2008年12月7日(日曜日)
リーマンショックで11月時ではどうなる事かと心配しておりました。
12月に入り当社ユーザーの皆様も「不況は不況しょうがない・・この際今できる事を確実にこなしておこう!」
と落ち着きを取り戻しつつある様に思います。
しかしリーマンショックがもしなかったとしても不動産市況は土地,資材、原油等の高騰でミニとはいえバブルが崩壊した状況ではなかったでしょうか。
例えばマンションを購入する際には買う側にとって大げさに言えばこれからの半生をかけた大きな買い物になります。去年から今年の前半にかけた価格では人生をかけるに値するマンションは少なかった様に思えます。
現在のこの状況を「原点に戻り適正価格で適正グレードの住宅を提供できる好機」と捉えるのはどうでしょう. 良い建築物を提供できる環境ができるのはこれからです。がんばりましょう。
さて本日は2以上の道路における適合建築物と算定線の話をするつもりでおりましたがその前に天空率を採用する基準法の流れを再度確認してみましょう。
①56条7項において定める位置において
「確保される採光、通風等と同程度以上の採光、通風等が当該位置において確保されるものとして「政令で定める基準」に適合する建築物については、それぞれ当該各号に掲げる規定は適用しない。」として高さ制限をしなくてよい方法がある事を記述しています。
②①における「政令に定める基準」が天空率の採用となり135条6で道路における高さ制限を適用しない手法を解説しています。1項1では前回までで解説しました高さ制限適合建築物の作成法を2で高さ制限適合建築物の外壁後退距離は計画建築物の範囲内で作成する事がかかれています。
③135条6-2では斜線勾配が異なる部分ごとに適合建築物を作成する事が記述されています。
④135条6-3では前面道路が2以上ある場合1項の規定では132条で区分される部分毎に天空率を比較する事がかかれています。
135条の9では算定位置(算定線)に関して記述されています。
以外とシンプルな構成ですよネ。56条の7項で天空率採用を、運用は政令135条-5から11までです。
なんとかなります。共に学習しましょう。(56条1から6および他に緩和関連などの枝葉の政令がありますが)
今回は135条6-2の高さ制限勾配が異なる区分法を解説致します。
1)用途境界が前面道路と交差しない事例の適合建築物算定線の考え方
この場合重要な事は勾配が異なる場合は勾配が異なる毎に区分した適合建築物を作成します。
ただし道路斜線の有効距離が達しない区分の適合建築物は作成する必要がありません。
この例題の様に道路に接する用途地域が単一の地域の場合はその部分の有効距離を適用します。したがって面積按分された容積320%において住居系は25m、商業系は20mですので、この場合商業系に接する為に20mとなります。
この解釈は下記別表3を補足する政令130条の1(下記)によります。
建築物の敷地が2以上の地域、地区又は区域にわたる場合の法別表第3(は)欄に掲げる距離の適用の特例)
第130条の11
建築物の敷地が法別表第3(い)欄に掲げる地域、地区又は区域の2以上にわたる場合における同表(は)欄に掲げる距離の適用については、同表(い)欄中「建築物がある地域、地区又は区域」とあるのは、「建築物又は建築物の部分の前面道路に面する方向にある当該前面道路に接する敷地の部分の属する地域、地区又は区域」とする。
2)用途境界が前面道路と交差する事例の適合建築物算定線の考え方
上図事例は国交省のテキストに掲載されておりおなじみだと思います。
これはまさに第130条の11 の前面道路に接する部分の適用距離になる事を表現するものとなります。
勾配が異なる場合はこの第130条の11がポイントとなります。
さて下記135条6-2では高さ制限勾配が異なる場合は
(前面道路との関係についての建築物の各部分の高さの制限を適用しない建築物の基準等)
2 当該建築物の敷地が、道路高さ制限による高さの限度として水平距離に乗ずべき数値が異なる地域、地区又は区域(以下この章において「道路制限勾配が異なる地域等」という。)にわたる場合における前項第1号の規定の適用については、同号中「限る。)」とあるのは「限る。)の道路制限勾配が異なる地域等ごとの部分」と、「という。)の」とあるのは「という。)の道路制限勾配が異なる地域等ごとの部分の」とする
と記述され道路制限勾配が異なる地域毎に区分した適合建築物、算定線を作成します。
この事は用途地域が異なる場合でも道路制限勾配が異ならない場合、区分しない事になります。
例えば、準工業と近隣商業の場合で考えてみましょう。この場合いずれも勾配は1.5となる為に適合領域および算定線は区分されません。
一方、勾配が異なる場合、56条の3項で規定する下記の区分においては同じ住居系の地域の場合においても下記条件で区分します。
3 第1種中高層住居専用地域、第2種中高層住居専用地域、第1種住居地域、第2種住居地域又は準住居地域内における前面道路の幅員が12メートル以上である建築物に対する別表第3の規定の適用については、同表(に)欄中「1.25」とあるのは、「1.25(前面道路の反対側の境界線からの水平距離が前面道路の幅員に1.25を乗じて得たもの以上の区域内においては、1.5)」とする
さて今回はこのあたりで終わりにしましょう。次回は2以上の道路の場合の適合領域および算定線の設定法の基本になる132条の解釈を中心に共に学習しましょう。では本日はおしまいです。