2 適合建築物と算定線 | 比嘉ブログ

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建築企画CAD「TP-PLANNER」開発者の日常・・建築基準法,天空率、日影規制講座などチャンプルーなブログ

2008年11月14日(金曜日)

 1週間単位の天空率講座今週は適合建築物と算定線です。

3連休で少々お疲れの方も多いかもしれませんが第2回の講座開始します。
さて前回の復習を簡単に行うと天空率とは眼球(瞳)に写った建物の影部が大きいと天空率が低くなり環境が悪いという考え方です。


 ただし天空率は絶対的な数値との比較で斜線規制(高さ制限)を撤廃するわけではありません。これから計画する建築物(計画建築物)の天空率が高さ制限適合建築物の天空率より上回る際、斜線規制する必要がなくなります。比較する際の目の位置すなわち算定位置は政令135条の9,10、11で道路、隣地、北側の順に記述されています。


 一方高さ制限適合建築物の作成方法は政令135条の6から8で道路、隣地、北側の順に記述されるています。

 高さ制限適合建築物は一般的に斜線規制でチェックしていたエリア(敷地内の区分)において建物の高さ以下であれば良いとされます。つまり従来の斜線規制の建物の高さを越えない低い建物であれば適合すると考えます。

 道路算定線:適合建築物
 まず道路の算定線、高さ制限適合建築物の順に解説しましょう。

 算定位置は適合建築物の形状によらず常に道路の反対側に配置されます。(適合建築物の外壁後退距離採用の有無に関わらず)これは算定位置が道路の反対側の通風採光等を測定する目的で配置される為、道路の反対の位置に配置します。その道路に配置する手順を解説します。


①道路境界に最も近い端点を2点確定します。
(道路境界をどの様に解釈するかが問題になります。入門編では本例の様に4角形の形状とし4角形の敷地側の道路端に最も近い点は敷地側の道路境界線に垂直になる位置)

②で確定した道路境界線の総延長距離を道幅の半分以下でしかも均等に配置します。


この場合は具体例で解説すると簡単です。道幅が6m、半分は3m、道路境界線の総延長距離を24mとします。24m÷3=8等分する必要があります。算定ポイントでは8+1=総数9ポイントが確定します。道幅の半分以下で均等であればよい為区間を仮に12区画にすると24m÷12=2mでもOK(3m以下の均等になる為にOK)です。
以上の条件を満たす場合、任意の位置に算定位置を設定する必要はありません。


日影規制の場合はたとえば5/3の場合10mラインはどの位置でチェックしても3時間以上影にしてはいけません。天空率の場合は道幅の半分以下で道路境界の総延長距離を均等分割する事のみが条件になります。
 

 算定線の位置は以下で記述する高さ制限適合建築物の形状の作成法とは政令も異なり基本的には関連しません。その意味であくまで環境を測定する位置と考えます。
 
 さて高さ制限適合建築物の作成法です。
あらかじめ考え方として申し上げておきますと各算定位置から測定される計画建築物の天空率は一般的に変化しません。(変化する可能性は下記「ただし外壁後退距離以下の場合・・・」。)なぜならその算定位置(目)から建物形状の見えがかりは建物形状を変えない限り変化しません。つまり天空率は一定の値となります。


 ところが高さ制限適合建築物の場合、従来の斜線規制に適合するつまり絶対高さが斜線規制より低く設定してあれば可とします。昭和62年に施行された斜線規制の改革では外壁後退が採用されました。高さ制限適合建築物における外壁後退距離は計画建築物の外壁後退距離以内であれば問題ありません。(従来の規制の高さにおさまるから)。当然外壁後退距離をまったく設定しない事も低い建物になる為に問題ありません。


 ただし外壁後退距離を変化させた場合適用距離が変化します。例えば外壁後退距離をとらない0mと設定する適合建築物の作成法も可能になります。その場合適合建築物の領域は適用距離の起点がより敷地に近くなる為に敷地の奥行き方向に伸びます。(その際にその伸びた領域に算定位置を影にする高い建物がある場合計画建築物の天空率も変化します。)


 天空率は斜線規制の制限内(奥行きは適用距離)で設定された高さ制限適合建築物の天空率とその領域内にある計画建築物の天空率の大小でその可否を決定します。


 長くなりました適合建築物と算定線の話を整理します。
①道路高さ制限適合建築物は従来の斜線規制で規制される高さ内に低く設定するする事が条件。
②道路高さ制限適合建築物の形状の外壁後退距離は計画建築物の範囲内で自由に設定されそれにより適用距離も変化し比較範囲の奥行きが変化する。
③一般的に高さ制限適合建築物の天空率は①②の条件内で変化する事が可能になる。高さ制限適合建築物の天空率の条件が低く設定れた場合(最適外壁後退距離)より大きな形状の計画建築物が可能となる。
④算定線は基本的に適合建築物の形状に関わらず道路境界線との関係において一義的に確定します。

 さて今回はちょっと長くなりました。

 次回は適合建築物の外壁後退距離を変化させる事により適合建築物の天空率がどのように変化するのか、計画建築物の天空率がそれにより変化するのはどの様な場合か図示し解説します。次回の再会を楽しみに本日はここまで!。

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