6 2以上の道路 | 比嘉ブログ

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建築企画CAD「TP-PLANNER」開発者の日常・・建築基準法,天空率、日影規制講座などチャンプルーなブログ

皆さんこんにちは

12月も14日・・・早い!毎年感じることではありますが今年は一段と早い!

忘年会も始まってますネみなさん


私も仲間内の忘年会にはできるだけ参加しております。20代の頃は明日の事、体の事おかまいなしでしたが今は違いますよ。 今は焼酎のお湯割りで低アルコールに調整し頂きます。通常は泡盛「松藤」これが一番。


 忘年会といえば先週あるマンション開発会社(20年近い付き合いのもはや仲間)の忘年会がありました。


 10人のうち4人ほどは他社に転籍した皆さん。どっこい生きている。この不況でも元気でした。この厳しい業界で鍛えられるとどんな状況でもしっかり生きていけるもんだナと感動しました。住宅産業が元気にならないと日本が元気にならない頑張るゾ!


 ところでそこは韓国料理、酒はマッコリでお湯でわるわけにはいけません。どぶろく風なので翌日くるかと思いましたがこれが意外とさわやかでした。



 さて本日のテーマは2以上の道路の天空率の利用法を解説します。


 講座の前に前回の講座で記述した本人にもわかりにくいヶ所を政令本文を掲載するなど加筆、修正しております。再度ご確認頂ければ幸いです。


 道路の天空率利用は斜線制限勾配に適合する高さ制限適合建築物を政令135条の6で作成します。


 前回は斜線勾配が異なる場合は135-6-2道路制限勾配が異なる地域ごとの部分に区分して処理しました。


 天空率ではこの様に政令で規定された適合建築物で区分された部分毎に計画建築物の天空率と比較します。


 本講座ではこの「地域ごとの部分に区分」を「区分区域」として表現します。


今回の2以上の道路は適合建築物が135-6-3

 当該建築物の前面道路が2以上ある場合における第1項第1号の規定の適用については、同号中「限る。)」とあるのは「限る。)の第132条又は第134条第2項に規定する区域ごとの部分」と、「という。)の」とあるのは「という。)の第132条又は第134条第2項に規定する区域ごとの部分の」とする。



算定位置(算定線)が135-9-3
 当該建築物の前面道路が2以上ある場合における第1項の規定の適用については、同項第1号中「限る。)」とあるのは、「限る。)の第132条又は第134条第2項に規定する区域ごと」とする。

記述されています。つまりいずれも132条で規定される区分区域ごとに天空率を比較しなければなりません。

 当社サポートセンターにもっとも問い合わせ、質問が多いのがこの2以上の道路の区分区域の法解釈の根拠です。
複数回にわけじっくり解説したいと思います。
まずは132条を確認します。

2以上の前面道路がある場合)
第132条 建築物の前面道路が2以上ある場合においては、幅員の最大な前面道路の境界線からの水平距離がその前面道路の幅員の2倍以内で、かつ、35メートル以内の区域及びその他の前面道路の中心線からの水平距離が10メートルをこえる区域については、すべての前面道路が幅員の最大な前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。

 前項の区域外の区域のうち、2以上の前面道路の境界線からの水平距離がそれぞれその前面道路の幅員の2倍(幅員が4メートル未満の前面道路にあつては、10メートルからその幅員の2分の1を減じた数値)以内で、かつ、35メートル以内の区域については、これらの前面道路のみを前面道路とし、これらの前面道路のうち、幅員の小さい前面道路は、幅員の大きい前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。

 前2項の区域外の区域については、その接する前面道路のみを前面道路とする。

と3項にわたり記述されています。そもそもなぜこの政令が必要なのかを理解する事が重要です。

56条1項では敷地内の可能高さが前面道路の反対側の境界線までの水平距離に、同表(に)欄に掲げる数値を乗じて得た以内とする事が記述されています。

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この記述のみの場合、上図左側の前面道路が広い一の道路でえられる空間が他に狭い道路が接道するとその道路勾配の影響を受け狭い建築物の高さが制限されてしまう事になります。
132条はこの様な不合理を解消する為の緩和規定です。
 さてそれでは132条ではどの様に記述されているか1項毎に確認していきましょう。
下図4方向道路で検証します。


比嘉ブログ-132条1

まず1項は
「建築物の前面道路が2以上ある場合においては、幅員の最大な前面道路の境界線からの水平距離がその前面道路の幅員の2倍以内で、かつ、35メートル以内の区域及びその他の前面道路の中心線からの水平距離が10メートルをこえる区域については、すべての前面道路が幅員の最大な前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。」

①道路が複数ある場合その中の最大幅員を決定しその道路境界を基準として
 2倍かつ35m以内を区分します。
*一般的に広い道路からの回り込み範囲といいます。(影響範囲の事です。)
②さらに最大幅員以外のせまい道路側から道路中心10mの領域を確定します。
 (上記水色の領域)
③①と②以外の領域には全て広い道路がある事とし高さ制限を受けます。

*せまい道路側の道路中心10m以外は広い道路がある事として高さ制限受ける事が可能になる為に高い建物が可能になる緩和です。

*天空率ではこの例の場合最大幅員で区分される区分区域が4区域になります。

つぎに2項まずは下図を参考に解説します。

比嘉ブログ-132条2
2項は
2 前項の区域外の区域のうち、2以上の前面道路の境界線からの水平距離がそれぞれその前面道路の幅員の2倍(幅員が4メートル未満の前面道路にあつては、10メートルからその幅員の2分の1を減じた数値)以内で、かつ、35メートル以内の区域については、これらの前面道路のみを前面道路とし、これらの前面道路のうち、幅員の小さい前面道路は、幅員の大きい前面道路と同じ幅員を有するものとみなす。

①1項で区分された道路中心10mの範囲(水色)の中で道路幅が異なる場合その中の広い道路側から2倍の範囲まではその広い道路がある事とします。
*道路中心10m内の回り込み。

②上図ではB>C>Dの為、B、Cに面する10m以内ではそれぞれB、Cの道路幅による高さ制限をうけさらにD側においてもそれぞれ2B、2Cの範囲はBとCの道幅を有する事とする高さ制限をうけます。
*せまい道路Dの高さ制限より2B,2C(いずれも35m以内)の領域はB,Cの広い
 道路の制限になる為に緩和になります。
*2項領区分区域も4区域

残りの赤表示の部分が3項
3 前2項の区域外の区域については、その接する前面道路のみを前面道路とする。

となります。したがって最も狭い道路Dの制限は赤表示のエリアのみになります。

以上が132条の解釈手順になります。

本日の最後に天空率区分区域における考え方をメモ程度に確認して本日はおしまいとします。

*132条は敷地のエリアの部分における高さ制限をうける道路幅員を特定する緩和規定だと考えます。

 *道路中心10m内で「・・がそれぞれその前面道路の幅員の2倍・・」の記述があり、せまい道路D側からもB,Cに2Dで区分され残りは3項に区分されるのでは?との質問を受ける事があります。

 結論から申し上げますと当方では基本的に狭い道路側からはまわりこまないと考えます。(天空率検討会:JCBAベンダー会でも同様の結論です。)
仮にせまい側からも回り込むと条文を解釈した場合でも道路幅員を特定するだけですからそれぞれB,Cの道幅に相違なく道路斜線において回りこまない場合と同じ結果となります。

 天空率では3項に区分されるとその範囲がせまくなり不利になるのではとの
質問には前回の講座で解説しましたは135-6-2道路制限勾配が異なる地域ごとの部分に区分して処理する。」
となり道路制限勾配が同一のB,Cの区分は2項の領域と同一区分の区分区域にまとまります。その為、「せまい道路側からは回り込まない」との本来の緩和の考え方と一致します。

 天空率計算における最大の難関はこの132条の解釈です。実際の敷地形状、前面道路の形状はもっと複雑です。しばらく2以上の道路の区分法を解説したいと思います。本日は雨の為、思わず長時間になりました。次回にしましょう。本日おしまいです。


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