある事が分かります。
今回は1-3がなぜこの位置にあるのかを解説します。
①視点から
1-3の頂点への
方位を確認します。

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天空率チャートの方位は天空図の方位と一致します。重ねると左図の様になります。
描かれた右側の方位線の延長上に1-3のポイントがある事がわかります。天空図の同心円の仰角から確認しますと40度を若干越えた位置にあります。その位置が正しいのかどうか検証してみましょう。

②視点位置から1-3の水平距離を配置図から確認します。
  17mです。
*確定した算定位置P6から1-3の頂点への距離は単に水平距離を測定するだけです。

③断面図から1-3における高さを確認します。道路斜線の勾配は道路幅員の1.5倍より (道幅+2×外壁後退距離)×道路斜線勾配=高さ です。こ場合
  (6+2×2)×1.5=15m
④底辺=17m 高さ=15m よりTan(θ)=15÷17=0.8823  
*Windowsアクセサリーの関数電卓よりArcTan(0.8823)から仰角
(θ)
を計算してみましょう

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θ(仰角)=41.42度 天空図同心円で確認した40度を若干超えた位置です。
天空図上の1-3の位置はどうやら正しそうです。
⑤天空図の同心円では10度きざみの為天空図が正確に作図されているか否かが今一判然としません。さてここで鈴木さん(都市科学研究所)のHPより天空図の概念図をお借りして確認しますと

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半径を100mmとしますと天頂から3-1の位置は100mm×Cos(θ)の距離で表現する事が可能である事が分かります。(この場合計画建築物で表現れていますが視点Aの位置が1-3の位置だとお考え下さい。)
Cos(41.42)=0.749×100=74.9mmつまり天空図で天頂側から74.9mmの位置に1-3があれば正確に天空図が描けていると判断されます。
審査サイドとしてはどうしてもメジャーを当てチェックしたいんですネ。

⑥同様に1-2の位置も算出し天空図上でその距離を確認します。ところで1-3、から1-2間の楕円状の線分はどの様に作図しましょう。平面図上1-3,1-2間にポイントを多数作成し同様の計算を繰り返せば可能ですがチョイと疲れます。だからコンピュータ作図となるわけですが今度は当社の鈴木(紛らわしい:縁戚関係は無い)のレポート「手書きで天空図を作成しよう」
http://www.com-sys.ath.cx/modules/tenkuzu/
を参照して下さい。鈴木が独自に考えた天空図チャートで楕円部が簡単に作図可能です。(でも理論がわかったらコンピュータで作図デスヨ)

⑦近接点の位置確認表を最後に表示します。天空図を構成する頂点の位置が必要とされます。
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どうですか手計算の結果と一致している事が確認できましたか。本日はこのあたりでおしまいにしましょう。
 今夜から雨になるそうです。遊びにいくなら今のうちデスヨそれではまた次回お会いしましょう。

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